03 あの子との帰り道

「あのさ、帰りにゲーセン寄っていかない?」

「いいよ!りんって、クレーンゲーム得意?」

「得意っていうか、幼い頃からしてるからさ、慣れてるみたいな…」

「あ~つまり得意ってことだね!」

「そうなのかも…?」

りんは、意外とクレーンゲームが得意みたいだった。私は得意でもなんでもない。


「このぬいぐるみ、かわいいね〜」

「とってみる?私、これならとれそう。」

りんは自信満々に言った。

「えぇ〜ほんとにできるの?」

「できるよ、ほら見てみな!」

百円玉を2枚入れ、ぬいぐるみを見ながらボタンを長押しし、もう一回ボタンを押す。

必死な彼女も華麗だ。

「どうよ、これでいけるでしょ!」

「ほんとかな〜〜」

「ほんとだよ!」

彼女がそう言うと、ぬいぐるみが機械によってつかまえられ、そのまま出口へと運ばれた。

ぬいぐるみが下に落ちた。

「えっ、マジじゃん」

私が驚きながら言うと、彼女は誇らしげに言う。

「すごいっしょ?

よく、クレーンゲームが得意って言うと、意外って言われてひかれるんだ。」

「ひく要素ないと思うんだけどな〜。

誇るべきことだよ。」

「私もそう思う。これからは誇りを持つよ!」

その時、私はドキッとした。

これは恋じゃない、もっと違うもの。


「らんって、この近くに住んでるの?」

「うん!鹿原北町に住んでるよ。りんは?」

「私は鹿原南市に住んでるんだ。

学校に行くまで、電車で30分ぐらいかかるんだよね〜!

学校から近いの羨ましいかも笑」

りんは羨ましそうにこっちをみる。


「あっ待って、電車きた!

じゃあ、また明日ね!らん!」

「また明日!」

彼女は慌てて電車に乗り、座席に座った。

もうちょっと彼女と話していたかった…なんて思ってしまった自分もいる。

どうしたら、私達はずっと一緒に居られるのだろう。


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