焦点を合わせる

沢山沢山泣いたあととか、

沢山沢山あくびしたあととか、

ちょっとしたお昼寝から目覚めた時とか


視界が全てボヤけて焦点が合わない時がある。


光をつけると目に浮かぶ水の数だけ目の中で小さなライトができるし、それはまるで水の中にいるようで、美しい。


ぽやぽやした光なんて実際はどこにもないはずなのに。視界をキラキラ輝かせるものはなんだろう。世界が綺麗に見えるこれは、なんだろう。

ぽやぽやしてて、触るとなくなる。

まるでシャボン玉みたいな視界。全てがぼやけて、ちょっとグレーで面白みがない世界。


月のあかり、部屋のもの全てがぼやけて見える。なのに、本当に大切なものだけはくっきりと写す。

彼に抱く恋心だけが、ただ、一つだけ。

普段は周りのものを気にしすぎて直接見ないようにしているその感情だけが、いま、主張している。

だから思わずLINEを送るのだろう。電話をかけてしまうのだろう。リアクションを求めるのだろう。


自分の好きだという気持ちに真っ直ぐに。

次会えた時は告白できますように。

アンバランスな世界から告白を。

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