地下三階

第十二話

 地下三階は地下二階とは逆で、さむかった。ダンジョンのかべを見ると、表面はこおっていた。そしてそこからやはり、三体さんたいのモンスターがあらわれた。


 頭からひざまでの、茶色い布をかぶっていて右手には先端せんたん球体きゅうたいがついたつえを持っていた。あの杖、直道なおみちが持っている杖と同じだな。


 するとまさか、魔法使いなのか?! 僕の予想よそうは、当たった。シオンさんは、さけんだ。

「あいつらは、魔導士まどうしよ。攻撃魔法を使うから、気を付けて!」


 すると三体の魔導士は、杖をるった。そしてその杖から、ほのおかたまりが飛んできた。炎はシオンさん、僕、直道に当たった。くっ、熱い! でもあいつらを倒さなきゃ! すると直道は、炎の攻撃魔法をとなえた。


 ファイア!


 炎の塊が一体の魔導士に当たったが、あまりダメージを受けていないようだ。シオンさんは、叫んだ。

「ムダよ、直道君! 魔導士にはあまり、攻撃魔法はかないの!」


 でも直道は、攻撃魔法をち続けた。

「なら、これならどうだ?!」


 アイス! アイス! アイス!


 今度はこおりの塊が、魔導士に当たった。するとさすがに、ダメージを与えたようだ。そのスキを、シオンさんは見逃みのがさなかった。その魔導士にレイピアでりかかりダメージを与えて、たおした。


 とどめをしたのは、シオンさん攻撃だ。ならここは、シオンさんにがんばってもらわないと! 


 そう考えた僕は、攻撃魔法などのダメージをらす魔法をシオンさんにかけた。


 バリア!


 するとシオンさんは、「ありがとう!」と叫んで魔導士に斬りかかった。シオンさんは魔導士から攻撃魔法をらったが、バリアのおかげでダメージは少ないようだ。そして二回、斬りつけて倒した。


 残りの一体もやはり攻撃魔法を喰らったが二回、斬りつけて倒した。戦いには勝ったが、シオンさんは直道に怒鳴どなった。

「どうして攻撃魔法を撃ち続けたの! 魔導士にそれは、あまり効かないって言ったのに?!」


 すると直道は、小さな声で答えた。

「うん……。確かにファイアの魔法は、あまり効かなかった。でもアイスの魔法だったら、効くかも知れないと思って……」


 それを聞いたシオンさんは、さとすようにげた。

「なるほど、そういうことね……。でも残念ざんねんながら、魔法の種類しゅるいは関係ないの。攻撃魔法を使う魔導士には、どんな種類の攻撃魔法もあまり効かないの。分かった?」


 すると直道は、こくりとうなづいた。それを見たシオンさんは、安心した表情になった。

「攻撃魔法があまり効かない敵に攻撃魔法を使っても、それは魔力のムダになるから気を付けてね。それにしてもどうしていきなり、戦う気になったの?」


 直道は、シオンさんをっすぐに見つめて答えた。

「僕もシオンさんの役に立ちたかったから! イフリートと戦った時の純貴じゅんきのように役に立ちたかったから!」


 そして僕を見つめて、くやしそうな表情になった。僕は、理解した。そうか、直道はそんなことを考えていたのか……。するとシオンさんは、優しい表情になった。

「そうだったの……。でも心配しないで、直道君。私たちの中で攻撃魔法を使えるのは、直道君だけ。だから君の攻撃魔法が役に立つ時が、きっとくるわ……」


 それを聞いた直道は、決心した表情になった。

「うん、ありがとう、シオンさん。僕、その時がきたら、がんばるよ!」


 そしてシオンさんが直道の頭をなでると、直道はシオンさんにきついた。そうして僕たちは再び、ダンジョンの奥に進んだ。


 この地下三階に現れるモンスターは、やはり三体の魔導士だった。でも僕たちは、僕がシオンさんにバリアの魔法をかけてシオンさんがレイピアで攻撃するという方法で、魔導士たちを倒していった。


 直道は戦いそうにウズウズしていたが結局けっきょく、戦うことは無かった。そうしてダンジョンを進んでいると、目の前にとびらが現れた。どうやらこの扉を開けないと、先に進めないらしい。


 扉には、自然の風景ふうけいられていた。川が流れていてそのまわりには草がえていて、さらに奥の方には森があるという風景が彫られていた。


 僕たちは取りあえず、扉を押してみた。僕とシオンさん、そして直道の三人で押してみたが、びくともしなかった。するとシオンさんは、つぶやいた。

「この扉はどうやら、力では開かないみたいね。開けるには、何か方法があるみたい……」


 そして僕たちは、扉を注意深く観察かんさつしてみた。すると扉には、ならんだ二つのあながあった。この穴に何かを入れるのかなと考えた僕は、扉の周りをさがしてみた。


 そうすると扉の右側に、『月』と『太陽』という文字が彫られた、二つの十センチほどの玉を見つけた。

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