第13話 僕の名は… とりあえずな…
月に一度だけシステム室の定例会議に出席するため埼玉に戻ります。
「元気そうだね…」
「何しているの…」
「本当に異動になるんじゃない…」
みなさんから言われます。
会議中…
室長が僕に向って言いました。
「ああ…堀さん…」
「はい…」
「総務から連絡…」
「なんですか…」
「定期券買ってくれって…」
「定期…? 」
「そう…JRの定期券…」
「なんでですか…」
「だって交通費さ…そのほうが安いから…」
経費にはどこの会社もうるさいからね。
「まあそうですね…1か月単位で買えますしね…」
「うん…」
どこで買えるかな…などと考えていた矢先…
「ああ…堀さん…定期券さ…」
通勤費として先払いでもしてくれるのかな…
「3カ月分にしといて…」
「え…? さん…3ですか…」
「うん…3カ月」
「1か月ではなく…? 」
「うん…それくらい…」
軽く言う上司。
それは本社勤務…まだまだ数か月続くってことだよね。
「念のためですが…」
僕は不安になったので訊くことにした。
「6カ月ではなくていいですよね…」
上司は手元のパソコンからちらりと僕を見て言いました。
「3か月でいいよ…」
よかった…
「とりあえずな…」
とりあえずかよ…
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