第2話

少女は、水槽の中にいた。


彼女が身を置く水槽は酷く狭く、水はどす黒く濁り腐り果てており、どういう事なのか、水槽のはずなのに蓋が綺麗にかぶさっている。


しばらくすると水質が突然に浄化され、目前の景色が鮮明なものとなる。


少女の四方を取り囲むように、無数の水槽が配置されており、少女を惹きつけてやまない独自の形状を有する水槽や、水槽の中に色彩豊かなオブジェのような物が配置された瀟洒しょうしゃな空間が広がるものなど、実に多種多様だ。


少女は自身に割り当てられた水槽を見る。


形状はたしかに独特だが、かといって人を惹きつけるものがあるかと思えばそうではなく、寧ろ異端なだけだ。


これが自分なのだと、少女は悟った。


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現もどきは、夢もどき @apricot20

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