第18話 僕の名は…  みんなで考えよう!

 朝、出勤してデスクに着く前に挨拶をしますね。

「おはようございます」

 普通のことです。


 西島さんに挨拶をしました。

「おはようございます」


 西島さん…パソコンから目を離し

「おはようございます」

 と言ってくれました。


 うん…? 

 なんか違和感…


 西島さんを見ます。

 パソコンの画面の横から覗きます。


「なに…? 」

 目が合うと彼女は僕にそう訊きました。


「いや…あの…なんか…」

 僕は整理しきれない頭の中、そのままに返事をしました。


「なんか…なんか…あるんです…なんかが…」

「うん…あるよ…」

 西島さん…少し笑っています。


「なんかひどい違和感があるんだけど…」

 僕は自分に苛立ちました。


「うん…わかる…わかっているけれど…教えない…」

 彼女の意地悪な笑顔が僕をさらに…


 でもなんだ…この…わけのわからない変な感じは…

「ヒントです…」

 ヒント…? 

 なんだ優しいじゃない。


「何かが先週とちがっています! 間違い探しです! 」


 満面の笑みだ…


「何が違うのでしょーか? さあ、みんなで考えよう! 」


 SHOW by ショーバイ!! か…


 いや、そんなことではなく

 違う…

 先週の西島さんと何かが違う…

 髪だよな…

 でも長いままだよ…

 いつも通りにすっごく似合っているし…


 だいたいにしてこのアパレル事業部の方々はみなさんおしゃれだ。

 かっこいい服も着ているし、

 髪の毛だってフツーに

 フツーに…


 染めている。


 西島さんだって綺麗な金髪…

 金髪…

 金髪…?


 ではない…

 ではない…?


 え…

 え…! 


「髪…かみ…」


「わかった…? 」

 西島さん…髪を右手でかきあげました。


「くろ…黒いですよ…髪…黒くなっちゃってます…」


「うん」


「うん、じゃなくて…黒いです、西島さんが金髪じゃない! 」


「そう! 」


 みなさんは気づくだろう…って思いますよね。

 あまりに似合っていたのでまったく気づきませんでした。

 

 ただ…違和感が…強い違和感があったのです。


「堀さん…私ね、たまに色変わるから気にしないで」


 そうなんですね。

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