第7話
「はあ、タリス、本当に神童って呼ばれてたの?全然魔力の制御出来てないんだけど。もう3時間位たったよ?」
タリスは全くと言っていい程に魔力の制御が出来てなかった。努力はしてるみたいだけど、全然実らない。…………どうしようかな?
「す、すいやせん………何しろ昔の記憶なんてないもんで。それに、感覚的すぎてわからないんっすよ」
そう、魔力制御は感覚で行うもの。だから、言語化が難しくて出来ないんだよね。
「それは仕方ないよ。皆幼少期から無意識にやってることなんだから。今さら意識的に制御なんて難しいよ」
「そう言えば、若様って魔力多いっすよね。たぶん俺よりも。なのに制御出来てるんですか?」
そういえば、という感じでタリスが聞いてきた。そりゃ、僕は魔力が多すぎるくらいだ。普段は隠してるんだけど、タリス程の魔力持ちなら気づいてもおかしくないか。
「僕は魔力の半分くらい封印してるんだ。だから、制御にそんな労力はかかんないんだ」
そう、僕の魔力は封印されている。僕自身の聖力によって。だから、何時でも解除は出来る。今はしないけど。
「魔力を封印!?それなのに俺よりも魔力が多いんっすか!!」
あれ?言ってなかったっけ?…………あ、クロは自分から気づいたから、タリスにも言ったつもりだったのか。
「あー、言うの忘れてたけど、僕、『人間族』なんだ。だから、誰よりも魔力も聖力も多いよ」
「に、『人間族』!?あ、あの世界を滅ぼそうとした!!?」
………『滅ぼそうとした』、ね。一体どんな風に伝わってるのかな。どこまで堕ちているのか、竜人族。
「……………どんな話が伝わってるか知らないけど、僕たちはそんなことしてないから。全て、竜人に騙されたんだよ」
これだけでタリスはどう受けとるかな。もしかしたら、今すぐ逃げ出すかも。それはそれで困るな。
「…………俺は若様に救ってもらった。この秘密、墓まで持っていきやすぜ!!」
あぁ、良かった。だって、逃げ出されて正体をばらされてたらタリス、可愛そうだったから。
「ふん、当たり前だわ。カミル様の正体を誰かに言った時点でわたくしが殺すところですわ」
クロもタリスを信じてたのかな?仲良くなってくれて、嬉しいな。
「クロはちょっと過激かもしれないけど、僕の正体、言うわけないよね?だって、もう《制約》してるし、ね」
僕がそう言うと、タリスの首もとが光った。《制約》、それは相手の言動に制限をかけるもの。かなり実力が離れていたら無条件で一方的に《制約》を結ぶことができる。
「こ、これは………」
さすがに驚いたようだった。気づいてなかったのか。自分の身体のことだろうに。
「さすがに暇すぎた。それに、出会ったばかりの魔人を僕自身まだ信用しきれない。だから勝ってだけど《制約》させてもらった。条件は、『僕の正体を誰かに言うこと』、これに逆らった時点で君、死ぬから」
僕がそう言うと、クロがボソッと言った。
「………それ、カミル様のほうが過激では?」
聞こえたけど、聞こえなかったことにしよう。それよりも、タリスのほうが今は優先だし。
「そ、そうっすか…………もし、俺が信用に値するってなったとき、この《制約》解いてもらえるんっすか?」
「そうだね。その時が本当に来るなら、解いてあげるよ」
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