第12話 僕の名は…  フツー

 デスクをもらい毎日地道なデータ検証、帳票とのすり合わせ、アウトソーシング先への調査…


 ひとーつずつ、ひとーつずつ理解していきます。

 本当に地味な作業です。


 と並行して…


「CADはどこに入れるんですか…いつ…メーカーは…」

 などとやっていきます。



「堀さん…」

「なに…」


 デザインの女の子が僕に言いました。


「実は私…ここで初めて…」

「うん…」


「図面書いたんです…」

「え…? 」


「図面なんて学校でも書きませんよ…」

「どうゆうこと…」


「今どきの専門学校には…」

「うん…」


「CADがフツーに入ってます…」

「フツー…」


「ええ、だから私この会社に入ってはじめて…

 エンピツで…

 図面をこの手で書いたのです…」

 両手を広げて見せてくれる彼女。


「そうなんだ…」

「ええ…当たり前に入っています…」


 フツーらしいです、これは20年近く前のお話です。

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