第14話 僕の名は… 内線表
「ああ…ここにいるんだ…」
ベビー事業部の倉本さんが目の前に立っていました。
僕は電卓とパソコンの画面と計算用紙に必死に取り組んでいたときでした。
「システム室に訊いたらこっちにいるって…」
おい…
システム室が…
教えるなよ
「ええこっちにいます…」
「ちょっと教えて…」
システム関連の操作や実績表のお話でした。
「おお、堀ちゃん…ここ教えて…」
今は普通ですが、トイレにオムツ交換の折り畳み式ベッドや個室には赤ちゃんのホルダーなんかありますよね。
男子トイレにも。
それを扱っている子会社の社長の浜中さんです。
「しばらくいるの…? 」
「ええ…3カ月定期買いましたらからそれくらいですね…」
「こんな実績表つくれるの…」
「できますよ…」
「すぐできる…? 」
僕は浜中さんをオフィスの端にお誘いし小声で応えました。
「アパレル以外の仕事を大っぴらににはまずいです。あとでメールで送ります」
「おお悪いね…」
内線です。
「堀さん…今時間ある…? 財務のパソコン見てあげてくれる…? 」
今度はシステム室からです。
いいのか…
そこから依頼していいのか…?
いいのかよ…
財務部にトコトコとでかけます。
解決してまた戻ってきます。
「ああ堀さん…経営企画室の金子専務のPCフリーズしたんだって…すぐに行ってあげて、同じ階でしょ…経営企画室からこちらに電話して…」
またシステム室からです。
いいのか…
便利屋かよ…
「お久しぶりです、システム室の堀です」
「おお久しぶりだね! いやー本社にいてくれると助かるよ! 」
金子専務は低い太い声で僕に言いました。
その日…
弊社では各部署のデスクのレイアウト表が社内に開示されていて、それが内線表にもなっているのですが、アパレル関連会社に僕のデスクが加わりイントラ上で急遽掲示されました。
「なんだよ…いたのかよ…会議で来ているのかと思っていたら…」
「言ってくれよ…」
「昼、ラーメン食いにいこうぜ…」
違うんです…臨時なんです…本当なんですよ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます