煩悩鹿は拝まれる!

HerrHirsch

第1話 煩悩鹿は突き刺さる!

 シカラッシカラッシカラッ…

 俺は股間と胸を両で押さえながら緑生い茂る森の中を駆け抜ける。


「待って!」

「止まってぇ〜」


 二人の少女が、後ろから俺を追い立てる。

 一人は白と黒を基調としておへその出た軽装に身を包んだ黒髪ショートヘアに黄色い眼の猫耳娘。武器は弓のようで、ショートボウと矢筒が目立つ。

 もう一人は長袖のワイシャツに黒のパンツルックで胸当てと膝当てをした銀髪碧眼のショートボブエルフ耳剣士。双剣で、右手にバスタードソード、左手にコンバットナイフが光っている。


(いや止まったら取って食うだろ! どう考えても狩る気じゃん! それか慰み者にするんだろ! 同人誌みたいに! 俺のこのちっこいちんぽに跨ってずぽずぽするんだ! そんで「あら? ぜんっぜん奥まで届きませんねぇ…短小ちゃん?」とか言うんだろ! 同人誌みたいに!)


 などと思いながら、俺は小さなモノを勃起させ可愛い顔を朱色に染め上げながらも、必死にで地面を蹴る。


 ちなみに、先ほどからチラチラ視界に映っている髪の色は濃い茶色。長さ的にはセミロングと言ったところだが、前髪はぱっつんである。


 しかし、そこに颯爽と飛び出してきたのは


「ブヒッ」


「キュイ?!」


 瓜坊…猪の子供である。それを躱そうと自慢の跳躍力を発揮したところ――


「キュ」


 大木の幹に角からぶっ刺さってしまった。宙吊り状態でぷらーんぷらーん…頭がぐるぐるして、俺は意識を手放した……


「大丈夫?!」

「早く下ろさなきゃ〜」

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