第14話 非常事態
白い部屋に入って、あかりが、
情報を、受け取り、次の任務に、
行く前に、俺に、ファイルを、
見せてくれた。
「なになに。人が突然消える事例が、
多発。。何か、嫌な予感がするな。」
「うん。この前と、近いか、
同じ感じだよね。」
「まぁ、行って見ないと、
わからないな。。」
「じゃあ、行くよ、春人。」
「ああ。」
あかりに連れられて、飛んだ先は、
最近、あかりと、行った水族館の、
近くの町並みと似てた。。
「春人。ここって。」
「ああ、ここは、この前、
あかりと、見た、
水族館の近くじゃないか?」
「うん。送られた座標通りに、
来たけど。間違いないね。」
「ここで、人が消えるって。。」
「でも、時代が、近いみたいだから、
隠れなくても、大丈夫だね。」
「そうだな。」
町並みは、本当に、ここ最近と、
同じだから、過去と言っても、
殆んど、数年くらいだろう。。
「でも、あかり、ここ最近で、
この辺で、行方不明って、
起きてたのか?」
「多分、ここで、これから起きて、
歴史が、変わるんだよ。。」
「そう言う事か。。」
「春人、ファイルによると、
最初に、この辺に、強い悪霊の、
反応が、あって、今の所、
数人の人の反応が、消えたらしいよ。」
「この辺でか。」
辺りを見回すと、これと言って、
様子がおかしい所は、見当たらない。
「そうだ。こう言う時は。。」
「待って、春人。あなたが、
その力を使ったら、
組織にバレちゃうかも知れない。。」
「私の、サーチを使うよ。」
「済まない。頼む。。」
あかりが、能力で、周囲に、
特別な、オーラを、放つ。。
「特に、反応がない。。」
その瞬間、あかりの後ろに、
黒い空間が、
あかりを飲み込もうとする。
「あかり!後ろ!」
俺は、叫ぶのと同時に、
咄嗟に飛び出して、
あかりを、抱き締めたまま、
後方に飛ぶ。。
「なんなんだ。。」
黒い空間は、「すぅ」と、消えた。。
「ひょっとして、能力を使うと、
消されるんじゃないか?」
「わからない。けど、ありがと、春人。
でも、春人の言う通り、能力を使うと、
消されるなら、今回の事件は、
標的は、能力者。。。
それだと、普通の案件じゃないよ。。」
「ああ、何か、きな臭い。。。
俺たち、ハメられてないか?」
「春人の記憶が、戻った事が、
バレてるって事?」
不安そうな顔で、俺を見るあかり。。
「何だか、俺は、
そんな気もする。。。ひょっとしたら、泳がされてるのかもな。」
兎に角、今は。。。
こんな危険な状況に、あかりを、
置いておきたくない。。。
「あかり、取り敢えず、
ここは、撤退しよう。俺が、
見張ってるから、タイムゲートを、
開いて、脱出して、現状の報告と、
俺が、誰に泳がされてるのかを、
調べよう。」
「うん。わかった。一応、
調査はしたって言うことで、
報告は、出来るから。。。
戻る事の、理由は、あるよね。」
俺は、周囲を見張りながら、
あかりに、合図する。
あかりが、目を閉じて、元の時間と、
場所のイメージをして、
タイムゲートを開く。。。
その瞬間、あかりの背後に、
黒い影。。。
すかさず、俺はその影に切りかかる。
影の一部を切り落とした。。。
「何だこれは。。。」
地面に落ちたそれは、見覚えのある、
身体の一部だった。
「あ。あ。春人。。。」
そう、これは、俺の腕。
激痛に、意識が飛びそうになる。。。
「うぐうっ!」
切断面を、能力で止血して、
自分の腕を拾うと、あかりの開いた、
ゲートに、あかりを、突き飛ばす。
「先に、戻ってろ!こいつは、
ヤバすぎる!」
俺は、ゲートを、悪刀の力で、
塞ぐと、あかりだけを、
逃がして、この場に残った。
何だか、知らないが。
俺の本能が、こいつは、ヤバいと、
教えてくれる。。。
悪刀は、人を切れない。
だから、俺は、切りかかる瞬間に、
逆に、こいつに、切られたんだ。。。
俺は、拾った腕を、能力で、
取り敢えず、くっ付けて、
その間も、正体不明の、こいつの、
気配を、探す。。。
自分の、過去の記憶を探っても、
こんなにヤバいと思ったのは、
最終決戦の時に、戦った、
精神を、奪うあいつくらいだが、
この悪霊は、考えたくもないが、
恐らく、攻撃をする、俺の動きを、
俺に返す事が出来るみたいだ。。。
「結構、無理ゲーじゃん。」
周囲を警戒しつつ、周りに気を張る。
恐らく、周りの人から、見える俺は、
結構、恥ずかしい事をしてると思う。
周りから見えない刀を、身構えて、
じっとしているのだから。。。
空間の揺らぎ。
風が、そよぐ。。。
神経を、集中して。。。
悪刀に、俺の精神力を注ぐ。。。
その瞬間、俺の背後に、ゾワッとする
気配。
瞳を閉じて、気配だけを、切る。。。
悪刀だけを使って。
黒い影が、切れて、その中から、
悪霊本体が、出てきた。。。
女の子? の形をした悪霊。。。
「お前、凄い。」
「え?」
「人間、お前凄い。お前、あたしの、
仲間にしてやる。」
「え?普通に、嫌ですけど。」
「なんで、なんで、なんで!」
「だって、お前ほら、悪霊じゃん。」
さっき迄のヤバい空気は、
もう、そこには無くて、
俺は、小学生か、中学生に、
絡まれる、お兄さん?に、
なっていた。
「お前仲間になれ。」
「嫌だ、やだ、やだ、絶対、だって、
お前が悪霊じゃなくても、
さっき、俺の腕を切り落としただろ。
そんな、危ない仲間は、いらん。」
「ごめんなさい。謝った。だから、
仲間になる。お前。」
「はぁ。じゃあ、100歩譲って、
俺を仲間にして、どうするんだよ?」
「世界を取り戻す。だから、
強い奴仲間に欲しい。」
「え?世界を取り戻す?」
「そう、世界。あたしの仲間、
ずっと、それが、目的。」
世界を取り戻す?悪霊が?
全く意味がわからん。
しかし、俺は、長年思って来た、
違和感。そもそも、俺たちが、
倒してきた、悪霊って、
そう呼んでるだけで、実際は、
未だに、正体も、目的も、不明な、
所が多すぎて、俺自身、ずっと、
思って来た。
悪霊と、呼ばれるこいつらの、
本当の目的。
何故、大規模災害では、大勢の人間が、
消されるのか?
能力者の家系に、決められた、使命と
目的。おれと、あかりの運命。
これって、何なの?と、いつも、
考えながら、使命だと、動かされる、
この違和感に、
嫌気がさしていた。
「すぅ。。。」
深呼吸して、悪霊の女の子に、
俺は、こう言った。
「仲間になってやってもいいが、
俺と、仲間になるなら、約束しろ。
まず、人を襲わない。
二つ、俺の傍にいろ。
三つ、基本、外では、悪霊と、
バレる行動は、しない事。」
「お前、仲間になる?
大丈夫、人を襲った事無い。
あたし、どう見ても、
人間にしか、見えない。
暴れたりしない、約束守る。」
「え?お前、人の腕を落としておいて、
襲ってないだと?」
「あれ、お前が悪い。わたし、
能力の観察をしただけ、
襲ってない。襲ってきたの、お前。」
「え?あ、まぁ、そうか。確かに。」
言われてみれば、こいつに、
俺も、あかりも、襲われてはいない。
飛びかかったのも、確かに俺だ。。。
「じゃあ、この街で、消えた人達は、
誰が、消したんだよ。」
「それ、あたし、知らない。」
「え?」
「多分、それ、悪い奴。」
「え?お前は?」
「あたし、悪い奴違う。お前じゃない、
名前、メリル。」
「じゃあ、メリル。悪い奴って、
誰の事なんだ?」
「悪い奴は、悪い奴。人間、
殺して、命奪う、魂食べる。」
「え?じゃあ、メリルは?」
「あたし、いい奴。大丈夫。
人間と同じ。お前、あたしと、
同じ。だから、仲間。」
「うーん。まぁ、じゃあ、俺も、
お前じゃなくて、ハルトって、
名前が、ある。だから、
春人って、呼んでくれ。」
「ハルト、わかった。なんか、
いい。わたし、好き。」
「ありがとな、じゃあ、メリル、
これから、どうするのか、
何がしたいのか、メリルの、
目的を、教えてくれるか?」
「世界を救う。それ、目的。
それ出来る、能力探してる。
さっきの、人間も、仲間にする。
あれ、必要。絶対。」
「さっきの? あかりの事か?
まあ、多分それは、大丈夫だ。
俺の嫁だから。で、それから、
どうするのか、教えてくれ。」
「わかった。まず、昔に行く。
そこで、捕まってる、あたしの、
仲間、助ける。そいつ、助けると、
世界を救う方法知ってる。」
「なるほど。兎に角、そいつを、
助けるために、能力者を、
観察してた。。。
その力のある、仲間を探してた訳か。」
「そう、ハルト、頭いい。」
「確かに、昔と言っても、普通の、
能力者には、そんな昔に飛ぶなんて、
出来ないからな。どのくらい、
昔に行きたいんだ?」
「1000年前。」
「待て、待て。1000年は、
あかりでも、飛べないぞ。」
「大丈夫。中継地点ある。あたし、
それ、作った。」
「それが、メリルの特殊能力か?」
「まぁ、そう。ハルト、頭いい。」
「詳しい話は、あかりと、合流して、
3人で話そう。あんまり、あかりを、
心配させたくないから。」
「わかった。ハルト、優しい。
あたし、好き。」
「ありがとな、じゃあ、飛ぶぞ。」
俺たちは、あかりが、作った、
あの、白い部屋まで、移動した。。。
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