第9話
「さ、タリスの魔力制御も終わったし、次の都に行こうか」
「魔都はもう見て回らなくていいのですか?」
僕はタリスが魔力制御している間、本当に暇だったので、《制約》をかけることと、魔都を魔力を使って影から見ていることにした。それでも、かなりの情報が手に入った。
「うん、大体の状況は把握できたから。次はそうだな………森人族の都に行こうか」
「森人族の都『サクトゥース』ですか…………その前に1つだけ、お前のその変な敬語のようなものはやめろ。気分が悪くなるわ」
「わ、わかりました、お嬢…………『サクトゥース』確か、森人が管理している森の中にある都ですね。闘いより護りに特化した種族だと学びました。神樹と呼ばれる巨大な樹を代々護ってきているのだとか」
へー、神樹か。それは楽しみだ。どんな姿をしているのかな?
「神樹がひと目でも見れれば儲けものかな」
「だいぶ厳しいと思いますよ。神樹に近づいた者は容赦なく殺されたって噂もあるくらいですから」
んー、タリスは自信が無さすぎるな。森人程度倒せる実力を持っているのに。それとも森人族は1000年の間に力を上げたのか?
「ばれなければいいんですわ。それに、森人程度、今のわたくしでも相手になりませんわ」
「た、頼もしいですね、お嬢」
でも、力の弱ったクロですらこの強気だ。タリスには見習ってほしいね。
「森人族ってそんなに弱いの?力の弱まってるクロが相手に出来るくらいに?」
「えぇ、力が弱まっているも言ってもわたくしの魔力自体は大きな変化はありませんの。『スキル』の使用が困難なだけですわ」
そうだったんだ。じゃあ、魔法戦闘だと相手になる者のほうが少ないかもな。
「お、お嬢って一体何者なんですか?」
「あら、言ってなかったかしら。わたくし、吸血鬼族の【真祖】よ。今はあの忌々しい竜人族のせいで力の半分ほども出ませんけど……」
「……………このパーティー、化け物ばかりか。俺もいつかそう呼ばれるのか……?」
タリスがげっそりとしながら、そう呟いた。
「なに言ってるの、タリス。君も十分化け物だよ。だって、魔力量が桁違いなんだから。『人間族』に迫る勢いで今も増え続けている。あり得ない現象だよ。封印されてた影響かな?」
「魔力が……ふ、増えていってる!?」
え、制御出来てるのに気づかないんだ。じゃあ無意識に制御出来るようになったってことかな?
「気づいてなかったの?現在進行形で増えていってるよ。徐々に、だけど。制御は出来てるし、大丈夫でしょ。『スキル』を使用するのに魔力は多い方が良いし」
こうして僕たちは森人族の都『サクトゥース』へと向かった。
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~サクトゥース~
森人族の都の前に、1人の女性が立っていた。彼女は怪しげな雰囲気をただよわせていた。
「ようこそ、お客人。この森の管理者をしております。森人族のアミュ、と申します。お待ちしておりました」
世界創造 ネムキ @Strawrry
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