エッセイ『スナックラジオ その2』
菊池昭仁
エッセイ『スナックラジオ その2』
エッセイ『スナックラジオ その2』
ラジオが好きである。テレビは腐っているからだ。腐ったミカン。
自民党や大手広告代理店に忖度し、都知事選はわざとスルーして世論を小池有利に誘導している。
真実を伝えないデタラメなニュース。やれ強姦しただの、メッタ刺しにして殺しただのと物騒な話を平然と伝える膝上スカートの女子アナたち。
若くて安い俳優で作るヒット漫画のチープなドラマ。吉本芸人の大声で捲し立てる関西弁の内輪ウケのバラエティ番組。そしてB級グルメや大食いに激辛。ロケ地はもう予算がないのか東京近郊の茨木、栃木、群馬、そして富士山麓。
スポーツはアメリカに行っちゃった大谷翔平の話題ばっかりである。やれよ自民党批判、萩生田百合子批判。
最近では大谷の豪邸をテレビでバラしたとして、フジテレビと日テレはドジャーズを出禁になったというではないか。
もうテレビには絶望した。
かわいいくてあざとい女子アナと、野心を隠した誠実そうな男性アナウンサーを使って嘘の垂れ流し。
テレビは国民から考えるチカラを奪い、自民党政治の片棒を担いでいる。
その点ラジオはいい。ラジオは聴衆にその情景を音で想像させなければならない。
声の質、抑揚、イントネーション、発音、そして内容が重要だ。
つまりアホで品のないテレビとは違い、パーソナリティとスタッフの技量が問われることになる。
ゆえに放送作家がダメな番組や、クズ芸人のラジオ番組は聴かないようにしている。
となると当然、聴くラジオは限られて来る。
私の好みのラジオ番組は以下の3つである。
FM NACK5の三遊亭鬼丸師匠の『ゴゴモンズ』
お笑いタレントの「アイドル鳥越」鳥ちゃんとの掛け合いが漫才のようにテンポが良くて楽しい。
鳥ちゃんはアナウンス学院で声優志望だったこともあり、滑舌もいいし歌も上手い。それに同郷だしね。
笑点レベルの落語家、鬼丸師匠にトークを合わせられる力量もある。
最初は月イチ程度のチョイ役であったが、地下アイドルをやりながら、バイト先のメイドカフェで「漬物担当」だったことを笑い話にしていた、努力の女芸人さんである。
彼女と鬼丸師匠を起用した、デレクターのザキヤマさんの番組構成は秀逸である。
それからTOKYO FMの『桑田佳祐のやさしい夜遊び』
もちろんあの歌詞が全然伝わらない小説の一節を歌うあの歌手とは無関係であり、山下達郎さんのあのマニアしか理解出来ないあの番組と、並ぶくらいの長寿番組である。
桑田佳祐さんの気の利いた軽妙なアドリブと、ガツガツしていないところが好きだ。
放送作家の番組進行と選曲もいい。
そして東大出を鼻にかけないビクターの役員、小野ちゃんの合いの手も実に気持ちがいい。毎週の土曜日の深夜が待ち遠しい。
そしてリリー・フランキーさんの『スナックラジオ』
もう歳なので前回のエッセイで何を書いたのかもう忘れているので重複したらゴメンナサイ。
なっちゃんとBABIちゃんの掛け合いが面白かった。
だがいつの間にかなっちゃんがプロレスラーに転向してしまい、段々番組から干され(?)ちゃったようにリスナーの私は感じていた。
出しゃばらず、リリーさんとBABIちゃんに気を遣いながらイジられキャラのなっちゃんには好感が持てた。
BABIちゃんに嫌われちゃったのかな?
なっちゃんが番組を去ると、今度はあの
最初は全然話せなかったしゅうちゃん。
「ラジオなのに何なんだよこの娘は? 小沢仁志の愛人なのか?」
憤慨した。美人ならラジオではなくテレビに行けばいいのにと思った。
だがリリーさんのおかげなのか? モデルの仕事などが入って来ると次第にしゅうちゃんがしゃべるようになってきた。
つまり自信が出来たのである。自分の魅力に気づき出したのだ。
今ではBABIちゃんにも気に入れ、妹キャラが定着している。
私はリリーさんと同世代であるが、若い娘の才能を開花させてあげているリリーさんは凄いと思う。
もう酒は飲めなくなっちゃったが、リリーさんのような人が飲み仲間だったら人生がより早く感じる筈だ。
芸能界でも影響力のある大物のリリーさんを相手に、しゅうちゃんもBABIちゃんも芸能人として、アーティストとしてのリリーさんではなく、ただの先輩として尊敬されているのが羨ましい。
リリーさんは本気で怒らない人だからなのか? いつも沢山の人が集まるようだ。
懐が深いから大樹のような安心感があるのだろう。器の小さい私とは大違いである。
その人物を知るには誰と付き合っているかで分かるものだ。特に芸能人と政治家はそうである。
リリーさんは笑う。
「お前らみたいなやつは他に行ったら5分でクビだからな?」
私もそう思う(笑)
BABIちゃんは収録には平気で遅刻はするしスタジオで飲み食いをしているようだ。
そしてメンタルが繊細なのでたまにドタキャン、収録を突然休んでしまう。
先日の放送では「お父さんとお得意様の立食パーティに呼ばれているから今日は早退するね?」と来た。
放送作家の演出なのかもしれないが、私は昭和生まれ、頭に来た。
「にゃんだとこのガキ! 仕事を舐めてんのかコラッ!」
でも思った。私の若い頃はもっと酷かったと(笑)
いつも女の事ばっかり考えていた。
でもリリーさんはそれを許してしまう。
おそらくそれは美大出の芸術家でもあるリリーさんがBABIちゃんの天賦の才能を認めているからなのかもしれない。
彼女のお父さんはフェラーリを3台も所有する大金持ちで、女性との付き合いも派手のようだ。
数回の離婚も繰り返している大物らしい。
故に彼女には腹違いの兄弟が数人いるそうだ。
娘のBABIちゃん才能を間近に見て、中学? 高校からパリに留学?、遊学?させてあげたそうである。
つまり彼女は規格外の天才なのかもしれない。渋谷育ちの元ギャル。
『スナックラジオ』は下品なトーク(失礼)とリリーさんの知的で心地良い囁くような声と、若い彼女たちの感性によって支えられている。
銀座のママがやっている高級クラブではない。新宿二丁目の飲み屋のような温かさがある。
スナックとは大人が鎧を捨ててどうでもいい話をママやマスター、そしてバイトちゃんたちに癒やされに行くところなのだと思う。
私も以前、事業に失敗して食えない時、よく小説にも書くが、「東北のシカゴ」でスナックの雇われマスターをしていた時期がある。
女の子はママの知り合いで美人揃いだったが、よくドタキャンされた。
スナラジと同じだった(笑)
スナラジも長寿番組になって欲しい。
スナック番組だからサントリーもスポンサーに付けばいいのに。自民党や電通に払うカネがあるのなら。
エッセイ『スナックラジオ その2』 菊池昭仁 @landfall0810
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