第21話 至りと邂逅
何か月経っただろうか。
今日は誰にも邪魔されずに鍛錬が出来た。
今日も後の閃を練習する。
遅い 遅い 遅い 少し早い 少し早い 早い 少し遅い 早い 遅い 遅い 早い 少し遅い 早い 早い 遅い 少し早い 早い 早い 遅い 少し遅い 遅い 遅い
変わらない、何も変わらない、いつまでも後の閃が極まることはない。
まぁ、鍛錬と、刀を振ることだけが、今の俺の生き甲斐なのだ。たとえ極まらずとも、鍛錬が出来ればそれで良い。
少しだけ休憩して、再度ゴブリンと対峙する。
鯉口を斬り、右手で柄を緩く握り、構える。
俺は静かに息を吐き、脱力、そして
待つ ただ、待つ
奇声を上げ、ゴブリンが飛びかかる。
大きく棍棒を振り上げた瞬間
抜刀
円を描いて刀を振り下ろす
ゴブリンが真っ二つになった
声を上げる事もなく、静かに粒子となって消えた
映像を確認する
「あぁ...駄目だ」
刀がゴブリンに接触するその瞬間、奴の目が僅かに上を向いていた。
早い
気付かれては意味がない。
再度、ゴブリンを出現させる。
ゴブリンが飛びかかる
大きく棍棒を振り上げ、振り下ろした瞬間
抜刀
円を描いて刀を振り下ろす
ゴブリンが真っ二つになった
ゴブリンがン粒子となって消える、その間際
コッ...
奴の棍棒の先端が僅かに、俺の額に接触した
遅い
攻撃を当てられては意味がない
やはり今日も駄目なのだろうか
まぁ良い 鍛錬を続ける
再度、ゴブリンを出現させる。
ゴブリンが飛びかかる
その瞬間は、突然訪れた
それを知覚できたのは 初めてだった
大きく棍棒を振り上げた
ゴブリンの動きが、いつもより良く見えていた
故に見逃さなかった
棍棒を振り下ろすまでのわずかな間を
ここだ
抜刀
円を描いて刀を振り下ろす
棍棒と刀が交差する
サンッ...
棍棒が額に触れる寸前、止まる
棍棒は力なく落下し、カランと音を立てる
ゴブリンは真っ二つになった
「出来た...」
確信があった
映像を確認する
ゴブリンは真っ二つになる瞬間
否
真っ二つになっても尚、俺に向けて醜悪な笑みを浮かべていた
ゴブリンに一切知覚させずに、奴を斬ることに成功した!
後の閃に成功した!!
この感覚を忘れてはいけない!!
ゴブリンを何匹も出現させ、一斉に襲い掛からせる。
僅かにタイミングの早かった一匹を斬る 完璧
身体強化で即座に離脱、再度、待つ。
数多のゴブリンが飛びかかって来る。
タイミングの揃っているゴブリン達を一太刀の下、斬る 完璧
離脱 斬る 離脱 斬る 離脱 斬る 離脱 斬る 離脱 斬る 離脱 斬る 離脱 斬る 離脱 斬る 離脱 斬る 離脱 斬る
完璧 完璧 完璧 完璧 完璧 完璧 完璧 完璧 完璧 完璧 完璧
全てのゴブリンを斬り伏せ、映像を確認する。
その全てが、俺の攻撃を知覚できていなかった。
出来た...出来た出来た出来た出来た出来た出来た出来た出来た出来た!!
これで、これでようやく次に行くことが出来る!!
そう考え、ふと、思う
次とは一体なんだ...?
後の閃を成功させた後、何かをしなければいけなったような気がする。
その何かのために、ここまで鍛錬をしていた気がする。
一体何だっただろうか...?
分からない...分からない...
分からないけど、とりあえず鍛錬をしよう。
鍛錬を、しなければいけないから...
そう考え、再びシミュレーションを行おうとすると
コンコン
と、シミュレーションルームのドアがノックされた
誰だろう?まだ鍛錬を終わる時間ではないはず...
ドアを開ける
「トレーニング中すまない。今、少しいいだろうか?」
そこには少女がいた
すらりと伸びた手足、引き締まった肉体、艶のある深紫の髪、凛々しい目つき
それは、
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明日投稿できそうにないので、早めに投稿しておきます。
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