第5話アルノルト・セネット②
「俺将来この国の軍団長になる!」
私はこの発言を聞いた瞬間自分の耳を疑った。
元来男という生き物は臆病で貧弱だ。
そうあることで男という生き物は女に守られて生きてきた。
そのため普通男は騎士になりたいなど言うはずがないのだ。
だが、よくよく考えればリオンのこういった言動は今に始まったことではなかった。
剣術を習いたいと言い始めた時は本か何かにでも感化されたかと思ったが、リオンは本気で剣術と向き合っていた。
私はリオンの隣にいることさえできれば、
どんな状況でも幸せなのでなるべくリオンの要望は叶えてやりたい。
だが、騎士養成学校に行かせるのだけは嫌だった。騎士養成学校という名前ではあるが、
生徒は騎士志望のものだけでなくサポート科や魔法科などもある。
そのため生徒数がとてつもなく多い。
さらに、数百年前に戦争は終結したものの
エルフの国は戦争でハイエルフが多く死んだことによりハイエルフとエルフのパワーバランスが崩れて内戦が勃発していた。
獣人の王国も種族間での対立が激しすぎて
崩壊して今でも紛争が絶えないという。
さらに、ドワーフの王国はバロニカ王国の
崩壊後にバロニカ派とハイマー派の内戦に
突入したらしい。
このような歴史の背景から、比較的安全な
人間の国に多くの異種族が避難民として逃げて来てた。
アルステラ王国は優秀な魔術師や戦士また
武器職人を生み出すために彼らに補助金を出して学校に通わせているため、異種族の生徒も非常に多いのだ。
あの学校では年中発情期みたいな雌しかいないため、いくら私でもリオンを守りきれるとは限らない。
ここは一つ、リオンに女性の怖さを教えてやるとしよう。
「だめだリオン、あそこは飢えた猛獣のような奴らの巣窟だ。獲物を見つけたら見境なく襲いかかるような奴らの中にお前のような極上の獲物を放り込んでしまえば私でも守りきれるかどうかわからない。」
「じゃあ、俺がお姉ちゃんのこと守ってあげる!」
こいつ、ここまで来たらわざとやってるのかと疑いたくなるレベルだ。
どこまで私を虜にすれば気が済むんだ。
私でなければ今頃ベッドの上だぞ。
「だめだ、第一リオンは剣術ができてもスキルがあるか分からないじゃないか。」
「じゃあ、俺がお姉ちゃんよりも多くスキルを持ってたら学校に通わせてくれる?」
「ああ、いいだろう。私よりも多くのスキルを授かったら私が毎日お前と一緒に学校まで登校してずっと一緒にいてやる。」
「やったー、約束だからね!」
「女に二言は無い」
シアンと母上もこれでリオンを学校に行かせずに済むと喜んでいた。
1ヶ月後私はリヨンとともに馬車で王都まで向かっていた。
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