大文字伝子が行く291

クライングフリーマン

応援団

 ====== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダー(平和への案内人)または行動隊長と呼ばれている。。

 大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのエーアイ(アナザー・インテリジェンス)と呼ばれている。

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。降格中だったが、再び副隊長になった。現在、産休中だが・・・。


 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。通称『片づけ隊』班長をしている。

 新里あやめ警視・・・警視庁テロ対策室勤務。あつこの後任として、村越警視正の補佐を行っている。先頃、筒井と結婚した。

 蔵前伊登子・・・原田と事実婚をしている。元風俗嬢。

 辰巳泰子(たいこ)・・・辰巳の妻。モールの喫茶店アテロゴのウエイトレス。

 玉井静雄・・・コスプレ衣装店{ヒロインズ}店長。EITOでは、みちるの『手下』で通っている。みちるの執事のように振る舞うからだ。

 物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。故人となった蘇我義経の親友。モールの喫茶店アテロゴのマスター。

 物部(逢坂)栞・・・伝子の大学の翻訳部同期。嵯峨と学生結婚したが、死別。物部と再婚した。元童話作家。

 依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。宅配便ドライバーをしていたが、やすらぎほのかホテル小田社長のスカウトでホテルマンに。小田の姪慶子と結婚。ホテル支配人になる。

 依田(小田)慶子・・・小田社長の秘書をしていたが、依田と結婚、ホテル副支配人になった。

 福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。大学は中退して演劇の道に進む。建築事務所非正規社員となり、アマチュア劇団の運営を続行。

 福本(鈴木)祥子・・・福本が「かつていた」劇団の仲間。後に福本と結婚する。一応、専業主婦。

 南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。高校の国語教師だったが、フリーに。その後、文子と結婚して学習塾を経営。

 南原(大田原)文子・・・元教師だったが、父の遺した学習塾を継ぐ。

 服部源一郎・・・南原と同様、伝子の高校のコーラス部後輩。シンガーソングライターだったが、コウと共に音楽教室を始めた。

 服部(麻宮)コウ・・・元ピアノ講師。元副島邸を改造して、服部と共に音楽教室を経営。

 山城順・・・伝子の中学の後輩。愛宕と同窓生。今は、陸自の非正規事務官。

 山城(南原)蘭・・・南原の妹。美容師。山城と結婚した。

 真中志津子・・・池上病院総看護師長。

 真中瞳・・・池上病院看護師長。


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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==


 ※前回のお話。

 メンバーは、みちる、文子、コウ、蘭、新里、伊登子、泰子で長刀を持っている。

「施設を傷つけられると思いなさんな。私達は、お腹の子供を守って見せる!」と、みちるは言い放った。

 集団は、ハンマーや火炎放射器を持っていたが、すぐに手放した。妊婦の集団に気圧されたのだ。


 その闘いの翌日。午後1時。伝子のマンション。

 高遠は、例によって、物部達とLinen会議をしていた。

「よく、思い切った作戦を・・・。」物部が口火を切ったが、「違うんです、副部長。伝子は『避難誘導の手伝い』をみちるちゃんに指示したんです。第一線から退いているし。ところが、みちるちゃんが『任された』からって、暴走したんです。正に、『瓢箪から駒』だったんです。武器を放棄したと聞いて、那珂国人にも情があるんだな、と僕は思いましたが、今回は日本人の兵隊だった、と愛宕さんから聞いています。結果オーライではあっても、みちるちゃんは『手下』に盾、割烹着、日の丸の旗、エマージェンシーガールズの装備を用意させました。装備というのは、肩パッド、肘パッド、膝パッド、シューズです。」と高遠が釈明した。

「それで、栞に泣きついたのか。『母親』として闘いたかった、って。場所が場所だしな。みちるちゃん、妊娠してるんだってな。」

「多分、逢坂先輩でないと、収まらなかったでしょうね。」と、高遠が応えると、「実は、私も妊娠してるの。」と、文子が言い、「私も。」とコウが言い、「私も。」と、蘭が言った。

「あ。私はまだです。まだ、仕込みの最中ですから。」と伊登子が言い、「こういう時は、『子作りに励んでいます』でいいのよ、イトちゃん。」と新里が言った。

「ウチは。無計画です。2人とも暢気だから。」と、泰子が言った。

「私も行けば良かった。もう産んでるけど。」と祥子が言い、「同感。男達が諦める姿を見たかったわ。」と、慶子が言った。

「何か、素直に頷けないな。」と依田が言い、「同じく。」と、服部が言った。

「でも、よく間に合いましたね。」と南原が言い、「あの玉井店長は、執事って言うより僕ですからね。玉井、川に飛び込んで死んで!って、みちるちゃんが言ったら『はい、氏白藤様』って、飛び込んで死んじゃうかも。」と福本が言って、皆を沸かした。

「流石、演劇人。でも、福本の言う通り、絶対服従だからね。玉井さんのお姉さんも認めちゃってるし。ああ、丁度7セットだけ間に合ったらしい。慶子ちゃんや祥子ちゃんの分はないね。」

「盛り上がっている所、ごめんなさい。これから、お祖母ちゃんのお見舞いに行って来ます。」と、山城が言った。

「お祖母ちゃん、コロニーだったの?」と高遠が尋ねると、「いや、肺炎でした。でも、念の為検査入院。それじゃ。」「お先に。」と、山城と蘭がLinenのテレビ画面から消えた。

「じゃ、ウチも。普通に宴会の『仕込み』があるから。あ、慶子が妊娠したら。皆でお祝いしてね。」と言い、依田と慶子が画面から消えた。

「じゃ、高遠。僕も仕事に戻るよ。」と言って、福本と祥子が画面から消えた。

「じゃ、我々もお暇します。」「同じく。」と、南原と文子、服部とコウが画面から消えた。

「高遠。当分、画面越しでしか大文字と会えないのは淋しいだろうが、我慢しな。おさむ君もすくすく育っているらしいじゃないか。俺達は、いつでも何でも応援するからな。」

 最後に、物部が画面から消え、画面は高遠だけになり、アプリを閉じた。

 午後3時。

 原稿を脱稿して、みゆき出版社にメールで送った後、気になって、高遠は、みゆき出版社に電話してみた。

 副編集長の西村は、すぐに山村編集長に繋いでくれた。

「ああ。高遠ちゃん。ごめんなさい。心配かけて。結局、中津興信所と池上病院のお陰で見つかったの。」

 編集長は事件の経緯を話した。

「交通事故ですか。パニクって轢き逃げしちゃう人が多いって聞くけど、全くそのパターンですね。でも、他の犯罪と違って、自首してくるケースもあるんですよね。気持ちが鎮静化したら、冷静になって。それに期待しましょう。それにしても、フィットネスクラブも、色んなアプリ、使うようになったんですね。」

「セキュリティーが心配だけどね。それより、ダークレインボー、今度の幹は、せっかちだって言うけど、まだ動きがないわね。」

「やだなあ、編集長。そんなこと言うと、現実化しちゃいますよ。」

 高遠が言った冗談は、冗談では無くなった。

 翌日。午前0時を過ぎた頃、Redの投稿があり、ドリフト・アイスの声明があったからである。

[お見合いパーティー第四回

 日時:明日午前11時。

 場所:晴海埠頭(晴海緑道公園)。

 参加者:有限会社ドリフト・アイス有志の男性。

  EITO東京本部の男性及び女性。

 来賓:渡辺渡辺道夫副総監。ワンダーウーマーン。

 主宰:ドリフト・アイス

 ]

 午前0時。愛宕邸。

「みちる。やっぱり先輩、休む暇ないな。それと、もう無理するなよ。お母さんなんだから。」愛宕が言うと、「おねえさまと同じこと言ってる。」と、みちるは応えた。

 午前0時。久保田邸。

「シリアル、注文しとかなくちゃ。」と、あつこはスマホを弄った。

 午前0時。EITO東京本部。宿直室。

「ワンダーウーマーン?舐めてんのか!!」と、なぎさは、スマホの画面に怒鳴った。

「なぎさ。下品よ。おいで。」と、伝子が言い、なぎさは「はい、おねえさま。」と添い寝した。

 午前0時。池上家。

「瞳。おさむ君、また当分親に会えないわ。」と、スマホの画面を見た志津子が言った。

「でも、親は無くとも、子は育つって感じ。」

 2人は、静かに笑った。

 ―完―

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