娯楽 ~キュッチャニア式麻雀編~

「じゃらじゃらじゃらじゃら」

モモンガたちがテーブルに集まり口々に「じゃらじゃら」と言いながら牌をかき混ぜている。

不器用にかき混ぜられる牌たちもまた、ジャラジャラと音を立てている。

「きゅー」

混ぜ終わった牌を、それぞれのモモンガが近い方から手に取り適当に並べ始めた。

「今回はいまいちだきゅー」「そういう時もあるきゅー」

麻雀が至極いいかげんに伝わった結果生まれた、キュッチャニア式麻雀である。

手牌の数すらあいまいで、モモンガによってその数は異なるし、状況によって増えたり減ったりもする。


「これいらないきゅー」

ポイッっと一匹のモモンガが牌をテーブルに放り出すと、ぐちゃぐちゃの山から新しく牌を取った。

「僕はもうちょっとほしいきゅー」

別のモモンガは牌も捨てずに山から牌を取った。

キュッチャニア麻雀はルール無用である。


「ぼくこれいらないきゅ」

「それほしいきゅー」

捨てられた牌を別のモモンガがそのまま自分の手牌に加えた。

「ちょっととりすぎたきゅ」

明らかに他のモモンガより多い手牌を持っていたモモンガは、一度に3つほど牌を捨てた。


万事いい加減な展開で進行していると、不意に一匹のモモンガが嬉しそうに言った。

「そろったきゅ!」

そう言うと、手牌を全員に見えるように倒して見せる。

「すごいきゅー」「えらいきゅー」「いいきゅー」

他のモモンガたちがすかさず褒める。

いわゆる役とは一切関係なく、並べていて何となく"揃った"気がしたらそれを宣言し、他の参加者はそれを褒めるというのがほぼ唯一のルールである。

ただしあまりにも"揃った感"が低い場合には物言いが入ることもある。


「まだやるきゅー?」

「やるきゅー」

「じゃらじゃら」「じゃらじゃら」

モモンガたちは再び牌を混ぜ始めた。

「なにか飲むきゅー?」

「ドングリビールをもってきたきゅ。みんなで飲むきゅー」

「えらいきゅー」

「冷めてるけど炙りドングリもあるきゅー」

ドングリビールと炙りドングリは定番の組み合わせだ。


「じゃらじゃらじゃらじゃら」

その後もこのモモンガたちはこの遊びをダラダラと続け、夕方になると家に帰っていくのであった。

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