ドングリ・ディスペンサー

前に並んでいたモモンガが、ドングリで満杯になったバケツを重そうに持ちながら離れていく。

一歩前に進む。

「バケツをフックに吊るしてから電子ドングリカードを差し込み、またはドングリ交換券を入れてくださいきゅー」

録音された決まり文句が流れる。自分の番が来た。

バケツをドングリ・ディスペンサーのフックに吊るす。

そして電子ドングリカードを押し込み、

「政府標準バケツ1杯分」と書かれたボタンを押す。

ザーッと音を立ててドングリ・ディスペンサーがバケツに向けてドングリを吐き出す。

まだ一口も食べていないのに、湧き上がる満足感。

「バケツを取り外してくださいきゅー」

ドングリで満杯になったバケツを取り外して、家路につく。

「今日こそは家まで我慢するきゅー」

…結局3個つまみ食いした。

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