少年の占いの話
占いって、信じますか?
僕は、信じています。
自分で言うのもなんですが、僕は占いが得意なんです。
好きな占い?──ここ数年は、タロットかな。
ここ数年ということは、そう。以前は違いました。
昔は、星座占いが好きでした。
誕生日星座で性格や、恋愛を占うんです。
僕の星座?ご想像にお任せします!
でも、最近は12星座ではなく、13星座らしいですね。黄道の位置が変わったとかで。
蛇使い座が入ったんでしたっけ。そうなると、僕の星座、変わるかもしれませんね。
現代は、占いは沢山の種類がありますよね。タロット、星、手相、トランプ、姓名、血液型…。
勿論、占いなんて信じない人もいるでしょうし、気休め程度だと言う人もいるでしょう。
それはそれで良いと思うんです。運命を自分で切り開く。僕もそういうタイプの人間ですから。
そうだ。占いといえば一つ、僕の中で不思議で面白いお話があるんですよ。良ければ聞いていってください。
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僕が某学校の生徒の時、恋バナが流行っていたんです。僕のクラスは男女問わず仲が良かったので、たまに混合で恋バナするんです。そういう学校が、他にもないかな?って期待しています。
まあ、僕は恋愛に興味がないんですけどね。
夏休みも終わりに差し掛かった頃、僕と父さんで近所の本屋さんに行きました。母さんは本を読む人ではないのですが、僕と父さんはいわゆる本の虫で、その日も新しい本を探しに行ったんです。
その時に、「趣味」の本棚に、黄色の凄く分厚い本があったんです。
それがタロットとの出会いでした。
そのタロットの絵がとても綺麗で、一目惚れして買いました。
父さんはタロットについて、色々教えてくれました。混ぜ方、並べ方、意味。本を片手にカードを見て、父さんと一緒に練習して、あっという間に二学期になりました。
二学期になって、初めの授業で席替えをして、僕は、後ろから二番目の、端っこの席になりました。仲の良い友達も近くにいて、天国でした。
放課後、友達に占いの実験台をお願いすると、快く引き受けてくれました。
やはり、クラスでは恋バナが流行っていたので、友達は、いつ頃に彼女ができるかを占ってほしいといわれました。
実は、これは僕が一番好きな占いです。
「愚者」の位置で占うので、一番早く、簡単なんです。
結果は、9月。今月!と彼は意気揚々で帰っていきました。
時は流れ10月になりました。
昼休みにあの友達が笑いながら言いました。
「俺、彼女できなかったよー」
どんな占いであれ、当たるも八卦当たらぬも八卦。しょうがないと思いつつ、僕は聞いてみました。
「彼女になりそうな人はいた?」
すると、彼は黙ってしまいました。
数秒の沈黙。
それから、大きな声で、
「えっ?!お前?!怖っ!!」
まさかの当たっていました。彼には9月に親しくなった女子がいたのです。かなり後に知ったのですが、片想い相手だったらしいのです。
親しくして、片想いから友情に変わった友達。けれど、占いはある意味当たっていました。
それから数日、僕の占いの話が、クラス中に広まっていました。占った友達が、別の友達に話し、その友達が──と広まっていったようです。
次第に、占ってほしいという人が一日に数人、放課後に残るようになりました。
その度に、僕は、その人の依頼に合わせて、占いました。それが卒業の日まで、テスト期間を除いて、毎日あったのです。
卒業するまでに、占った人数は30人ほど。
片想い相手の名前や、学年は聞きません。でも、その人の性格を占うと、皆驚いて、「そうそう!こういう人!」と、言ってくれます。
占いが当たったのかどうか、僕は、その後についてはあまり聞かないので分かりません。
だけれど、殆どの人はこう言うのです。
「君の占いは絶対当たる!」
そんな僕ですが、的中率は100%ではないのです。
どうして100%じゃないのかというと、何人かは、人生を占っているんです。
これから先の、人生を。
結果が分かる頃には、皆おじいちゃんおばあちゃんです。その時まで、結果を覚えている保証はありませんし、再会する保証もありません。
その人の人生が、幸せなら良いんじゃないかと思います。
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どうして、他人の恋愛に興味のない僕が、タロットで恋愛相談をしているのか?
簡単ですよ。どう行動したら良いのか分からない人たちが占いを頼る。僕が占う。外れたとしても、皆は何となく安心する。
なんで安心するのかまでは、僕は専門家ではないので分からないですけど。
皆に笑顔になってほしいんです。
笑顔があると、幸せが増えるでしょう?
そういうことです。
いつか、占ってあげましょうか?
当たるも八卦当たらぬも八卦ですけど。
そうそう、最後にとっておきのおまじないを教えてあげます。
心のなかで、何度も何度も強く願うんです。
そしてイメージする。
僕が知っているなかで、最強のおまじないだと思います。
あなたの人生にも、幸せが訪れますように。
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あとがき
こんにちは、Mila Holly です。
今回は、「占い」がテーマでした。
そうそう、まじないって、「呪い」って書くらしいですよ。そう考えたらちょっと怖いかも…?
それでは、またどこかでお会いしましょう!
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