第2話 煩悩鹿は思い出す!

 シカラッシカラッシカラッ…と駆け寄る相手は、多分スウェーデンあたりから来た外国人。


「OK...You want this one, right?」


 そうそう、それだよそれ、鹿せんべい。奈良公園近辺で観光客にたかって食わせろ圧をかけていれば必ず取り出す円盤。


 俺は鹿せんべいをばりむしゃばりむしゃして、満腹になった腹をたるんと垂らしながら…ぽて腹ってえっちぃよね…じゃなくて、まぁ縄張りのある春日大社に戻って行く。


 シカラッシカラッシカラッ…車道を警戒しながら渡って、自転車と同じあたりを突っ走っていると、突然横からトラックがぁあああああ!!!

 なんとか急ブレーキ踏んでもらって致命傷は免れたんで、そのまま帰還。

 すると、その道中、なんだか眠くなって……


 あれ、これ死んでね?

 え、俺死んだから人間の身体になったのか?


「きゅきゅー……」


 と思えば、目が覚めた。眠い。朝勃ちよし! って、白い服……見知らぬ天井……ココドコ?


「お目覚めになられたぞ!」

「急ぎ牧師様を!」

「朝食の用意だ!」

「キュキュ?!」


 なになになにさ、突然大きな声出して?! って人間一杯…あ、可愛い娘もいる…ってそうじゃないそうじゃない。え、なに? 俺食べられる? 人生しゅーりょー? 鹿生だけど。


「あぁ、鹿様…」

「ははーっ」


 なんか拝まれてるんだけどっ!?

 何事なのさー!!!

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