劇薬

ある研究者が国から国民の頭を良くする薬の開発を命じられていた。

やがて薬が完成すると、国の役人たちは大いに喜び全国民へと薬を配布した。

しかし、薬を服用した国民の中から大勢の死者が出た。

慌てた役人たちが研究者を問い詰めると彼はこう言った。


「あの薬は正確には頭を良くする薬ではありません」


「なんだと?」


「でも今の国民の頭の良さは以前より良くなっているでしょう?」


「だが大勢の国民が命を落としたんだぞ。君は一体何を作ったのかね」


「バカにつける薬ですよ。バカというものは死ななければ治らないのです」

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