最終話:ノミのカップル。

「ふ〜ん、普段ボーッとしてるのかと思ったら、ちゃんと生活設計できてんじゃん」

「そうなんだ・・・じゃ〜エッチなんかしなきゃいいよな、拓」

「だったら、そんなまどろっこしいこと考えないでいいだろ?」

「原因がなくなるんだからさ」


「なに言ってんですか、エッチは別ですよ」

「それは俺と先輩の大切なコミュニケーションですから」

「俺の夢は最初っから先輩を抱くことだったんですから・・・俺の願望は

先輩の中に入りたいんです」

「先輩と妄想の中だけでなんて我慢できないです」


「どうしてもやりたい?」


「できたらやりたいです」


「じゃ〜いいよ」


ってことで、拓人は薬局へ行ってコンドームを買い、母ちゃんのシフト表から

土曜日か日曜日の出勤の日を確かめて、満を持して那月を家に迎えた。

そうしてようやく拓人と那月は拓人のベッドで、ついに結ばれたんだけど

どっちにしても初体験のふたり、とりあえず途中までエッチの真似事と

同じことをやった。


ディープなチューして、おっぱいモミモミして・・・あとはホールインって

段階になって拓人はめっちゃまごついていた。


「拓、なにしてんの?・・・そこ違うだろ・・・もっと上」


「すいません先輩、手で誘導してくれませんか」


「え〜まじヘタレ・・・ここだよ」


「あ、ありがとうございます・・・ここですねっと・・・」


「い、痛い・・・痛いって・・・ゆっくりだよ・・・優しくしろよ」


「すいません先輩・・・めちゃ焦るな〜」


なワケでなんとかふたり合体できたみたいだけど次の日、拓人は那月から

文句を言われた。


「拓・・・おまえのせいで股に棒が入ってるみたいで気持ち悪い」

「あ〜憂鬱だわ・・・」


「それ俺のせいですか?」


「当たり前だろ・・・おまえのグロいキモいやつ、あいつが悪いんだよ」


「悪人みたいに言わないでくださいよ、俺にとっては可愛いやつなんですから」

「つうか先輩、俺とひとつになれた喜びとかないんですか?」


「そんなのない、喪失感だけだわ」

「俺は征服感満載ですけど・・・先輩、可愛かったですよ」


「アホか・・・」


そりゃ攻める立場の拓人としては征服感満載なセックスだっただろう。

受け身の那月は鎧を脱ぎ捨て拓人のなすがままにすべてを解放した。

セックスの時はそう言う立場になっても、だからって普段のお互いの立場が

逆転したりはしない。


那月は相変わらず悪口雑言だし、拓人は太鼓持ちみたいに那月にへばりついていた。

拓人は相変わらず、那月のひとりエッチが見たいとせがみ、那月は拓人を変態

よばわりしてバカにしていながらも、ささやかな幸せを感じていた。


拓人と那月は他人から見ればめちゃ変わった凸凹カップル。


よくノミの夫婦って言われるが、ノミは雌が雄より大きいところから夫より妻のほうがからだの大きい夫婦のことを言う。

拓人と那月は体の差は拓人のほうが大きいけど、態度は那月のほうが大きい。

だから違った意味で、ふたりはノミの夫婦ならぬノミのカップルと言えるんじゃ

ないだろうか。


おしまい。










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俺にとって先輩は天使でしかなくその制服姿は反則級に可愛い。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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