あの子は深海魚
內
01 それだけ
私はずっと一人だ。
小学校から中学校まで、一応友達は手で数えれるぐらいいた。
けれども、その友達は学校で少し話すくらいでクラスが変われば一切関わらなくなる。
それは、友達なのか分からないけれど私は友達だと少し思っていた。
中学校を卒業した1ヶ月後、
私は高校の入学式に来ている。
私が入学する高校は、進学校でもなく、偏差値も低くはなく、一般的だ。
なんせ、私は頭も良くなく悪くもない。
ただ平均的な学力である。
入学式には、色々な人間がいた。
髪の毛がラプンツェルのように長い人、眼鏡をかけている人、高身長の人、目がタレ目の人、姿勢がいい人。
どれも私にはない、個性的だ。
少し羨ましく感じられた。
教室に入ると、そこには沢山の同年代の人々がいた。
私は、これからの学校生活に期待した。
『これからどんなことをするんだろう?』
『友達は10人くらいできるかな?』とか。
だけど、その期待はすぐ裏切られた。
すぐに、他の人達でグループができ、私は友達が作れなかった。
私が話しかけなかったのが悪いのは分かっている。友達作りは、自分からどうかしないと無理だってことも。
入学式から1週間経ったある日、
私は他クラスを見に行った。
他クラスの教室には、グループでワチャワチャ話している人達がいるにも関わらず、一人で席に座っていて窓をぼーっと見つめている女の子がいた。
その子は、深海魚のように美しく儚かった。
この学校の誰よりも、世界中の誰よりも。
心が少しキュッとした。
その時、私はいつかその子に話しかけてみようと決心した。
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