第4話 大阪…名古屋… 前編(ここは固い)

 システム室内に珍しく部員以外の人がいました。

 僕も含めてシステム関連の簡単な打ち合わせをし、その後もまだ残ってお話をされています。


「今回どうなんだ…大阪は…」

「まあいいのですが…ちょっとね…。押されているんです…この辺が…」


「ですが広島がいいのです…動きが活発で…」

「そうか…神戸はどうだ…」


 村田営業部長と倉本販売管理室長がシステム室のデスクを二人で占領してなにやら紙面をみながらお話しています。


 かなり深刻なようです。


「神戸はどうかな…大阪とどっちもどっちなんですよね」


 鉛筆を片手に頭を搔きながら…まだまだ議論は続きそうです。


「名古屋は彼…休んでいたのが復活したのでね、今回はいけますよ」

「そうか…となると…北海道だな…」

 

 営業部長ともなると大変です…


 全国の営業所を管理する販売管理室は商品や経費の分配にも気を配るのでしょうね。


「もともとそんなにね…望めないし…前回くらいでどうでしょうね…」

「そうだよな…」


 真剣です…販売部のヘッドお二人が鳩首しながらじっと紙面を見つめています。


「福岡…福岡…」

「どうする福岡…」

「福岡は難しいですね…本当にどうしましょうか…」

 天をあおぐ倉本さん。

 腕組みをする村田営業部長。


 しんどい仕事でしょうね…システム室のヒラのSEにはわからないことです、すいません。


「さて…さて…さて…」

「東京ですね…」


 ついに東京のお話のようです。

「今回は…楽だろ…」

「まあ…負けませんよね…負ける要素がない…」


 東京は調子がいいようです。

 営業さんから僕宛の電話はけっこうあるのですが…そんなに元気はなかったけれどな…


「ここは固いな…」

「ええ、大丈夫でしょう」


 そうらしいです、僕にはわからないけれど。

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