第11話 普通

「ただいま。」

そう言って、玄関を開けると、

違和感を、覚えた。。。


家を出る時に、あった、

あかりの、靴がない。。。


「嫌な予感がする。。。」


口から自然に、そう言葉が

漏れた。


今日、あかりと、朝食を、

一緒に取り。

タバコが、切れたので、

家から、5分の場所にある、

タバコの自販機に、

行って、戻って来た。

ほんの、10分間の

出来事だ。


しかも、あかりが、

俺に何も言わないで、

家を開ける事が、今まで、

無かったから、

俺を余計に、不安にさせる。


取り敢えず、急用で、

置き手紙などがないか、

家に入って確認する。


分かったのは、あかりが、

何時も、持ち歩いている、

ポシェットが、無いと、

言う事。


突然いなくなると言う事が、

こんなに気持ちを、不安に

させるとは、今まで、

知らなかった。。。


一度、落ち着こう。。。。

状況から、考えると、

俺は、タバコを、買いに

行くこ事を、あかりに、

ちゃんと伝えてから、

出掛けている。。。


家の状況を見る限り、

さらわれた、可能性は、

薄い。部屋に荒らされた、

形跡が、無い。

靴や、ポシェット。

彼女が身に付けている物が、

一緒に消えていると、

言う事。


しかし。。。


あかりが、普通の人なら、

たまたま、言い忘れで、

終わりなのだが、

あかりの、能力があれば、

家の、近所にいた、俺に、

出掛ける事を、伝える位、

動作も無い事だからだ。


コンビニに、行って、

真弓か、辰巳に確認を

取るか。しかし。。。

あかりを、挟まないと、

馴れ馴れしくなるし、

裏口に入るには、記憶が、

無いと思われている俺に、

あの、異次元の扉に入る、

と言う行為は、疑いを、

持たれる可能性は、

充分にある。


部屋を、ぐるっと、見回す、

あれは、まさか。。

一つ、違和感を見付けた。

全ての食器が、伏せてある。

それは、あかりが、食器を、

片付ける時、必ずする、

しまい方なのだが、

あかりの、マグカップだけ、

普通に、置いてあるからだ。


俺は、それがあかりからの、

メッセージだと、感じた。

これは、何か、あったと。。


普通に考えたら、恐らく、

組織関係の、誰かが、

あかりを、呼び出した。

組織の認識は、今の、

俺と、あかりが、只の、

仕事上の、パートナー

でしかない。だからこそ、

それを悟られない為に、

あかりは、俺に何も言わず、

家を空けた。。。

そう考えるのが、

一番つじつまが合うのでは、

ないか?


メッセージが、普通に、

置いたマグカップ。


「そう言う事か。」


記憶が、戻っていなかったら

きっと、不安にも、

ならなかっただろう。

あかりの、詳しい能力も、

知らなかったはずだし、

普通にしてろって言う、

メッセージだと言う事。


俺は、ベランダに出て、

自分を落ち着かせる為に、

タバコを、吸って、

遠くまで、煙を吹かした。


二本目に、火を着けようと、

ライターを胸ポケットから、

出そうとした、

タイミングで、玄関の方から


    「ガチャ」


と、音が聞こえた。。。


    「ただいま。」


タバコを、胸ポケットに、

戻して、あかりを、迎えに

行った。


「お帰り。マグカップ。

見たよ。」


嬉しそうな顔をして、


「流石、春人だね。」


「まぁね。ちょっと、

焦ったけど。」


「ごめん。管理の人からの、

呼び出しだったから、

私達の関係が、

怪しまれないように、

書き置きや、

念話が、使えなかったの。」


「それで、マグカップだろ。」


「うん。でも、普通、

わからないよね。あれじゃ。」


「あかりの、食器を伏せる

決まりを知ってたから、

わかっただけたけどね。

もし、また何かあったら、

また、同じ様にしてくれよ。

そうしてくれたら、心配、

しなくて済むからさ。」


「わかった。そうするね。」


俺と、あかりは、その他

にも、咄嗟に残せる、

メッセージを、色々と、

話し合った。


おれが、記憶がないふりを、

限界まで、続ける。

それが、今の俺に出来る、

あかりへの、最高の、

プレゼントだから。

昔の俺は、強い悪霊を、

刈る事に、躍起になって、

その結果、仲間や、あかりを

巻き込んで、挙げ句の果てに

記憶を失い、あかりを、

悲しませた。。。

記憶を取り戻し、

生まれ変わった俺の戦いは、

記憶喪失を、続ける事だ。


その代わり、あかりとの、

デート以外の時間は、

あかりと、あの、白い部屋に

行って、鍛練は、続ける。

体力が、一年前より、相当、

落ちてしまっているから。


万が一、記憶喪失の事が、

ばれてしまって、いきなり、

激戦区に、送られても、

困るから、その保険に。。






























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