第2話
――前回のあらすじ!
人間に憧れていた
『(……いや、本当にどうしよう)』
間違えてやばい種族に進化しまった俺は呆然と立ちすくんでいた。
俺の身長50翼尾(メートル)くらいになってるし、これで人間の街に行ったらとんでも無いことになるのは目に見えている。
なぜかステータス画面も開けなくなっているし、自分が獲得したスキルも使用できなくなっていた。
本当に何もかもが終わってしまっている。
――グギュルルルォォォ……。
『(うーん……。腹も減った)』
いくら絶望してたとて腹は減る。命ある限りそれは必然的なことだ。これから生きるとなるならば、この巨体を賄う食料を調達しなければならないということにもなる。
悩んでいても仕方がないし、とりあえず移動をすることにした。
俺が生まれたダンジョンは森の中にあったらしく、周囲に街はなく鬱蒼とした木々と山しか目に入らない。
『(食べるにしても何を食べるか。……おっ、ドラゴンの群れだ)』
『『『ギャアオ! ギャアオ!』』』
ついこの前までは俺が見上げないといけないほど大きかったドラゴンだが、今では羽虫のように俺の周りを飛んでいる。
ドラゴンらは俺を警戒だけし、自分の巣があるであろう禿山へと翼を羽ばたかせた。
『(あれくらいいれば腹は満たされるか。よし、やけ食いだ! 焼きドラゴンパーティーだ!!!)』
――ズシンッ……ズシンッ……!
一歩進むたびに地響きがして大地が揺れるが、気にしていたら何もできないので考えずに山へと進む。
その巨体を動かして山を登り続けること数十分、とうとうドラゴンの巣へと到達した。巣には数十匹のドラゴンがおり、若干引いている。
『(さ、流石にこの量は多すぎでは……? 進化前だったら即逃げてたな)』
『グギャア!』
『グァァ!』
『ギャア!』
怒りマックスのドラゴンらは自分たちの巣を守るため、総出で俺を追い払おうとしてきた。
口から炎の息吹を吐き出し、俺めがけて集中砲火をしてくる。
『(熱ッ! ……くないけどむず痒い! 俺の鱗どうなってるんだ)』
進化前はドラゴンの火炎放射を数十秒食らっていたらやばかったが、今の俺はまったくもって問題なし。
しかし、ちょこまかと飛ばれてなかなか厄介だ。巨体故に動きがドラゴンよりも遅く、仕留めるのは困難なのだ。
『どうしたもんかな。グッ、炎が鼻に! は……は――)』
スゥッ、と息を吸い込むと、胸元あたりに稲妻が走って煌めく。そして、
『――ッグァァア!!!(ハックション!!!)』
――ゴォオオオオオオオオオオ!!!!
自分の口から稲妻が混じった業火が放たれ、ドラゴンらだけでなく、地面すらも溶かした。ドラゴンの群れを一網打尽にしたが、また一つ町に行けない理由が増えて青ざめた。
『(もし暴発でもしたら、街を一瞬で焦土と化してしまう……!)』
俺は泣きながら残ったドラゴンの肉を頬張るのであった。
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――同時刻、魔王城にて。
「…….ふむ。西の国を襲うために配置したドラゴン部隊が全滅したな」
荘厳な王の間の中心に腰掛ける一人の魔族。
この世界の魔王が一人である彼は、この世に新たに生まれた大怪獣の気配を感じ取っていた。
「アレがいればコソコソと動く必要もなくなるが、かと言ってそう易々と手に入るものではない。クックック、我が直々に躾けてやろうぞ……!!!」
彼はバサッと大きな蝙蝠の翼を広げ、大怪獣がいる山へと飛び立つ。
魔王と大怪獣の激突は間近だ。
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