第3話 共有する時間

リョウとマユミの毎日は、花園で過ごす時間が中心になっていた。仕事の後、家族との問題を抱えた後、彼らはこの静かな場所で心を休め、お互いに寄り添っていた。二人の会話は次第に深まり、共に過ごす時間がますます大切なものとなっていった。


ある暖かな春の日、リョウはマユミに花園の奥にある秘密の場所を見せることにした。そこは彼が子供の頃から訪れていた、小さな花壇だった。リョウはこの場所で読書をしたり、考え事をしたりして、心の平穏を取り戻していたのだ。


「ここは僕の特別な場所なんだ」とリョウは言いながら、マユミを案内した。花壇は色とりどりの花々に囲まれていて、まるで別世界のように感じられた。


「なんて美しい場所なの」とマユミは驚きの声を上げた。「どうして今まで誰にも教えなかったの?」


「特別な人にしか教えたくなかったんだ」とリョウは照れくさそうに答えた。


二人は花壇のそばに腰を下ろし、ゆっくりと時間を過ごした。リョウは自分がこの場所をどれだけ大切にしているか、そしてここで過ごす時間がどれだけ心を癒してくれるかを話した。マユミもまた、自分の心の傷と向き合いながら、この場所でどれだけリラックスできるかを感じていた。


その後も、リョウとマユミは花壇での時間を大切にした。彼らはここで一緒に本を読み、未来の夢や希望について語り合った。お互いの悩みや苦しみを分かち合うことで、二人はますます心を通わせていった。


ある日、マユミはリョウに自分が夢見る未来について話し始めた。彼女は家族との関係を修復し、再び信頼を築きたいと願っていた。また、自分の趣味を活かして、子供たちに絵を教える教室を開きたいとも話した。


「それは素晴らしい夢だと思うよ」とリョウは励ました。「君ならきっとできるさ」


リョウもまた、自分の仕事に対する思いを語った。失敗から立ち直り、再び挑戦したいという強い意志を持っていた。彼は自分のスキルを活かして、新しいプロジェクトに取り組むことを夢見ていた。


「お互いに支え合って、夢を実現させよう」とマユミは微笑みながら言った。


「そうだね、一緒に頑張ろう」とリョウも応じた。


花園で過ごす時間は、二人にとってかけがえのないものとなっていた。共に歩むことで、彼らはお互いの存在がどれだけ大切かを再確認し、未来への希望を見つけていった。


花壇の花々が風に揺れる中で、リョウとマユミは新たな一歩を踏み出す決意を固めていた。彼らの物語は、まだ続いていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る