第2話 自己紹介 中編(笑える要素)

 それからまたまた数年後のことです。

 物流に異動した僕は4月最初の朝礼をビデオで見ていました。

 画面にはいつもとちがい大きな大きな花が写っています。

 入社式も兼ねていますからね。


「それでは新入社員のみなさん、順番に自己紹介をお願いします」

 若いOLさんがピカピカの新入社員を紹介しました。


 これまた初々しい女の子がマイクの前に立ち、そう緊張もしていない様子で話し始めました。

 最近の若い子は(この表現からしておじさんですね)みなさん堂々としています。


「Hello, my name …」



 趣味とか意気込みとかをお話になったようでした。

 ようでした…


「Nice to meet you.」


 にっこりとアイドルのように笑ってから次の人にマイクを譲りました。



 確かにこんな動きはありました。


「今後社内資料は英語で作成するように…」


 ぐろ~ばる化はわかります。

 わかりますよ。


 だけどね…伝わらないお話をしてもさ…


 新入社員のみなさん… “全員” 英語であいさつしていました。

 しかもすこしなんか笑えるような要素もあったらしく…

 本社の朝礼では笑い声があがっていました。



「今、どこか笑える要素があったか…? 」

「いや、わからないな…」


 笑いどころがわからないのではなく…

 なく…


 そこではなく…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る