02 仲良くなりたい

あの子は、鈴谷りんという名前らしい。

名前も知ったことだし、思い切って話しかけてみた。

「あの、鈴谷さん…だよね?」

「ああ、3組の望山さん?

どうかしたの?」

どうやら、鈴谷さんは私の名前を知っているようだ。

「なんで、私の名前を知ってるの?」

「誰よりも清潔だったからかなぁ。

望山さんも、どうして私の名前を?」

「えっと、綺麗だったから…」 

「自分が綺麗かどうかなんて分からないけど、

望山さんが言うなら綺麗なんだろうね」

鈴谷さんは私にそっと微笑んだ。

「あのさ、らんでいいよ!」

「じゃあ私のこと、りんって呼んで。」


それから、私達は友達になった。

休み時間が終わると、集まって毎日話すようになった。


「らんはさ、魚ってすき?」

「深海魚だと…メンダコが好きかな。」

「あ~メンダコ!可愛いよね。

私はヒメカンテンナマコが好き!」

「どうして?」

「ん~っとね、お母さんと水族館でみたんだ!

初めて見たとき、すっごく綺麗でさ。

こんな綺麗な魚いるんだなって感嘆したの。

だから好きなのかもなって。」

「そうだね、それが好きって感情なのかも」

私がそう言うと、りんは納得した顔をした。

「これまで、何が好きで何が嫌いか、 

私にはあんまり分からなかった。

これが好きって気持ちなんだね。」

りんは嬉しそうに微笑む。

彼女を見てると、私も次第に嬉しくなってきた。








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