いじめっ子の一人と仲の良かった馬場桃花さん(仮名)
A子が人を虐めていたと聞いて、不思議には思いませんでした。私は隣の家に住んでいてよく一緒に遊びましたが、私は受験をしてA子とは別の中学に進学したので離れ離れになりました。実は私が私立中を選んだのはA子と離れたいと思っていたからなんです。
A子と遊ぶときは気を遣う必要がありました。うっかり失言すると機嫌を損ねてしまいます。うまくおだてながら接すると優しいのですが、怒らせると歯止めが効かなくなります。Y子さんとは面識はありませんが、おそらく玲奈の癪に障る言動をしてしまったのだと思います。Y子さんとしては普通の言動だったとしても、です。
A子が亡くなったと聞いてしばらく信じられませんでした。ああいう他人に気を遣わせて大風呂敷を広げて生きるようなA子はしぶとく生きるんだろうなと半ば確信めいたものがあったからです。
もちろんA子のお葬式に出席しました。もともと家族ぐるみの付き合いがあったものですからおそれを抱いていた対象だとしても楽しい思い出もあったことは事実でしたし悲しかったです。だからこそ、A子のご遺体を見て恐怖心が身体中を包みました。最初は棺の中のA子は顔に大きな白い布が被せられていました。お葬式に参列したのはその時が初めてではなかったので、白い布に対する違和感を抱いておりました。そのとき、ホールに風が入ってきたのか、白い布がめくれて顔がA子の顔が露わになりました。棺の周りにいた参列者たちの悲鳴は今でも覚えています。両手の指四本が目玉を潰して入り込んでいて、舌が異様に長く垂れていて遺体の底の綿に舌の先が触れていました。
どれだけ腕や口を戻そうと思っても戻らなかったそうです。A子のお母さんは憔悴しながら言っていました。
「玲奈の叫び声が部屋から聞こえてきて何事かと思ってドアを開けたら、両目に指を突っ込んだまま玲奈が床をのたうち回っていた。目から耳にかけて大量の血が流れていて、どうすればいいかわからないうちに舌が延びるように垂れてきて動かなくなった」と。
Y子さんの呪いと言いますが本当なんでしょうか? 玲奈はY子さんをいじめてきたので罰が当たったといえばそれまでですが、やはりあの亡くなり方は苦しいものがあります。
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