treasure.11 対決! タカラナイト!

 ——屋根や木々を、アモルは器用に飛び移っていく。バイアと別れた公園が近づくにつれて、わたしの心臓の音が大きくなる。


 バイアはもう、どこかに行ったのかな。まだ公園にいる?

 勇翔くん、無事でいて……!


「あいつは俺たちを待ってるはずだ」

「分かるの?」

「あいつは目立つことを嫌うからな。夜明け前に決着をつけたがっているだろう。わざわざ場所を移動して、俺たちにバイアを探させるマネはしないはずだ。ムダな時間になるから」

「そこまで目立ちたくないのかな……」

「ファントムのリーダーになった時、顔が知れ渡っていると、悪さがやりにくいからな。なるべく自分の正体はふせておきたいと考えているんだ、あいつは」

 その会話が終わると同時に、わたしたちは公園にたどりついた。

 ふん水の前に降り立ったアモルは、優しくわたしをおろしてくれる。あいかわらずの、暗くて静かな公園だ。


「来ると思ってたぜ、アモル」

 音のない空間に、ネチャッとした声が、やけに大きく聞こえる。

 ざっ、と地面をこする足音に、わたしとアモルはふりかえった。

 ズボンのポケットに手を入れてニヤニヤするバイア。そのとなりには、青銅の剣を持って、ヨロイに身をつつんでいるタカラナイト——勇翔くんがいる。

「宝を渡す気になったか? 宝月守里」

 バイアはナイフを取り出して、刃先をわたしに向けてくる。

 わたしは、水晶レンズを持った右手に、ぎゅっと力を入れた。

「……お母さんからのおくりものを、あなたには渡せない」

 バイアは「はあ?」とにごった音を出す。そして、タカラナイトを指差した。

「コイツが、このままでもいいってのか? どんだけハクジョウなんだよ、てめえは!」

「勇翔くんも守ってみせる。わたしは、勇翔くんも、お母さんも、あきらめらくない!」

 バイアは「ケッ!」をツバをはきすてた。

「それなら、力ずくで奪うまでだ……! やれ!」

 バイアはカッと目を見開いて、ビシッとわたしに人差し指を向けた。

 剣をふりあげたタカラナイトが、わたしめがけて突進してくる。わたしは思わず、ぎゅっと目を閉じる。

 わたしの前に出たアモルが、剣がふりおろされる瞬間のうでをはじいた。タカラナイトの剣の軌道がそれて、宙に弧をえがく。

「アモル!」

「俺は気にするな。オーパーツを探せ!」

「う、うん」

 ふり返ることのないアモルの背中に、わたしはうなずいた。


 そうだ。アモルが時間を作ってくれているうちに、バイアの持つオーパーツを探さなきゃ!


 わたしは、まゆをつり上げるバイアの全身を、くまなくチェックする。

 紫のフードにはアクセサリーなんてついていない。持っているナイフも特別なものじゃないし、靴だってなんの変わりもない。

「だめ……見つからない……!」

 バイアのパーツを見終えるたびに、わたしの希望が、ひとつひとつ、確実にこわされていく。

「ちっ……!」

 アモルの舌打ちが聞こえた。わたしは顔の向きをアモルに変える。

 タカラナイトの青銅の剣がふりおろされていた。アモルは後ろによけたけど、バランスをくずして身体が仰向きになっている。空中で無防備になっている右手から、血のアーチがふき出ていた。

「アモル……!」

 わたしの呼吸いきが止まる。


 剣を持った人に素手で戦うなんて、不利すぎるんだ。

 このままじゃアモルが……!

 でも、オーパーツが見つからない……!


「俺を気にするな」

 右手をおさえたアモルが、かすれた吐息まじりに言った。前に立つアモルの表情は、わたしには見えない。

「こいつを守りたいんだろ。だったら、守りたいもののことだけを考えろ」

「だってアモルが……!」

「俺は、守りたいものを盗むために、ここにいる。それだけのために試験を受けている。だからお前も、そうすればいい」

 わたしが聞き返すより早く、タカラナイトの剣がアモルを刺そうとした。アモルは横にとんで、それをかわす。

 タカラナイトの攻撃を、アモルはスレスレでよけていく。


 どうしてアモルは、自分の能力……ジャンプ力を使わないんだろう?

 ……いや、そんなの、分かってる。

 自分をオトリにするためだ。

 アモルが攻撃をよけるだけなら、高くジャンプすればいい。だけど、そうしたら、タカラナイトは、わたしをねらうだろう。

 だからアモルは、わざと能力を使わないで戦っているんだ。

 わたしを、守るために。


「まだ平和ボケしたことを言い続けるのか? 宝月守里」

 剣と拳をかわすアモルとタカラナイト。そこから少しはなれたところで、バイアがわたしに、あきれた表情を向けてきた。

「自分の欲望のために、何人をギセイにするつもりだ? お前が宝をわたせば、あいつらは助かるんだぞ? 人の命より、自分の宝が大事なのか? そうやって、弱い立場の人間を、虫けらのように扱い続ける。それが、豊かな国に生まれたやつらの生き方だ。ヘドが出る」

 少しずつ痛々しくなっていくバイアの言葉に、わたしは首を横にふった。

「……わたしは、他人の幸せのために、自分の幸せをないがしろにできるような、いい子じゃないよ」

 ずっと握っていた右手を、ゆっくりと開く。水晶レンズの中に、お母さんのまぼろしが見える。

「わたしは、自分も、他人も、守りたい。お互いに幸せになれるような関係でいたい。そのために、お母さんみたいな、強くて優しい人になりたいと思ってる」

 バイアは両手を大きく広げた。

「ふざけんな! そんなのキレイゴトだろうが!」

「この思いが、このワガママが、わたしの個性なの! キレイゴトの一言で自分を捨てるなんてできない! だからわたしは、二人を守ってみせる!」

 わたしは身体の向きを、戦う二人にむける。

 歯を食いしばって戦うアモルの額に、汗が浮かんでいる。こんなに必死な姿は初めて見た。それだけ真剣に、わたしと勇翔くんを助けようとしてくれている。

 アモルの言葉のとおり、わたしは、守りたい人のことを……アモルのことを考える。


 ……出会った時から、アモルはずっと、わたしを守ってくれていた。

 箸の使い方も分からないくらい、貧しいくらしをしてきたはずなのに。

 アモルに夕ご飯を作って食べた時、わたしは、のんきにオーパーツの写真集を開いていたのに——

 あの夜に見た写真に、グライダー模型もあったっけ。

 あとは…………

 …………あとは。


 わたしの視線が、高速で勇翔くんに移った。


 ……!


「見つけた……!」

 戦いに集中するアモルに聞こえるように、わたしは、ありったけの息を使ってさけぶ。

「オーパーツは剣! タカラナイトが持ってる剣だよ!」

 アモルの目が大きく見開いた。

「なっ……!」

 声をこぼしたバイアが、あわてて口に手をあてた。それでわたしは確信する。

 

 やっぱり……!

 タカラナイトが持っている青銅の剣は『始皇帝のクロムメッキの剣』だ!

 紀元前三世紀、中国が秦の時代だった時の兵士が持っていたと言われている剣。

 二千年以上の時が流れてもキレ味が落ちていなくて、十数枚に重ねた新聞紙を切断できる。

 クロムメッキの加工がされていることから『クロムメッキの剣』って呼ばれてるんだ。

 てっきりオーパーツを持っているはバイアだと思ってた。

 だけど、勇翔くんに持たせることで、タカラナイトに変えていたんだ……!


「でかした、宝月守里」

 ななめ後ろから見えるアモルの口角が、わずかに上がった気がした。

「くそっ! こんなところで……! 負けられねえんだよおおおお!」

 血走った目のバイアが、がむしゃらに走り出した。向かう先にいるのは——アモルだ。


 だめ……!

 アモルはタカラナイトと戦うのでせいいっぱいのはず。

 そこにバイアが加勢しちゃったら、アモルは……!

 止めなくちゃ。アモルを守らなきゃ……!


 わたしの足が地面をけっていた。タックルみたいなかたちで、バイアに向かって飛びかかる。手に持っていた水晶レンズが、ポトリと落ちた。

 二人まとめて地面に倒れこんだわたしたちは、手足が絡みあってもみくちゃになる。

「やめっ……! はなれろ!」

「だめっ、行かせない……!」

 わたしを引きはがそうと両手でわたしを押してくるバイア。わたしはバイアの腰に必死にしがみつく。


 ここで食い止めなきゃ。アモルがクロムメッキの剣を盗むまで……!


 もみ合うわたしとバイアは、どちらかが上になったり、下になったりしながら、ころころ地面を回転する。

「この女っ……!」

 バイアに転がされて、わたしは下になってしまう。


 やっぱり、男の子に力で対抗するのは限界がある。

 どうすれば……!


 わたしの瞳に映るのは、夜の空。わたしたちを見下ろす、丸い月。

 地上をまるまる吸い込んでしまいそうな、幻想的ではかない黄色の月……

 わたしの頭を思い出がよぎった。左目に眼帯をした、みすぼらしい男の子。それなのに、万引き犯をつかまえた、強くて優しい、黄色の瞳の男の子——

 わたしの肩を押しているバイアの手を、わたしはガシッとつかんだ。驚いたのか、バイアからいっしゅんだけ力が抜ける。

 そのスキをねらって、わたしはバイアの両手首をくっつけた。わたしの両手を手錠みたいにして。

「手が、動かせねえ……!」

「万引きを捕まえた男の子が、見せて教えてくれた。手を使えないようにすればいいってね……!」

「てめえ……! 宝月守里ぃいい!」

 バイアの表情は、怒りとあせりでぐちゃぐちゃになっている。きっとわたしも、似たような顔になっているだろう。

 これで時間を稼げば——


「タカラナイト! こいつらを、まとめてぶっ殺せえええええ!」

 天に向かってバイアが吠えた。それに応えるように、タカラナイトが「ヴァアアアアアア!」と声にならない叫び声をあげる。その悲痛な叫びは、わたしの右耳をつんざく。

 ハッと右に顔を向けると、アモルとタカラナイトが向かい合っていた。左側に立つタカラナイトが、アモルに剣を突き刺そうとする、まさにその瞬間。

 アモルは動かなかった。クロムメッキの剣は、まっすぐ、アモルの脇腹に、刺さった。

「アモル——!」

 わたしは声を失った。

 傷口からポタポタと血がたれている。バイアの「アハハハハ!」という狂った笑いと、タカラナイトの「アアアアアア!」という狂った叫びが、夜の公園にとどろく。

「……うかつなヤツだ」

 声量は決して多くない。それなのに、叫び声や笑い声をピタリと止ませるオーラがある。

 アモルは不敵に笑う。わたしとバイアはポカンとしている。タカラナイトの動きも止まった。

 アモルは、自分の脇腹に刺さっている剣を、ガシッとつかんだ。

「盗賊の手の届くところに、宝を持ってくるなんてな……」

 アモルは、自身に突き刺さった剣を、一気に引き抜いた。その反動で、タカラナイトは剣から手を放してしまう。

 クロムメッキの剣を失ったタカラナイト。そのヨロイが、まるで砂のように、サラサラと消えてなくなっていった。そして、もとの——勇翔くんの姿を取り戻した。

「勇翔くん……!」

 勇翔くんは、ドサッと地面に倒れこんだ。電池の切れた人形のように、全身から力が抜けている。

 わたしとバイアのところに、アモルが歩いてくる。脇腹から血を流したまま。

 わたしたちの前で立ち止まったアモルは、クロムメッキの剣をバイアに向けた。

「お前の宝、盗ませてもらった」

 バイアはガバッと立ち上がる。その勢いに、わたしの手は振りほどかれてしまう。

「なんでだよ……! どうしてそこまでして、この女の望みをかなえる⁉︎ 俺たちは盗賊だぞ! 周りから散々いじめ抜かれてきたんぞ!」

「……約束を、果たすため」

 アモルは落ち着いた声で、はっきりと答えた。バイアは首をぶんぶんと横に動かして「認めねえ! 認めねえ!」とくり返す。

「俺は、お前のやり方なんて認めねえ……! 俺は、甘いやり方なんてしねえ! 俺のやり方で、必ずファントムのリーダーになってやる……!」

 バイアは足を引きずって、公園を去っていく。その背中にかける言葉は、最後まで見つけられなかった。

 バイアの姿が見えなくなったのと同時に、アモルが脇腹を抑えて、崩れるように座りこんだ。クロムメッキの剣は、情けなく地面に落ちる。

「アモル……!」

 起き上がったわたしはアモルの肩に手を置く。


 ひどい出血……!

 早くなんとかしなきゃ、アモルが危ないよ……!

 なにか、治療できる道具はないの……!?


 あたりを見回すわたしの目に、オーパーツが飛び込んできた。クロムメッキの剣じゃない。

 アッシリアの水晶レンズ。お母さんからの、最後のおくりものだ。


 ……そういえば、アモルのジャンプ力を高めるグライダー模型も、タカラナイトを生み出すクロムメッキの剣も、オーパーツだ。

 そして、アッシリアの水晶レンズも、オーパーツ。

 それなら、アッシリアの水晶レンズにも、なにか能力が宿っているんじゃ……

 

 立ち上がったわたしは急いでレンズを拾う。アモルのもとにかけよって、レンズをアモルに近づけた。

 水晶レンズは、ただ静かに、月の光を吸い込む。その間も、アモルは息を荒げて、傷口をおさえている。


 お願い、お母さん。

 わたしに、守りたい人を守る力を貸して……!


 わたしが祈ったと同時に、水晶レンズが白く柔らかい光を放ち始めた。

「きゃっ!」

 レンズを中心に、どんどん光は大きくなっていく。それにつれて、アモルの呼吸は少しずつ整っていった。

 自分の脇腹に目を向けたアモルが「は……?」と声をもらした。わたしも同じところを見てみる。

「傷が、消えていってる……!?」

 わたしたちがポカンとしているうちに、刺し傷はキレイさっぱりなくなった。それと同時に、レンズの光も弱くなっていき、消えた。

「これが、『アッシリアの水晶レンズ』の能力……なの?」

 わたしは、右のてのひらの水晶レンズを、左手の指でそっとなでる。


 何が起きたのかは分からないけれど、アモルを助けてくれたのは事実だ。

 ……お母さんが、手伝ってくれたのかな。

 貧しい国の人たちを救うために、世界中を飛び回っていた、お母さんが。


「ありがとう、お母さん」

 わたしは水晶レンズを服のポケットにしまう。

「……はあ」

 アモルが大きなため息をつく。あきれたような顔つきで、続けて言った。

「盗賊を助けるなんて、バカなやつだ。見捨てられて当然の人間なのに」

 その言葉を聞いた瞬間、わたしの中の熱が、一気に頭にのぼってきた。

「バカはそっちでしょ!」

 わたしはアモルの胸元を、ポコポコとたたく。

「あんな、自分を傷つけるような戦い方……! 死んだらどうするつもりだったのよ!」

「盗みたいものをつかみとるには、あれが最良だった」

「そうじゃなくて!」

「じゃあ、どういう意味だ」

「お母さんの時と、同じ思いをさせないでよ……!」

 わたしは、赤ちゃんみたいにわんわんと泣いた。


 もうイヤだよ。

 大切な人と、つらいかたちでお別れするのは。

 その痛みを知っているからこそ、分かるんだ。

 同じ痛みに、もう耐えられないってことが……!


「……悪かった」

 わたしのなみだが止まった。

 アモルが、ぎゅっと、わたしを抱きしめたから。

「……二年前、ファントムの指令で、この国に来た時。とある店から、あわてた様子の男が出てきた。後ろから、エプロンをつけた人間が「泥棒ー!」とさけんで追いかけてきたから、俺は理解した。窃盗犯を店員が追いかけているんだと」

 わたしはキョトンとしてしまう。アモルは何の話をしてるんだろう?

「男の手には、玩具菓子や酒があった。生きるためには仕方のない行為ではなく、己の快楽を満たすための盗みだと分かった。だから俺は、その男をつかまえた」

 思い出を語るアモルの声は、わたしの耳に、すっととけこんでくる。

「変なのはそこからだった。泥棒を追いかけにきていたのは、店員だけじゃなかった。女がいたんだ。俺と同い年くらいの。そいつは、腹をすかせた俺に、菓子とおにぎりをよこしてきた。助けてくれたお礼だと言って」

 …………あれ?

「そいつは俺に『また会いに来て』と言った。最初は断ったさ。俺は盗賊だ。自分を隠しながら、ひっそりと生きるしかない人間だ。だがそいつは『仲良くなるのに、正しいやり方なんてない。だから会いに来てほしい』と言ってきた。だから俺は、ファントムのリーダーの試験を受けることで、その約束を果たそうとした」

 ……待って。

 この話、覚えがありすぎる。

 でも、あの子が、まさか——

「だが、そいつは俺を覚えていなかった。俺は不愉快になった。世間からしいたげられたきた俺に、なんの悪気もなく恵みを与えてきたのは、そいつくらいだった。そうなれば、俺が、そいつを忘れるなんて、できるわけないのに。正しいやり方でなくてもいい、どんなかたちだとしても、もう一度、そいつに会いに行くために、俺は……ここに来た」

 ……いや、違う。

 だって、あの子の瞳の色は、月の色。

 アモルは——

「……俺が試験を受ける理由を、お前を守る理由を、知りたいと言ったな。そんなの、最初に伝えていただろ」

 わたしの背中に回っていたアモルの手が、すっとはなれた。

 わたしたちはお互いを見つめ合う。アモルの左目——サファイアのように美しく光る青い瞳が、わたしを引き付ける。

 アモルは、自分の右手を前髪にあてた。アモルの右目を隠している、前髪に。

 バサッ、と、アモルが前髪をかきあげた。その奥にあった右の瞳が、わたしの心臓をつかまえる。


 金色の、瞳……!


「宝月守里。お前を、盗みに来た」

 海のような左目と、月のような右目。わたしはまるで、夜の海にいるような心地になる。

「アモルが、あの時の、男の子……」

 どうして気がつかなかったんだろう。

 隠している目が違ったから?

 それでも気がつけたはずだ。だって……

「……アモルは、ずっと、優しい盗賊さんだったんだね」

 自分は過酷な環境にいるのに、誰かを守るために行動できるんだから。

 わたしは目を閉じて、アモルへの気持ちをたくわえる。ゆっくりと目を開けて、こころにためこんだ思いを、まっすぐに伝える。

「ありがとう」

 過去に出会っていた事実を取りもどしたわたしは、アモルにほほ笑みかける。うまく笑えていた自信はない。

 なんでかって?

 わたしの目の前にいるアモルが、ぎこちなく口の角をあげたから。

 「悪い子」であるわたしたちの笑い方は、不器用ではあるけれど、悪い子同士なら、それでいいのかもしれない。

 夜空からは雲が消えて、丸い月がわたしたちを見守ってくれていた。

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