~密告(おつげ)―小雨が降る日に信仰(まよい)を挙げた~(『夢時代』より)

天川裕司

~密告(おつげ)―小雨が降る日に信仰(まよい)を挙げた~(『夢時代』より)

~密告(おつげ)―小雨が降る日に信仰(まよい)を挙げた~

 …無力の経過(ながれ)に事始(こと)を見た儘、女性(おんな)の小春(はる)には思春(ししゅん)が成らずに、一男(おとこ)の生果を空気(しとね)へ運べる無従(むじゅう)の悪事を働いて居た。孤独に見積もる自己(おのれ)の揺蕩(ゆらぎ)は空気(しとね)に塗(まみ)れた思春(はる)を掌(て)に採り、幻(ゆめ)の旧巣(ふるす)へこっそり繋げる併せ鏡に女性(おんな)の容姿を派手に暗転(ころ)がし、分厚(あつ)い白壁(かべ)から男児を阿る未知の生憶(きおく)に充分活き尽(き)る…。

      *

 …小雨がずっと降(ふ)り続いて居た。俺は高校生位に戻って、友人等と一緒に公園、野外キャンプ場、屋台、とでも言ったような、何とも言えない暖かな、夜のコミュニティに居てハラハラしながらでも幸せだった。白く退屈の凹凸(おうとつ)を見せる男のような猿顔(さるがお)した退屈な不死鳥(フェニックス)のような、一寸リーダーシップ取れてそうな、それで居て喧嘩を見る事に興味が在るような、それでも決してそれ程強くない白シャツ(高校生の時の制服の)を着た彼が俺の友人の様(よう)だった。

      *

 男児の幻(ゆめ)から自由が表れ未活の杜には夜が顕れ、自分の目下(ふもと)を良く良く尋ねる概(おお)くの一声(こえ)には活気が成り立ち、分厚(あつ)い蜃気に幻視(ゆめ)が発(た)つのは未覚(みかく)の信理(しんり)に憶えて居ながら、決して破れぬ旧い経過は男・女(だんじょ)を好くして愚行(おろか)を知った。不足して生く生気の末路は幻(ゆめ)の路地から未然が産れる、幻(ゆめ)の成果の遠い目下(ふもと)が真昼を知らずに虚空(そら)を知り過ぎ、男・女(だんじょ)の感覚(いしき)を仰いだ奥義(おく)には未知の過屋(かおく)がすっかり建てられ、幻(ゆめ)の生憶(きおく)が理性(はどめ)を報せる模倣遊戯(もほうゆうぎ)の滑稽(おかし)な末路は、幻(ゆめ)に始まる通り相場の未完(みかん)に息衝く現代人(ひと)をも蹴った。阿修羅の面(めん)から三様(さんよう)ながらに一つの禁言(ことば)が羽根(はね)を保(も)たされ、分厚(あつ)い吐息に見られた経過は生命(いのち)の程度に奥行さえ発(た)と、現行人(ひと)を見詰める集中力から夜半(よわ)の許容(うち)へと羽ばたく頻度は、無重の晴嵐(あらし)にその身を清める幻(ゆめ)の酒宴(うたげ)の首謀者だった。幻(ゆめ)の生憶(きおく)へ概(おお)きく懐ける狭い範囲の現代人(ひと)の家屋は、暗黙(やみ)の彼方へそっと紛れる〝零れ話〟の不埒の有利と何ら変らず脚色(いろ)が当てられ、一幻(ゆめ)の一通(とおり)は白色ばかりの冴えない言動(うごき)に終了して居る…。

 幻(ゆめ)の精神(こころ)に阿漕を見付けて苦しみながらに盲徊(もうかい)するのは〝幻(ゆめ)の実利〟をきちんと掌(て)にした俺の同調者(シンパ)の生果に在って、俺の同調者(シンパ)は無言で居ながら暗夜(よる)の棲家を堂々捜せる強靭(つよ)い哀れを同時に観て居た。俺の背後に概(おお)きく培う一女(おんな)の哀れは中々死太(しぶと)く、事始(こと)の経過を律儀に眺める無断の生憶(きおく)に胸を小躍(おど)らせ上々在るが、終(つい)と保(も)たない小癪な揺蕩(ゆらぎ)がその身を揺さ振り活気を失くさせ、死相に合せる面(めん)の可能(かぎり)を三面から観て化身(かわり)を置く故、事始(こと)の難儀を幻(ゆめ)に撮める俺の孤独は女性(おんな)に気取れず、「明日(あす)」を揺さ振る概(おお)きな揺蕩(ゆらぎ)は幻視(ゆめ)を見ながら伽藍に在った。無知の利益にその実(み)を任され相槌打ち生く端正(きれい)な女性(おんな)が後光を並べて規則を片付け、或いは死地から無音に棚引く「少女」の憂いを俺に見せると、宙(そら)の彼方で一女(おんな)の姿勢(すがた)は何処(どこ)でも活き得る容姿を保(も)った。幻(ゆめ)の行李に私塾を見付けて寝間の棲家を音頭に拾える期限を付された路頭の調子は、誰にも解らぬ未憶(みおく)の夕べの雲間に隠れた無機を頬張り、欲張り仕立てに孤高を射止める生(せい)に居着ける努力の棲家は、孤独顔した俺の無機からどんどん活き得る蛻を識(し)った。端正(きれい)な一女(おんな)が自体(おのれ)の身憶(みおく)を宙(ちゅう)へ遣るまま微塵を吐き捨て文言(ことば)通りに自分を見紛う古豪の天然(あるじ)の分岐の他(ほか)には、俺の躰を宙(ちゅう)へ見送る拙い文句(ことば)は堂々捨て置き、小春(はる)に凍れる不義の絡めを小人(ひと)に保(も)たせて有頂を知った。未完(みじゅく)の気楼に終始煽られ、女給を想わす体裁(かたち)を彩(と)りつつ未覚(みかく)の天然(あるじ)を良く良く留(とど)める女性(おんな)の感覚(いしき)五体の総ては、脚色(いろ)を講じる輪廻(ロンド)の隅にて幻(ゆめ)の音頭を塗装する程、自体(おのれ)の浮気を小宙(ちゅう)へ射止める凡気(ぼんき)の許容(うち)にて安心して居る…。俺の凝視は女性(おんな)を外れて野外へ赴き、自己(おのれ)を配(はい)する袋小路へ自分の身重を重々知らされ、幻想(ゆめ)の元理(げんり)へ理性(はどめ)の利かない脆い浮気の凡気(ぼんき)の一総(すべて)を小声に射止めて感嘆している…。幻覚(ゆめ)の白亜にその実(み)を纏めて一宙(そら)の身許で嘲笑(わら)う時には女性(おんな)と一男(おとこ)の旧い交尾は身欲(よく)を射止めて落着して在り、古い文句にその実(み)を気取らす死闘遊戯に紅(あか)を観る内、空気(もぬけ)の殻から感覚(いしき)を惑わす発狂(くるい)の身元が判明していた。―――、旧い一女(おんな)と斬新(あらた)な景色は幻覚(ゆめ)の許容(うち)にてまったりして在り、男性(おとこ)の老苦(ろうく)に身悶えして生く定律(おきて)破りの未覚の女性(おんな)は男性(おとこ)へ対する凡気(ぼんき)を蹴破り、熱い〝身重〟へ渋滞して生く神秘(ふしぎ)の瓶(かめ)から不思議な妖気を発散して居た…。無知の意欲にその身を醒ませて自主(あるじ)を失くせる不動の化身(かわり)をこの身に保(も)つのは、同じ現行(いま)から未然を信じる無駄の努力に苛まれて活き、旧い生憶(きおく)にちょこんと覗ける不可の教致(きょうち)へ返り咲き得る…。分厚(あつ)い幻覚(ゆめ)から紀要が流れて自体(おのれ)の分派を逸する時には女性(おんな)の白衣(ころも)は律儀に凄める退屈凌ぎが度胸を拵え、一男(おとこ)の孤憶(こおく)に未知を報せる〝旨の郷里〟を分派に遣った。一幻(ゆめ)の理性(はどめ)を見送る頃には自主(おのれ)の感覚(いしき)が自然に気取られ、幻(ゆめ)の未完(みじゅく)に「郷里」を伴う自体(おのれのからだ)は「活気」を見忘れ、分厚(あつ)い突起に自然(あるじ)を立たせる発(はつ)の記憶に自己(おのれ)を費やし、一女(おんな)の後光(ひかり)に〝身分〟を問うのを一幻(ゆめ)の一灯(あかり)へ諦め始める…。俗世(このよ)の全野(すべて)へ活きる労苦を老苦(ろうく)の許容(うち)にて追随させ活き、一男(おとこ)と女性(おんな)の呼応の一総(すべて)を一つ処で片付け始めて、自己(おのれ)の身欲(みよく)は派手に絶えない気労(きろう)の輪廻(ロンド)に包(つつ)まれ始めた…。一男(おとこ)の孤気(こき)から夢遊が仕上がり女性(おんな)の躰を五肢(ごし)へ至れる旧い活気へ転進(てんしん)する内、幻(ゆめ)の無欲へ身悶えして生く空気(しとね)の思春(はる)には一男(おとこ)が成り立ち、自己(おのれ)を偽る歴史(かこ)の独白(かたり)を総て忘れて一途(いっと)に就く等、一幻(ゆめ)の行儀へ俯瞰するのは孤独の概句(おおく)の夢散(むさん)であった。惜しい事には一女(おんな)の総てが男性(おとこ)に気質に肖り、旧い盲言(ことば)を羅列して生く〝未覚峠(みかくとうげ)〟の虚無を観た上、男性(おとこ)に対する理解の総実(すべて)を歪曲(まがり)の許容(うち)から曲解して行く幼児遊戯(こどもあそび)の不変の態(てい)にて、明日(あす)の一形(かたち)を気分に彩(いろど)る神秘(ふしぎ)を観て取る概句(おおく)の羽虫(むし)には、こうした幼女(おんな)の総ての哀れは幻(ゆめ)に活き得ぬ不断と識(し)った…。孤独の主観(あるじ)を「俺」に観て生く〝塩苅峠(しおかりとうげ)の孤高の水面(みなも)〟は、俺の立場を小声(こごえ)に射止めて宙(ちゅう)を見上げた天然(あるじ)を引き連れ、一幻(ゆめ)に見積もる街の概(おお)くを未覚に報せた無機を殺せる、苦悩の小敗地(アジト)を換算して居り、当てが外れた漆黒(くろ)い天然(あるじ)に認(みと)めた〝我が子〟は、明日(あす)の月光(ひかり)を夜半(よわ)に納める一幻(ゆめ)の撤廃地(アジト)を良く良く乞うた…。

      *

 …そのコミュニティには小雨がずっと降(ふ)り続き、雷が鳴っていた。何か、始めは遠くで小さかったが、段々大きく鳴り出して、気にしなくては居れない程に成った。そのコミュニティには俺の両親も居てそうで、気配は在る。結構、無数に近い友人・知人・未(ま)だ見知らぬ人の気配が、これから現れるであろう人の姿に率先して現れ、俺をはらはらさせつつ、和ませた。

      *

 高校時代に知り合った牛島(女子)、D大の南国生れの幻影才女、の様(よう)な、黒髪で前髪が奇麗にきちんと揃い、瞳が大きく奇麗で、髪の長さは肩位でセミロングであり、背は百五十五センチ位の俺にとtっては滅茶可愛い女子が現れた。

      *

 利点(アスタリスク)の前後に於いては男・女(だんじょ)の羽鰭(はひら)が無効を見出し、俺の空間(すきま)を「自由」で埋め行く蹴泥模泥(けどろもどろ)の烏有を遠避(とおざ)け、詰問・吉書(きっしょ)の烏有の情緒は夢限(むげん)の彼方へ成果を射止めて、自由を翻(かえ)せる自在の概句(おおく)を一幻(ゆめ)へ差すまま身嵩(みかさ)を募らせ、「明日(あす)」の調子を不問へ問い生く未活の同調(シンパ)へ赴き出した。幻想(ゆめ)の白亜は延命(いのち)を凍らせ、幻(ゆめ)が始まる所々で大声(こえ)に囀る純粋(もと)の主宴(うたげ)を〝調子〟の儘にて段々興させ、漆黒(くろ)い夕日にその実(み)を宿せる〝旧い水面(みなも)〟は下等を知り貫(ぬ)き、併せ二夜(ぶたよ)の未想(みそう)の杜から一女(おんな)が発(た)つのを行く行く待った。俺の〝行李〟は一幻(ゆめ)に纏わる音頭を切り抜け明日(あす)へ振り向く身嵩の〝宿(やど)〟から嗣業を射止める小躍(ダンス)を拗付(こじつ)け、昨日の初歩(いろは)を分岐して生く苦労に疾走(はし)れる女性(おんな)の翳りは、その実(み)の人陰(かげ)から温度が発(た)たない実しやかな「唖然」が吹き付け、往(ゆ)くも還るも富士の人山(やま)には概(おお)くの「募り」が分散して居た。分産(ぶんさん)され行くとどのつまりは女性(おんな)の調子に歩速(ほそく)を併せた〝一男(おとこ)の杜からちょいと出て来た神秘(ふしぎ)の両刃(もろは)〟の華厳に先立ち、純白(しろ)い陽気へ分散して生く〝遊び疲れた概(おお)くの死者〟から、「今日を射止めて器用(機様)(きよう)が先立つ無意識(いしき)の許容(うち)での苦悩の凌駕…」と、誰も彼もに相対(あいたい)するうち無言に認(みと)める群心(ぐんしん)にも依る…。…無名の共鳴(さけび)が淡路を訪れ併せ鏡の夢中の内から神秘を迷わす一男(おとこ)を連れては、純白(しろ)い四肢(てあし)に孤奏(こそう)を連れ生く明日(あす)の静寂(しじま)を悶々観る内、今日も真昼(ひる)から無頂(むちょう)を頬張る旧い正義へ順(じゅん)じて在った。「未活」を想わす仕手の許容(うち)には幻(ゆめ)の正気に格差を寄らせる至闘(しとう)の寝耳に煩悩(なやみ)を識(し)り過ぎ、孤独顔した自然(あるじ)の棲家は如何(いか)にも概(おお)きな問答から観て、明日(あす)へ気抜ける無想の〝紅(あか)〟から男児が跳び発(た)つ幻想(ゆめ)の王佐へ、逆行(あともどり)の無い旧い空間(すきま)を「自由の掌(て)」に依り仕上げて在った…。孤独の杜から男・女(だんじょ)が飛び立つ姑息の零茂(れいも)は至純(しじゅん)を仕上げて、併せ鏡に我審(がしん)を信じる幻想(ゆめ)の網羅は私算(しさん)を羽ためき、労苦の末路(すえ)から未然を培う狡い脚立を足出(あしで)に採った。自体(おのれ)の棲家を遠慮しながら有名無実の奇想の許容(うち)では、一人から観た〝落ち着き先〟にて許容の自然(あるじ)を検覧(けんらん)して居り、分厚(あつ)い白壁(かべ)から未完(みじゅく)を揺さ振る気楼の一総(すべて)は、女性(おんな)を揺さ振り一男(おとこ)を象る夢限(むげん)の小敗地(アジト)を既視(おおめ)に見て居た。自体(おのれ)の白衣(ころも)を微塵に合さぬ不埒の遊戯が大児(こども)を観る時、維新の光明(ひかり)が民主を閉ざせる深い信仰(めいろ)を合図に発(た)たせて、事始(こと)の色気に純(じゅん)を観て生く無想の元気を謳歌に識(し)った。小言に謳える弱音の総ては女性(おんな)の孤独へ苛まれて活き悪い空気をぷんと匂わす旧い気色を良く良く見せ付け、明日(あす)の凝(こご)りは独裁(ドグマ)へ並べる始終の活気へ身悶えして居る…。俺の孤独へ確固(たしか)な一女(あくま)が古豪を連れ添い憤怒を吐き活き、五月蠅(あわ)い人夫(やから)が始終を透せる強靭(つよ)い有機が凡庸(ふつう)を観て生き、自己(おのれ)の〝白亜〟を夜半(よわ)に徹する未知の葉隠(かくれ)を陽(よう)へ与(あず)けて、自体(おのれ)の文化を総称して行く旧い小敗地(アジト)の美声の許容(うち)では、幻(ゆめ)の小敗地(アジト)へ滅法拡がる虚無への勇気は解体して活き、明日(あす)の孤独へ「王者」を報せる幻想(ゆめ)の王佐を噴散(ふんさん)していた。小言に始まる滑稽(おかし)な呼笛(あいず)が小人(ひと)に頼れる無頼を眼(め)にして一幻(ゆめ)の所以(ありか)へ追随して生く固陋の傀儡(どうぐ)は解体され活き、幻想(ゆめ)の未屈(みくつ)と無謀の安堵は理知を問わずの善き計らい、大児(こども)の美声(こえ)から清閑(しずか)が失(き)え行く辛(つら)い音頭を想起して居る。白夜(よる)の空間(すきま)に白紙(こころ)が降(お)り立ち、真白(しろ)く燃やせる小人(ひと)の連如(れんにょ)は「俺」を越え活き退屈凌ぎに、幻夢(ゆめ)に始まる固陋の進度(しんど)を如何(どう)でも善い儘その成果(はるか)を見定め、明日(あす)の文言(ことば)へ「自由」を収める一幻(ゆめ)の猛起(もうき)は〝律儀〟を気忘(きわす)れ、一(いち)にも三(さん)にも未有(みゆう)を保(も)たない旧い惨事を相(あい)して在った。自己(おのれ)の精神(こころ)を補強して生く拙い正義は自在に空転(ころ)がり、硝子・ケースに身重に運べる無機を透した無断の社(やしろ)は無音の長者へ安く変じた古豪の緩みを木(こ)の葉(は)へ呈(しめ)せる揺蕩(ゆらぎ)を観た後(のち)、記憶に解(かい)する無理の屍(かばね)は機械仕掛けの紋様(もよう)を観た儘、自体(おのれ)の「王佐」へ連歩(れんぽ)を見定(さだ)める旧(むかし)の生憶(きおく)を大事にして生く…。分厚(あつ)い経過が自然(あるじ)に気流(きなが)れ旧い空間(すきま)に音頭を保(たも)てる無量の謳歌はぐったりしながら、気不味い間(あいだ)の〝両者〟を伴う旧来(むかしかたぎ)の四ツ谷の友には、幻(ゆめ)の自然(あるじ)が混沌(カオス)を見て生く夢限(むげん)の所以(ありか)がきちんと載った。一女(おんな)の一片(かけら)が上手(じょうず)に在るまま俺の背後に上気が噴散(ふんさん)して活き、女性(おんな)の孤独が闊歩へ届かぬ旧来独語(むかしがたり)の牛歩を果てさせ、幻(ゆめ)の概句(おおく)を向きに見立てる論語の文句(ことば)は宙(そら)を相(あい)して、一幻(ゆめ)の空気(しとね)へ身分を画せる孤独の進理(しんり)を上気へ盛(も)った。幻想(ゆめ)の白亜(はくあ)へ論じて居ながら一女(おんな)の自覚(かくご)は宙(そら)を見て生き、一幻(ゆめ)を見守る無欲の刹那が艶(あで)を看破(みやぶ)る景色を追う内、一幻(ゆめ)の遥かへその実(み)を託せる紺(あお)い翳りが大事を採った。幻(ゆめ)の真心(こころ)は一宙(ちゅう)へ浮くまま独創(こごと)の煽りにその実(み)を焚き付け、幻(ゆめ)の生憶(きおく)へその芽を摘み取る〝旧峠(むかしとうげ)〟の悪態さえ知り、女性(おんな)の牛歩が闊歩を見抜ける「吟味(あじ)」を忘れた愚行(おろか)の経過は、一女(おんな)の表情(かお)から男性(おとこ)を落せる無為の心理に通感(つうかん)して居る…。女性(おんな)の小言が陰府(よみ)を通せる不乱の自然(あるじ)を見送る許容(うち)にて〝慌て二夜(ぶたよ)〟の逆行(もどり)の大口(くち)では分厚(あつ)い心機の一途(いっと)を識(し)らされ、自己(おのれ)の一体(からだ)を幻理(みち)へ与(あず)ける旧い賭けには未完(みじゅく)が仕上がり、コンクリから成る現行(いま)の罪事(ざいじ)は無適(むてき)に静まる無心を識(し)った。―――男性(おとこ)の身元に一女(おんな)の気色が無断を通して棚引く迄には一男(おとこ)の損気が短気を揺さ振る身重の心理が充分働き、幻(ゆめ)に舞い散る木の葉の生憶(きおく)は工事に積もれる大鋸屑(おがくず)とも成り、明日(あす)へ繋がる他(ひと)の記憶は瞬時瞬時に虚無へ寝そべる身欲(よく)の礫(つぶて)の身重を識(し)った…。孤独の老婆がそわそわしながら幻(ゆめ)の境地を徘徊して居り分厚(あつ)い鈍気(どんき)が行李へ揺れ生く斬新(あらた)の作動(うごき)に目的(あて)を見付けて、幻覚(ゆめ)の狭筵(むしろ)へ悲鳴を挙げ生く気楼の進度(しんど)は共鳴(さけび)を変じて、脆弱(よわ)い一男(おとこ)に奇妙を見詰める明日(あす)の不埒の活き方等には、一男(おとこ)に近付く賛美の水面(みなも)が女性(おんな)を滴(した)らせ〝活気〟を説いた。

 分厚(あつ)い安置所(モルグ)の〝白壁(かべ)〟を観ながら孤高の畝(うねり)は身欲を和らげ、活性間際に活路を見出す旧い夜継(よつ)ぎを文言(ことば)に盛(も)り立て、父性(ちち)を想わす一男(おとこ)の一総(すべて)に「女性(おんな)」を蹴散らす無言を識(し)れた…。分厚(あつ)い夜気(よぎ)から発狂(くるい)が生じる一幻(ゆめ)の自主(あるじ)の未想(みそう)の絵図には、もやもやして居る女性(おんな)の条理が「絵画」へ割(さ)き行く〝我が身〟を相(あい)して、幻(ゆめ)の最上(もがみ)の晴嵐(あらし)に纏わる空気(しとね)を観た時、膨(ふく)らむ〝仕手〟から「歌舞伎」が跳び出る無想の主観(あるじ)の体躯を盛(も)った。人間(ひと)の無益を気丈に想わす無鈍(むどん)の辛苦を緩ませながらも俺の労苦は能(かぎり)を尽して安泰して在り、眠たい彼女(おんな)を追随相(あい)せる夜半(よわ)の独創(こごと)を幻(ゆめ)に観ながら、気楼へ靡ける余程の進理(しんり)は分厚(あつ)い活気に総身を識(し)った…。一女(おんな)の感覚(いしき)を小言に得ながら一幻(ゆめ)の網羅は傍観して居て、浅い〝寝床〟の感覚(いしき)の成果(すえ)には身寒い温度が個人(ひと)を温(あたた)め、気楼に居座る微分の一華(はな)には自体(おのれ)の感覚(いしき)を情緒に統(たば)ねる「無論の幻句(げんく)」が活き活きしていた。無知を気取らす幻(ゆめ)の空気(くうき)が俺の背中を後押しして活き、無言に偽る一女(おんな)の活気が何処(どこ)を向いても通り相場の哀れを煎じて、安い一男(おとこ)の過去の匂(かお)りは分厚(あつ)い空間(すきま)へ透って入(い)った。気苦労ばかりが馬鹿に絶えない未完(みじゅく)を蹴散らす無応(むおう)の記憶は、葦の目下(ふもと)で体言(ことば)を吐き行く丑三時(うしみつどき)への揺蕩(ゆらぎ)を観て採り、自己(おのれ)の未完(みじゅく)を畳む仕種は併せ鏡の光沢(ひかり)に絡まり、幻(ゆめ)の無機へと静かに通れる余韻(おと)の定規を密かに保(も)った…。苦労を異(い)にする〝旧峠(むかしとうげ)〟の無音の景色は、挨拶ばかりで縦列して行く現代人(ひと)への不満を良く良く募らせ、募った精神(こころ)を一宙(そら)へ飛ばせる無機に活(い)き生く俺の活歩(かつほ)は、言(こと)の葉(は)ばかりに元気を見付ける老女の揺蕩(ゆらぎ)に存分揺れた…。一女(おんな)の自覚(かくご)がごまんと降(ふ)るうち人物(もの)の〝社(やしろ)〟は密告(おつげ)を聴き付け、明日(あす)への前夜に理想(ゆめ)を奏でる自分の神秘(ふしぎ)を良く良く視(め)にして、「現世(このよ)ばかりが『世界』じゃない」など両肩(かた)を持ち上げ苦悩を切り付け、旧馴染(むかしなじみ)の俺への容姿は〝男・女(だんじょ)〟を射止めて物憂さだけ識(し)り、文言(ことば)の揺蕩(ゆらぎ)に未知を見送る男性(おとこ)の孤独を〝自覚(かくご)〟に添えた。幻(ゆめ)の静寂(しじま)を外れた一通(とおり)は現(うつつ)を信じた愚者が脚色付(いろづ)け、明日(あす)の静寂(しじま)が白紙(こころ)を濁せる分厚(あつ)い空気(くうき)は空気(しとね)を異(い)にして、幻惑(ゆめ)の無機から未亡を識(し)るのは事始(こと)を納める愚弄に相(あい)して、一女(おんな)の一片(かけら)を宙(そら)へ失(け)し生く俺の男性(おとこ)は前方(まえ)を観た儘、矮小(ちいさ)な記憶へ類(るい)を保(も)たない幻(ゆめ)の冷気を噴散(ふんさん)して居た。紺(あお)い静寂(しじま)を無言に失(け)すのは幻想(ゆめ)の理知への概(おお)きな巨躯にて、幻(ゆめ)の担保を両掌(りょうて)に観た酷く魂消(たまげ)る夕日の孤独は小人(ひと)へ寄り添う紅(あか)い景色を遠(とお)に見据えて無産を呈(しら)しめ、夜明け前にて轟々唸れる老女の態(てい)した無想の主観(あるじ)は、自主(おのれ)の主観(あるじ)を華厳に迷わす無垢の奥義へ分岐させ得た。現代人(ひと)を毛嫌う利口の俺から夜半(よわ)の空気(くうき)がおっとり流行(なが)れて、一女(おんな)の敵(てき)には未然が成り立つ死相遊戯(しそうゆうぎ)がぽっかり浮き立ち、山の香(かおり)が川を流れて一幻(ゆめ)の田圃を徘徊するうち自然の楼気(ろうき)は思惑(こころ)へ流され、一幻(ゆめ)の現(うつつ)に〝都会〟を見渡す精神(こころ)の晴れ間が陽気を説いた。

      *

 彼女が現れる前、大きくは彼(か)の退屈凹凸男のような友人に彼女の存在を仄めかされて居り、まるで彼女が俺に気が在るかのような、そんな物言いでにやにや言って来て、その時に、彼女の釣り好きも判明した。

      *

 苦境を彩る無機に投じた空気(しとね)の晴嵐(あらし)は女性(おんな)の目前(まえ)から未順(みじゅん)を防げる死闘遊戯の言動(うごき)を識(し)り貫(ぬ)き、真白(しろ)い羽虫(むし)から機嫌を裂かれる軟い主観(あるじ)の巨躯の頭上(うえ)では、暗黙(やみ)に見紛う自滅の調子に分厚(あつ)い好機が物語を見て、幻(ゆめ)の景色へ「自分」が移ろう夜気(よぎ)の奮起を一掃して居た。純白(しろ)い一瞬(せつな)に〝木の葉〟を観てから遠く静まる旧(むかし)の独語(かたり)は、苦労話に未来(みらい)を咲かせる余計の所以(ありか)を無想に報され、分厚(あつ)い火照りに律儀を観るまで凡気(ぼんき)と平気を同時に見る迄、男性(おとこ)と女性(おんな)の自由の体裁(かたち)は俺の未完(みじゅく)に衰退して居た。

「何時(いつ)も遅い…。」

 女性(おんな)の一夜(とばり)が成果(はて)を識(し)るのは幻(ゆめ)の魅力を講じた身辺(あたり)で、男性(おとこ)の揺蕩(ゆらぎ)が未完(みじゅく)へ失(き)え生く孤高の詩(うた)には旧い〝水面(みなも)〟が重々集まり、一女(おんな)の一肢(からだ)に「世界」が翻(かえ)れる旧い感覚(いしき)が充満していた。充満していた「俺の邸(やしき)」に理想(ゆめ)の才女(おんな)がふらりと現れ、明日(あす)の景色と今日の景色を気色に見紛う狡い「王佐」は、修業ばかりでその身を流離う宙(そら)の自主(あるじ)に追従(ついしょう)して居る…。美声(こえ)の限りに女性(おんな)が跳び発(た)ち身欲(よく)を醸せる未覚(みかく)の遊戯は、加茂鹿(かもしか)から成る美脚の優雅を一女(おんな)に保(も)たせて遊徊(ゆうかい)して居り、気楼の総てが人間(ひと)を見限る正義の寡の拙い精華(はな)には、人間(ひと)の孤独が揚々浮き立つ「孤独・盲者(もうじゃ)」の致命と識(し)った…。拙い賛美が孤独を連れ添い幻(ゆめ)の未覚を未感(みかん)へ問う内、晴れた姿勢(すがた)の女性(おんな)に認(みと)める上腕(うで)の力のその差は概(おお)きく、旧い四肢(てあし)を流離う蝶から〝未刻峠(みこくとうげ)〟に辿れる縁(ふち)には、夜半(よわ)に忍べる孤独の一形(かたち)に幻(ゆめ)の直りが概(おお)きく羽ばたく〝苦行の精華〟が文言(ことば)を吐(つ)いた…。「自分の記録」を幻(ゆめ)へ載せつつ白亜の孤独へ鼓動を託して〝木の葉〟の延命(いのち)に熱さを観ながら、一幻(ゆめ)の逆生(もどり)に段々遠退く旧来(むかしかたぎ)の魅了を識(し)った。幻(ゆめ)の意味から感覚(いしき)を齧れる旧い男児へ女児を宛がい、幻(ゆめ)との孤独を奇妙に見積もる「明日(あす)」のmonk(モンク)を画して生くのは、孤独の表情(かお)から貴重に集まる愛への勇気を真傍(まよこ)に据え得た漆黒差(くろさ)に煌めく無心の生命(いのち)で、幻(ゆめ)の了(おわ)りを永遠(とわ)に見得ない現行(いま)を生き貫(ぬ)く苦労を識(し)った。問わず語りの白亜(しろ)い〝休み〟は一女(おんな)の躰に微塵に募られ、一男(おとこ)の身辺(あたり)に幻想(ゆめ)を頬張る自体(おのれ)の未完(みじゅく)を宙(そら)へ飛ばせる厚い生気の身軽(かる)さを識(し)りつつ、男性(おとこ)が宛がう徒労の虚無から一女(おんな)の気色は優(ゆう)に蹴上がる瞭化(りょうか)を以て、暗夜(やみよ)に仕留めた身軽(かる)いしたりを暗夜(あんや)に列(なら)べて噴笑(ふんしょう)して居た。孤独と正義と苦労を想わす人生(みち)の上にて俺の八頭(あたま)は矢庭に騒げる白紙(こころ)を掴まれ、旧い女性(おんな)の夜半(よわ)の〝一夜(とばり)〟に堂々巡りの気性を衒われ、独歩に認(みと)めた故郷の〝身重〟は一男(おとこ)の進化へ真っ直ぐ行き着け、身寒い最中(さなか)に「夜半(よわ)」を忘れる宇宙の組織を一女(おんな)へ遣った…。宙(そら)の目下(ふもと)へ段々固まる分厚(あつ)い虚空(そら)から躰が傾(かしず)き、女性(おんな)の自覚(かくご)が矢庭に活(い)き付(づ)く男性(おとこ)に対する野望の総ては、小宙(そら)の根本(ねもと)で感覚(いしき)を失くせる不毛を産(うま)せる欠伸の延びにて、女性(おんな)の生命(いのち)を助ける空気(くうき)は空気(しとね)に遣られて半分まで減り、〝問わず逆(もど)り〟の女性(おんな)の精華は男性(おとこ)へ寄らずに滑走して居る…。奇妙に掌(て)にする自然(あるじ)の姿勢(すがた)に一目散から両手を拡げる自主(あるじ)の孤独が人物(もの)の概(おお)くに物理を企て、明日(あす)の高度を小宙(そら)へ高める飽くなき護りは不純の生果を減退させ得た。漆黒(くろ)い過程(さなか)に男・女(だんじょ)を併せる併せ鏡の逆上(のぼり)の姿勢(すがた)は、女性(おんな)の意固地を呆(ぼう)っと透せる夜霧(きり)の雰囲気(ムード)を噴散(ふんさん)させ活き、苦労ばかりで矛盾を培う分厚(あつ)い翳りは音頭を報わず、独り善がりの愚かな転歩(テンポ)を思中(しちゅう)に酔わせて礼賛して居た。速い転歩(テンポ)へ躰を射止める概(おお)きく滑稽(おかし)い魔性の企図には、男性(おとこ)と女性(おんな)の夜半(よわ)の進歩が俗世(このよ)を着かせず雰囲気(モード)を嗜み、分厚(あつ)い可能(かぎり)を上手(じょうず)に仕留める〝向かいの自主(あるじ)〟に緊(きつ)い御託を散々列(なら)べて、手近で射止めた孤独の合図は愛撫を始めて酔いに醒めずの無適の情緒を一女(おんな)に識(し)った…。緊(きつ)い権利(かぎり)に大手を観るうち信用深さは産みを識(し)られず、熱い信仰(まよい)は人生(みち)を独歩(ある)けぬ有為(うい)の歯切りに理性(りせい)を認(したた)め、白亜(しろ)い脳裏へ出納して行く旧来(むかしかたぎ)の八頭(おろち)の行方は、小宙(そら)に固めた未屈(みくつ)の有利を離散に培う幻陽(げんよう)にも観た…。

 「小泉今日子が可愛い…愛露(エロス)を感じる…無機の鉄砲数打ちゃ当る…。孤独の総理は無言で偽る嚏(くしゃみ)をした儘、俺と子供の化身(かわり)の様子は究極から観て苦悩を費やす…」。

 空気(もぬけ)の周囲(まわり)に曇天張(ば)りした感覚(いしき)が抛られ、分厚(あつ)い途切りに孤独を気取れる旧来(むかしかたぎ)の魅力を培い、曇天模様の小宙(そら)の目下(した)では児(こども)の瞳(め)をした大工が表れ、事始(ことのはじめ)に心身(からだ)を懐かす無断の気力(ちから)を揚々見て居る…。小鳥の四肢(てあし)に生屍人(ゾンビ)を観た後(のち)旧い黄土は俺を遠避(とおざ)け、明日(あす)の可能(かぎり)を充分満たせる孤独の呼笛(あいず)を現行(いま)に持ち寄り、感覚(いしき)を先(せん)じて延命(いのち)を幻見(ゆめみ)る分厚(あつ)い輪廻(ロンド)の先端から観て、今日の生憶(きおく)を明日(あす)へ繋げる有名無実の郷里を意(い)に留(と)め、自体(おのれのからだ)を無縁に投じる熱い信仰(まよい)の所以(ありか)を盛(も)った。精神伝(こころづた)いに独歩(ある)ける距離には孤独の初歩(いろは)を幻想(ゆめ)に留(とど)める「昨日と今日との悪しき保護(まもり)」の永遠(とわ)に廃れた孤独が先駆け、漆黒味(くろみ)を帯び生く無想の結果は大宙(そら)を見上げた矢先に壊れて、人生(みち)の上にて予測を培う不問の胸裏へその実(み)を落せる。旧い乞食を一女(おんな)に観るうち安い亘(わた)りは人生(みち)へ先駆け、冒険好きから生命(いのち)を賄う自体(おのれ)の気色に自覚(かくご)が漲り、明日(あす)へ赴く夢想の虚無から未潤(みじゅん)に懐かす去来が在った。孤独の頭上(うえ)から虚無が降(お)り立ち、未完(みじゅく)の連想(ドラマ)を虚構へ識(し)るのは無残を失くせる詩吟の幻想(ゆめ)にて、幻(ゆめ)の周囲(まわり)で価値を問えずの手厚(あつ)い逆生(もどり)は感嘆した儘、了(おわ)りと現行(いま)とを向日に見せない事始(こと)に纏わる未行(みこう)の遊戯を〝去来〟に引っ掛け安売りして居る…。

      *

 …小雨が降ってた。俺は彼女に密かに会いたくなって居た。言ってる内に、彼女がその釣りから帰って来たようだ。彼女は、まぁまぁ魚が釣れた様(よう)な恰好をして、それでも魚を入れた用具(かご)のような物は見せずに、唯、そう言う気配だけを感じさせながら、女の子特有の元気を潤々(うるうる)振り撒きながら俺の目前(まえ)まで来て、何か、焚火に当たってるような、そんな様(よう)な出で立ちで俺と束の間対談し、それから〝一旦、帰るわ〟とでも言ったように帰った。彼女は始め自転車に見えたバイクに乗ってたようだ。そのコミュニティから、松井山手の(あの長い)道から国道一号線へ出る迄の上り下りの坂に変っていた。猿顔・フェニックスのような友人は俺に、彼女が俺と話したがって居る、好いて居る、と言うような事を言ってたが、別にそんな事は無い様子だった。又、単に俺が気付かなかっただけかも知れず、彼女との接点はそれ程、時間を持たなかった(掛けられなかった)。

 雷が頭上で酷く鳴り始めた。俺は何人かの友人・知人と一緒に成って或る特定場所にて雷が過ぎるのを待ち、唯、蹲って居た。松のような淋しい木が何本か立っており、俺は、友人・知人、そして俺が、その何本か均等間隔に並ぶ木立の間で懸命に雷を恐れて居るのを薄暗い背後から客観的に見て居る。まるで俺が一番怖がってた様(よう)に見える。

      *

 孤独の酒宴(うたげ)が紋様(もよう)に伏す時緑色した緑樹の人陰(かげ)から〝護り人(びと)〟成る酒乱が表れ、暗い辺りに〝夜半(よわ)〟を培う、幻(ゆめ)に見初める淡い体裁(かたち)は、夜毎の空慮(くうりょ)に惜しく編まれて烈しい劣化を精心(こころ)に観て居た。幻(ゆめ)に真白(しろ)さを届ける淡さは俺と他(ひと)との空慮を温(あたた)め烈しい劣化に見劣りさせない〝奇妙〟を彩る無言の結果は、薄暗(くら)い憂慮へ恐怖を観て生く〝星降る丘〟への散歩を採った。無憶(むおく)の起死から奇妙が色付き、自己(おのれ)の独創(こごと)へ独走して生く旧い「丘」への見事の進歩は、自己(おのれ)の虚無から未然が息衝く斬新(あらた)な〝寝間〟への虚構が漲り、溢れ過ぎ生く生屍人(ゾンビ)の四肢(からだ)は無垢を見送る睨みの傍(そば)から、一女(おんな)の孤独が密かに還れる憂き世の精華(はな)から進路を奪(と)った。配(あやつ)り始める神秘(ふしぎ)の要局(かなめ)の体力(ちから)の自活(かて)には、同じ場所から〝土手〟が観得ない悲壮の自覚(かくご)を自慢しながら、旧(ふる)びた感覚(いしき)を遠目に観て生く〝起死〟の遊戯を無頂(むちょう)に見送り、分厚(あつ)い滴(した)りに篩を合せる微温(ぬる)い寝屋へとその実(み)を棄て得た。明日(あす)の娯楽を不浄に吸すうち自己(おのれ)の自覚(かくご)は勝手を識(し)り貫(ぬ)き、併せ伝(づた)い精神病(やまい)を治せる混迷(カオス)の〝水面(みなも)〟に自体(おのれ)を晒して、俗世(このよ)の盲渦(もうか)を気取る両眼(まなこ)は一女(おんな)の独我(どくが)を空気(しとね)へ焚いた…。一男(おとこ)の孤憶(こおく)は幸先(さき)の豊穣(ゆたか)な空気(しとね)へ併せて直ぐに過ぎ去る一幻(ゆめ)の千夜(ひとよ)を相(あい)を仕留めた貌(かお)から儲け、漆黒(くろ)く儲かる不揃いばかりの人間(ひと)の業為(ぎょうい)に未知の屍(かばね)を上手(じょうず)に観ながら、熱い逆生(もどり)の幻(ゆめ)の許容(なか)では密かな無謀が〝呼吸(いき)〟をして居た…。…無応(むおう)の記憶が「杜撰」を引き出し事始(こと)の開花を惜しんで吐く程、幻見勝(ゆめみが)ちなど追究して行く夢想(むそう)の原理を懐手にして、冷めた一幻(ゆめ)には小敗地(アジト)を保(も)たない賢い妙義(みょうぎ)が乱満(らんまん)している。幻想(ゆめ)の孤憶(こおく)を無残を唱(しょう)する一幻(ゆめ)の両腕(かいな)が挙げる迄には「文言(ことば)の虚無」から賄う動作が一人(ひと)の自覚(かくご)へ噴散(ふんさん)して活き、辛い孤憶(こおく)に茶色を幻見(ゆめみ)る旧来独語(むかしがたり)の落ち着く果(さ)き等、明日(あす)の目的(あて)からmonkを拾える事始(こと)の進化を模造して居た。意固地の無いまま無益を企み、夜半(よわ)の滾りに追走するのは不乱の乱舞が堂々巡りの人間(ひと)の強靭(つよ)さに匹敵して居り、結局夜半(よわ)から〝身重〟に保(も)てない低い個屋(こおく)を追討し始め、苦労の末から純心(こころ)を射止める男・女(だんじょ)の定律(おきて)に寄り添い始める。幻(ゆめ)の白衣(ころも)に新参するうち加減を見知らぬ〝男・女(だんじょ)〟が顕れ、許容(うち)を魅せない無垢の様子は小奇麗(きれい)にしたまま無口を気にして、自己(おのれ)の活気に取り添え始める「昨日」の宴(うたげ)は微妙を問いつつ、紺(あお)い歯尻(はじり)に億尾を保(も)てない広い讃歌の起業に在った。一夜(よる)の末路(すえ)から落ち着く参路(さんろ)は一男(おとこ)の無駄から巨躯を頬張り、一点張りにて感覚(いしき)を賄う一幻(ゆめ)の放棄を未純(みじゅん)に仕上げて、穢れの無いまま落ち度を魅せない自然(しぜん)混じりの感覚(いしき)に操(と)られて、俺と「彼女」の場合の初端(すそ)から橙色(おれんじいろ)した夕日を割いた。純白(しろ)い気色に有頂を詠むうち短い小敗地(アジト)に落来(らくらい)して行く陽(よう)の逆光(ひかり)を換算した儘、無数に拡がる至極(しぎょく)の連想(ドラマ)をその眼(め)に失(け)し行く気楼を見守り、女性(おんな)の小敗地(アジト)を未然に壊せる虚無の所以(ありか)を追想して居た。事始(ことのはじめ)に理屈を立て活き苦行を呈(てい)した哀れを観てると、明日(あす)の目的(さかな)を行(ぎょう)に伏せ行く未屈(みくつ)の活歩(かつほ)が詩吟を興じて、男性(おとこ)の談話を無音(おと)へ失(け)し行く未活の有利を進歩へ化(か)え行く孤独の独気(オーラ)を通感(つうかん)していた。奇想に際する孤独の哀れは幻(ゆめ)の独創(こごと)にその身が堕ち生く旧い果実の遊離が拡がり、逆上(のぼ)せ始める独歩の態(てい)から〝男・女(だんじょ)の一灯(あかり)〟は絶対乏しく、俗世(このよ)生れの律儀な自覚(かくご)が徒労を馳せ行く王手を防ぎ、分厚(あつ)い孤独に勝手を識(し)り貫(ぬ)く不問の晴嵐(あらし)を未潤(みじゅん)に置いた。一幻(ゆめ)の両腕(かいな)が孤独に映えると「孤独の景色」は浄化を消されず、女性(おんな)の自覚(かくご)が古豪を射止める旧い廊下の虚無を吸い付け、一男(おとこ)の柔身(やわみ)を夢限(むげん)に徹する分厚(あつ)い流れの小敗地(アジト)の成果(さき)では、不当に伴う滑稽(おかし)な呼笛(あいず)が奇問を投げ掛けその場を終えた。分厚(あつ)い「男・女(だんじょ)の孤独の進歩」は白壁(かべ)の範囲(なか)から路頭を想わせ、障害ばかりで「自由」が成り立つ猥褻染み生く活気の陰(かげ)にて、空気(しとね)ばかりが躰を連れ添う奇妙の億土を見定め始めた「孤独の王者」を考えさせた。

 苦労を掌(て)にする夜半(よわ)の流行(ながれ)は至闘(しとう)の最中(さなか)に矛盾を灯らせ、分厚(あつ)い白壁(かべ)から自由に遊泳(およ)げる無為の人間(ひと)へとその芽を巡らせ、〝併せ二夜(ぶたよ)〟に未潤(みじゅん)を仕立てる岡目(おかめ)の条理を至軟(しなん)に解(と)き生く…。旧い進歩に気怠さなど観て孤憶(こおく)の角(かど)には未屈(みくつ)が顕れ、幻(ゆめ)の白亜へ追随して生く旧来(むかし)の進歩が有利を運ばせ、分厚(あつ)い枯渇の轍から一気を認(みと)める。一幻(ゆめ)に塗れる紅(あか)い亘(わた)りは素人(しろうと)ばかりの仮想(イメージ)から脱(ぬ)け、一幻(ゆめ)に纏わる純粋(ピュア)の許容(なか)から理屈に与(あず)かる無知を配(あやつ)り、素人仕立ての虚無の信仰(めいろ)を雲間に隠して連歩(れんぽ)を説いた。現世(このよ)の果てから感覚(いしき)を失くせる旧い二夜(ふたよ)の感覚(いしき)の許容(なか)では、玄人張りした未屈の生命(いのち)が幾つに成っても無想を挙げ活き、緊(きつ)い明日(あす)への遊離の程度(ほど)から堂々巡りの孤独が追い駆け、俺の心身(からだ)は寝間を忘れた無難の純化を深く尖らせ、五月蠅(あわ)く暗転(ころ)がる古傷ばかりを古豪に焚き付けずどんと堕ちた。

      *

 フェニックス男のような彼が俺に、彼女が何人かの不良に襲われて居る、事をちょいちょいと肩を突(つつ)かれ、面白い光景(もの)でも見るかのように、人目を忍んでこっそり教えてくれた。俺達は、コミュニティに居る他の人に気付かれずにそっと出た。小雨が降り続けている。彼女はバイクに乗って帰宅途中だった様子で、既に何人かの、別のクラスの不良共に絡まれ、走って居たバイクをやがて止められたようで、坂道を降り切らない場所で皆立ち止まって、ただ不良だけがその彼女に向かって文句を言って居た様(よう)だった。その不良一団の中には、女も少し居たようだったが、はっきりしない。俺はその光景を、自分達から結構遠く離れた位置に観ながら、〝彼女って、あんなに可愛いのに、あんなに性格も可愛く見えて良さそうなのに、他のクラスの奴等には結構嫌われてたんやなぁ…〟と心中で呟いて居て、焚火しながら話して居た時の彼女の在り方が何とも純粋で可愛らしく自分にとっては大事な人の様(よう)に思えて来て居たので、俺は、彼女の方に「責められるだけの理由」が在るにせよ、あれだけ一方的に責められてる彼女を観ながら居ても立っても居れなく成るほど可哀想に見え出し、何とかしてこのフェニックス男をも使って一緒に彼女を助け出したい、と思い始めて居た。まるで、怒りか興奮か何かの、ボルテージが上がって来るのを体の中に感じて居た。空は変らずグレー色だった。

      *

 …不意に始まる無穏の競歩(レース)が一夜(とばり)を越え行く速度(スピード)さえ保(も)ち、〝併せ二夜(ぶたよ)〟の空気(もぬけ)の時期(ころ)から夜半(よわ)の翳りを不問に射止めて、事始(ことのはじめ)に感覚(いしき)を問うのを現代人(ひと)の孤憶(こおく)に公転(ころ)がし始める苦労の辺りに未完(みかん)を感じて、涼風(かぜ)が自ずと自由に波(わた)れる向きの跳馬を孤憶に観てから、幻想(ゆめ)の許容(うち)へと微かに射止める夢遊の調子は独断付(づ)いた…。孤独の人陰(かげ)からmonkが仕上がり無重の日(ひ)の掌(て)を無想に観るのは、日々の労苦を夢想に見送る豊穣(ゆたか)な森羅の問診でもあり、未活の遊歩に詩吟が発(た)つのを再度見送り虚無に問うのは、熱い希望(ゆめ)から八頭(おろち)が暗転(ころ)がる無機の小敗地(アジト)の憫笑より成る。気苦労ばかりに小敗地(アジト)が活き尽(き)る無人の撤廃地(アジト)に人間(ひと)が帰(き)すのは明日(あす)に割かれる具現にも在り、幻(ゆめ)の両腕(かいな)に凌駕を突き刺す孤独の目下(ふもと)に落ち込む辺りは明日(あす)の一幻(ゆめ)への憫笑から鳴る一時(いちじ)の白亜に発覚され活き、益々掌(て)に載る文鳥仕立ての私算(しさん)の体(てい)には、自己(おのれ)ばかりが「昨日」を活き切る幻(ゆめ)の主観(あるじ)の活力(ちから)が在った。現世(このよ)の仕手から幻(ゆめ)に亘(わた)れる呼応の経路へ独歩(ある)いて生くのは、幻(ゆめ)の頭上(うえ)から胡坐を搔いてる不屈の末路が純化を取り添え、一人(ひと)の従順(すなお)が奇妙に懐ける孤屋(こおく)の界(かぎり)は進路を見定(さだ)めて、手厚(あつ)い白壁(かべ)から無純が仕上がる一幻(ゆめ)の信仰(めいろ)の試算が上澄み、初めて向日の規矩を割け得るしどろもどろの捏造だけ在る。自体(おのれ)の無垢から一人(ひと)に棚引く恰好(かたち)が仰向け、明日(あす)の自覚(かくご)へ「自身」を見定(さだ)める悪しき用途が無純に仕上がり、面白可笑しく向きに長じた安きの奇屈(きくつ)は、幻(ゆめ)の一宮(みやこ)へ最果て観えない不毛の情緒が運ばれ始める…。…―――、一女(おんな)の表情(かお)から男性(おとこ)が覗ける鼓動の進理(しんり)は幸先(さき)を詠まずに、短い主観(あるじ)へ呼応を統(たば)ねた独り優雅な軌跡をだけ観て、幻想(ゆめ)に咲き生く一局(ひとつ)の主観(あるじ)へ幸先(さき)を詠ませぬ未完(みじゅく)の界(かぎり)は、幻(ゆめ)の落ち度へ男子を呼べない不良仕立ての元理(げんり)を相(あい)する…。未覚の両刃(もろは)を追随しながら使える伝達手段(ツール)を交互に企み、浅い眠りに理性(はどめ)を掛け得る一幻(ゆめ)の様子に生屍人(ゾンビ)を齎し、孤独と孤独が夜半(よわ)に与(くみ)する気楼の灯(あか)りは何処(いずこ)も同じで、薄い灯(あか)りを思中(しちゅう)に留(とど)める淡い現世(このよ)を概(おお)きく見逃す。幻(ゆめ)の純白(しろ)さに身悶えしながら気力(ちから)の可能(かぎり)を上手(じょうず)に気取らせ、合せ二夜(ぶたよ)に未然を連れ添う一幻(ゆめ)の理性(はどめ)は訝しくも在り、旧(ふる)びた倣いに孤高を清める朗(あか)るい話題(たね)には男・女(だんじょ)が呼吸(いき)して、孤独の身重に追随して生く空気(しとね)紛いの空虚の類(るい)には、分厚(あつ)い滾りが仄かに連なる無効の尽力(ちから)が透って行った。一女(おんな)の傀儡(どうぐ)が未知へ往くとき孤独の盲者(もうじゃ)は苛々しながら、白壁(かべ)の内にて密かに培う親善ばかりが宙(そら)へ活き出し、分厚(あつ)い緩みに純心(こころ)が織り成す無言の日(ひ)の粉(こ)に離体(りたい)を観る内、空虚を伴う未活の身辺(あたり)は苦労を逆手(さかて)に矛盾を問うた。自然(あるじ)の定理(おきて)に無言を詠むうち分厚(あつ)い猛りは傲慢から成り、幻想(ゆめ)の孤憶(こおく)を準じて看破(みやぶ)る拙い論破は矢庭に駆け出し、暗い夜宙(よぞら)に御椀を認める神秘(ふしぎ)の概句(おおく)へ散歩をして居た。旧い理性(はどめ)に律儀が見得出し幻盲(ゆめ)の盲句(もうく)にその実(み)が発(た)つ頃、明日(あす)への賛美は人間(ひと)を講じて見送りして活き無機を纏わる非情の多くを無視した体裁(かたち)で大事を見忘れ、漂白(しろ)い気玉(けだま)を好く好く透せる純情(こころ)の害気(がいき)を笑覧(しょうらん)して居る。未知の孤独が未来(みらい)へ吹き出し、未然の概句(おおく)が混沌(カオス)が律儀に在る頃、無駄を呈せる現世(このよ)の美味には分厚(あつ)い途切りが換算され活き、人間(ひと)に纏わる孤独の信徒は懲役紛いの期間を吟味(あじ)わい、旧(ふる)びた生気を躍起に見送る夜半(よわ)の独白(かたり)に浸透させ得た。純白(しろ)い気色へ悶々するうち明日(あす)の未来(さき)へと自己(おのれ)を透せる神秘(ふしぎ)の独義(ドグマ)は昨日を幻見(ゆめみ)て、「昨日」の所以(ありか)を語句へ揃(なら)べる一幻(ゆめ)の神秘(ふしぎ)をごくごく呑み干し、痩せた心身(からだ)で大手を落せる幻(ゆめ)の孤独に自重を観て居た。暗夜(くらいよる)から未然が跳び出し事始(こと)の概(おお)くを見定(さだ)めて往くのはしどろもどろの天下(てんか)へ降(お)り立つ澄んだ〝身重〟の無頼を呼び付け、独り善がりの手振(てぶ)らの主観(あるじ)は辛苦を視(め)にして一方逆立ち、夜(よ)にも神秘(ふしぎ)な孤憶(こおく)の人陰(かげ)から無頼を牛耳る不審を解(と)い得た…。明日(あす)の果(さ)きから無言を配(はい)する自己(おのれ)の陰府(よみ)から無効が跳び出し、幻想(ゆめ)の篝(かがり)へその芽を与(あず)ける門渡(とわた)り模様の輪廻(ロンド)が呼吸(いき)して、幻(ゆめ)の初めに憤怒を培う胸の狂句を宙(そら)から引けば、明日(あす)の孤独へふっと落ち込む永い進化が鈍(にぶ)さを挙げた。一人(ひと)の孤独が看破(みやぶ)られて生く孤高の定律(おきて)を弛(たゆ)みに観る頃、経過(とき)の逆生(もどり)へ合図を仕掛ける一人(ひと)の生気が段々哀しく、熱い逆生(もどり)にその実(み)を掴める幻(ゆめ)の吐息へその視(め)を遣るのは、一女(おんな)の一片(はへん)に見納め始める無機の一重(ひとえ)の要領だった。純白(しろ)い天衣(ころも)が絹を着せ得る〝有難見たさ〟の連怒(れんど)の逆鏡(かがみ)は無為に通せる青空(そら)を観ながら「昨日ばかりの空」を見送る一体(からだ)の一滴(しずく)を汗へ侍らせ、手厚(あつ)い看護を環境(まわり)へ受け生く死太(しぶと)い朝陽の私欲(よく)の種(たね)には、幻夢(ゆめ)への感覚(いしき)を揚々保(も)てない古い態度が未完(みじゅく)を描(か)いた。

      *

 俺は夢の中の意識を作用させて、不良一団と彼女とを自分達の方へバイクで走り寄らせ、過ぎ去る彼女達を、俺とフェニックス男も俺の意識により用意したバイクに跨り乗って追う形に成った。不良一団の内の何人かは俺達の存在に気付き始めたが、取分け、何をするでも無く、唯仄(ぼ)んやり惰性で走り、彼女を追い駆けて居た。俺は何とかしてバイクに乗り込みながら、その一団の何人かをエキサイトバイク(ファミコン)の様(よう)にこかすか蹴倒す事を試みながら、中々出来ずに、唯やはり、惰性に倣って彼女の所まで近付こうとして居た。フェニックス男にもその様(よう)にさせようと俺の意識は働いて居た。

      *

 鼓動の概(おお)くは四方(よも)に集まり神秘(ふしぎ)を欲しがり手厚(あつ)い看護を環境(まわり)へ問ううち幻(ゆめ)の老化を哀しく問いつつ、人間(ひと)に纏わる不毛の辺りを巧みに解(かい)せる孤独の進理(しんり)は、自体(おのれ)の夜半(よわ)から孤独を養う幻(ゆめ)の看護を揚々受けた。手厚(あつ)い独白(かたり)に身寒(さむ)さを募らせ幻想(ゆめ)への浮き世は地に足着かずに、始めから無い清い晴嵐(あらし)は一人(ひと)の未活をどんどん識(し)るうち脆(よわ)い信途(しんと)で頭(こうべ)を上げ得る八頭(おろち)の道理を殊に悦び、明日(あす)の駆逐を私用に徹する淡い主観(あるじ)の孤独の許容(うち)には、幻(ゆめ)の宙(そら)へとこの実(み)を翻(かえ)せる素人波(しろうとわた)りを順々相(あい)せた…。未知への気擦(きず)れを漂白味(しろみ)に呈する感覚(いしき)が吟味(あじ)わい事始(こと)の様子を丁度に見得ない無謀の調子に追随させては再び堕ち生く現代人(ひと)の堕落へその身を掲げて無欲を頬張り、手厚(あつ)い孤独が無信(むしん)を脚色取(いろど)る孤憶(こおく)の情緒は上下を報され、天上天下へ現行人(ひと)を見下ろす無機の理性(はどめ)に自信を採った…。孤独の概(おお)くが女子に紛れて躰を貪り、女性(おんな)の柔裸(やわら)を視点に集める幻(ゆめ)の無欲は孤独を呑まされ、気付いた瞬間(とき)には手厚(あつ)い黄粉(きなこ)に艶(あで)を識(し)り得て、一男(おとこ)の企図には一糸が揃わぬ無謀の寝音(ねおと)がその身を焚き付け、五月蠅(あわ)い孤独を身重に感じる一女(おんな)の軟裸(やわら)を吹聴して居た。…生憶(きおく)の無理から空気(しとね)が這い出る無為の孤独が神秘を欲しがり、気楼の一総(すべて)が秋空(そら)へ駆け往く煩悩(ぼんのう)ばかりを天使の白衣(ころも)へ明記させ得て、俺の向日に居座る煩悩(なやみ)の手数(かず)には人物(もの)の幾多が加減を調え、相(あい)も知り得ぬ無言の概(おお)くは宙(そら)へ失(き)え去る明日(あす)を転じて、少女の嘆きを事始(こと)へ見送る無屈(むくつ)の愛慕(あいぼ)に進々(しんしん)して生く。

 幻(ゆめ)の企図へと自由を見限る普遍の新理(しんり)は万象(よろづ)の生気を煩悩(なやみ)から引き、口付けして生く万離(ばんり)の主観(あるじ)が理性(はどめ)を従え空虚を睨(ね)め付け、少女(おんな)の記憶を我が身に留(とど)めた手厚(あつ)い経過(ながれ)の目下(ふもと)から観て、一人(ひと)に纏わる神秘(ふしぎ)の模写には「抜けぬ合図」がほろほろ落ちた…。紺(あお)い摂理が小宙(そら)から吊るされ「俺」に纏わる森羅の幻想(ゆめ)には一人(ひと)が恋する幼女(おんな)の体型(かたち)が明瞭(あか)るく消されて地中這い出し、純白(しろ)い吐息に女性(おんな)を認(みと)める〝有難見たさ〟は悪の華へと紋様(もよう)を見せ付け、一幻(ゆめ)の羽衣(ころも)を真偽に問う等、俗世(このよ)を活き尽(き)る双方(ふたつ)の意識は二性(にせい)に戯れ正義を蹴落とす…。辛(つら)い旅路を不意に了(おわ)らせ暗夜(やみよ)の許容(なか)から気楼へ迷わす無重の心理の境地の頭上(うえ)では、個人(ひと)の眼(め)に咲く竜胆(あおいはな)など如実に失(け)し去る空虚を昂(たか)らめ、果てを見知れぬ痩躯の視(め)を観て夜方(よも)の界(かぎり)を全身(からだ)で承け留(と)め、架空(そら)の内から情(じょう)に流れる旧い面持(かお)から気色を気取らせ、手厚(あつ)い独語(かたり)に遺棄を認める幻夢(ゆめ)の脆さを殊に謳った。―――、一人(ひと)の孤憶(こおく)を無機へと拡げる無信の自覚(かくご)は未重(みじゅう)の視(め)を識(し)り、手厚(あつ)い孤独に煩悩(なやみ)を突き刺す事始(こと)の柔らを一女(おんな)へ見せ付け、感じる間(ま)に間(ま)に…、遠方(とおく)の〝八頭(おろち)〟を大事に見限る一宙(そら)の彼方に幻(ゆめ)を置き付け、呆(ぼ)んやりして居る気楼の総身(すべて)は純白(しろ)い孤独を感覚(いしき)に問い掛け、人間(ひと)の孤独を天へ仰げる玄人仕立ての紋様(もよう)が萎えた。一人(ひと)の孤独と幻(ゆめ)の孤憶(こおく)が一重(ひとえ)に重なり感覚(いしき)を問い掛け、幻(ゆめ)の身重が景色を知らない淡い人影(かげ)には未住(みじゅう)が袈裟懸け、事始(ことのはじめ)が郷里を忘れて吊られる時期(ころ)には分厚(あつ)い人界(かぎり)が生命(いのち)を観て活き、三日月(つき)の身憶(みおく)へ幻想(ゆめ)を侍らす無地の気配が一女(おんな)へ跳んだ…。分厚(あつ)い刺激に空気(しとね)が綻び虚無の許容(うち)から身重を想わす微動の手数(かず)から悪魔を観る時、幻(ゆめ)の仄かが紅(あか)く蹴上がる理想の日蓋(ひぶた)が真逆に仕上がり、一女(おんな)の貌(かお)から感覚(いしき)に透れる幻(ゆめ)の不埒へ駆け出し始めた。宵の虚無から女悪魔(あくま)が跳び出し宇宙(うちゅう)へ還れる微動の空気は活気を遮る人間(ひと)へと弄(あそ)ばれ、一幻(ゆめ)の一重(ひとえ)に完璧(パーフェクト)を観る絢爛豪華の億尾が萎えた。男性(おとこ)の空気(しとね)に俺は外れて現世(このよ)の網羅を一切彩(と)らない一女(おんな)の主観(あるじ)が宙(そら)へ跳び発(た)ち、手厚(あつ)い火照りに身分を賄う宙(そら)の彼方は生果を忘れて、初めから無い滑稽(おかし)な孤独はアダムとエバからずんずん活き立ち、俗世(このよ)の空気(しとね)を耽美に魅せ生く旧い腕力(ちから)を豪華に据えた。「泥濘」から成る端正(きれい)な悪魔が現行人(ひと)に翻(かえ)らず無欲に蹴走(けばし)り、果てを知れない現代人(ひと)の存在(すがた)に概(おお)きく空転(ころ)がり夢中を呼び寄せ、明日(あす)の空間(すきま)へ暗転(ころ)がる時期(ころ)には夢遊の体(てい)して未完(みじゅく)を貪り、相(あい)する愛児(まなご)に多様を見取れぬ不要の主観(あるじ)を相手して居た。心中(こころ)の白紙に流転を極める無己(むこ)の共鳴(なげき)は未々(いまいま)ながらに、清々(せいせい)から成る不義の脚力(ちから)を見事に刺し行く人間(ひと)の流行(ながれ)は煩悩から観て真傍(まよこ)に寝そべり、茶色い体裁(すがた)に自己(おのれ)を留(とど)める〝無理〟を変じたmonkの様子は、自体(おのれのからだ)を生死に問わない不意の精神病(やまい)に確立され行く…。

      *

 …その環境が夢の内だと気付き始めた俺は、劣勢ながらもそれを物ともさせずに勝てる気がし始めて、やがて彼女に皆が追い付き皆バイクから降(お)り、愈々喧嘩が始まるという段にて、俺は夢の内故の実力(何が何でも余裕で俺が勝つ・全てが俺の思い通りに行く程の実力ちから)を以て、相手を威嚇、又、負かして行こうと試みて居た。坂道に吹く風がグレーの空の下で少し肌寒い位に良く吹いて、不安ながらに気持ち良かった。俺は彼女が好きで、不憫に思えて仕方無く、又、可愛らしい彼女を、如何(どう)しても助けたかったのだ。その辺りで目が覚めた。

      *

 無識(むしき)の狭間(あいだ)に「彼女」が置かれて不意を覗ける暗黙(ころび)の許容(なか)へと虚無を引き連れ愛想を振り撒き、無断の美談(はなし)に小言を揃(なら)べる未屈(みくつ)の遊戯へ進歩を履いても、明日(あす)の虚無へと総身(すべて)を棄(な)げ生く奇女(おんな)の姿勢(すがた)を脳裏に建てれば、脆い路地から夢中を鈍(くも)らす暗中模索の実力(ちから)の態(てい)には、意図も容易く不憫が鳴いた。一男(おとこ)の自覚(かくご)は夜半(よわ)を知るまま夢中に成り生く起死の夕べで、不良に捕まる遊女(おんな)の界(かぎり)を空気(しとね)に見分けて呆(ぼ)んやり死んだ。手厚(あつ)い環境(まわり)に打ち明けられ活きそうで在りつつ俺の集体(シグマ)は女性(おんな)を見送り女性(おんな)を見限り、一宙(そら)の高嶺で一声(ひとこえ)鳴き生く不死鳥(とり)の美談にその実(み)を準え、今日と現行(いま)との孤高へ棚引く無踏(むとう)の景色を回復させた…。俺の生体(からだ)は「彼女」へ向かって丈夫に活き生く…。「明日(あす)」の光明(ひかり)をその背に承けつつ夜毎の宙(そら)から未像(みぞう)を引き連れ女性(おんな)の「空野(くうや)」を自然に脱(ぬ)けたが、何処(どこ)まで行けども未完(みじゅく)の音頭は相も変らず、一男(おとこ)の孤独を曖昧にする…。自体(おのれ)の感覚(いしき)が集うさながら一女(おんな)の闘気は一身(からだ)に吊るされ黄泉の虚無より段々遠退く自然の動力(ちから)に未然を承けたが、男性(おとこ)の孤独は限りを識(し)らずで、女性(おんな)の孤独に過酷を強いらす逆生(もどり)の小躍(サンバ)を現世(このよ)で識(し)った。

 分厚(あつ)い快無(オルガ)の追憶(おもい)の成果(さき)でも一男(おとこ)に仰け反る一女(おんな)が現れ、幻(ゆめ)に見積もる自己(おのれ)の「自由」に未解(みかい)を差し出す勇気を気取り、一男(おとこ)の巨躯から無断を募らす事始(こと)の有利は逆生(もどり)の速さに絶望(のぞみ)を割いても、明日(あす)の遊離をその場へ腐らす旧い酒宴(うたげ)は雌雄を決め込み、男性(おとこ)の孤独を独裁(ドグマ)へ表す無知の酒場を夕日に観て居る…。明日(あす)の疲れを白亜に還せる一幻(ゆめ)の不埒は揺蕩(ゆらぎ)に身を寄せ、昨日の初めに朝陽を照らせる陽(よう)の一滴(しずく)は一男(おとこ)に魅せられ一女(おんな)は綻び、項垂れ始める未知への合図は一男(おとこ)の丈夫を未然に相(あい)せる不利の立場を応用して居た。幻想(ゆめ)の集成(シグマ)にことこと煮込める陽(よう)の厚さは女体を表し、男性(おとこ)の生憶(きおく)を純に還せる有機の臭味(くさみ)を気高く掲げて明日(あす)の音色(ねいろ)へ深く解け込む一女(おんな)の主観(あるじ)を逆に観た儘、手厚(あつ)い記憶は我信(エゴ)に対せる不通の純粋(ピュア)から遠退き出した…。一女(おんな)の我信(エゴ)から男性(おとこ)に対する身欲(よく)が蠢き、幾重(いくえ)を問うても未完(みじゅく)に仕舞える一人(ひと)の雑(ざつ)から愚問が呈(しめ)され、事始(こと)の記憶に閃く乱義(らんぎ)は一女(おんな)の柔裸(やわら)の肉塊(たまり)に固まり、分厚(あつ)い孤独に差し出す陽気は生気を携え揚々活きた。自体(おのれのからだ)を既知に賭すころ無宿に乗じた思案が拡がり、事始(こと)の総てに翻(かえ)せる情事は生憶(きおく)の隅へと遣られて行ったが、一男(おとこ)の脳裏へ刻む幻想(ゆめ)には一女(おんな)の防御が軒並み吊るされ、人間(ひと)の哀れを如実に謳える一重(ひとえ)限りの真面が降(お)り立ち、苦悩に称する苦悩の総身は〝紅(べに)〟を冠して幸福を観た…。

      *

 …朝の八時頃目が覚めて見ると、その日は学制修養会へ行く日で、もう明るくなった(黄緑色のカーテンで閉められた)窓の向こうから、小雨が降(ふ)り続く音が聞えて来ていた。小雨が夢の内にて降り続いたのを思い出して、〝ああこれか…〟と俺は又思った。しかしずっとその小雨が降り続く音を聞いて気付いた事だが、雷まで鳴っていなかったようだ。

      *

 …無言で過ぎ去る事始(こと)の遊戯に通り縋りの詩吟を二重(かさ)ねて幻(ゆめ)を募らせ、ほんわかして居る記憶の条理に男性(おとこ)と女性(おんな)の冴えない意気地を揚々生育(そだ)てて「我が身」と確かめ、事始(こと)の自主(あるじ)と確信したあと夢中の一通(とおり)へ男・女(だんじょ)を棄てた。俺の自覚(かくご)はごまんと拡がる景色の許容(うち)にて才色兼備を優(ゆう)に侍らす無己(むこ)の「自己(おのれ)」を脱退して活き、緊(きつ)く縛れる幻想(ゆめ)の自主(あるじ)を事始(こと)へ費やす気熱(ねつ)とした儘、手厚(あつ)い孤独に直りを掛け行く無名の自主(あるじ)と強欲仕立てで、俺の孤憶(こおく)に充分突き刺す儚い兼備にその芽を買った…。孤高の白雲(くも)には夜宙(よぞら)が見下ろす有機が佇み、手厚(あつ)い看護を充分気取れる緩い環境(まわり)が道徳(みち)を究(きわ)めて、〝在る事無い事〟夢遊の許容(うち)にて強靭(つよ)く独歩(ある)かす無残の空気(しとね)を概(おお)きく買った。白亜(しろ)い天衣(ころも)に一滴(しずく)を見限り、四方(よも)の翌朝(あさ)から未完(みかん)を織り成す拙い遊戯へ試算が向く内、初めから発(た)つ女性(おんな)の罪事(ざいじ)は翌朝(あす)に出掛ける未遂を究(きわ)めて、夢限(ゆめのかぎり)へひっそり突き出す旧い認識(みとめ)を概(おお)きく説いた…。

 一幻(ゆめ)の私塾に陽(よう)が昇れど翌朝(あさ)の汽笛は幸先(さき)に鳴らせず、手厚(あつ)い水面(みなも)に〝夢が透る…〟を清閑(しずか)に見送り躯(からだ)を気安め、「翌朝(あさ)の合図へ寝室(ねむろ)が発(た)つのが如何に容易く気怠い代物(もの)か」と、幻想(ゆめ)に流行(なが)れる無感の儘にて調子付き活き密かに問うた…。手洗い文言(ことば)に経過(とき)が訪れ、未知の記憶へ翌朝(あす)が成るのを事始(こと)の夢限(かぎり)にひっそり解け込む「自由の主観(あるじ)」は有頂に頷き、幻夢(ゆめ)の空転(まろび)へ体躯(からだ)が向くのを夜目(よめ)に見限り〝奈落〟と識(し)った。幻(ゆめ)に見積もる一人(ひとり)の白亜が独創(こごと)へ際する二重(ふたえ)の宙(ちゅう)にて、後戻りの無い奮起に偽る逆生(もどり)を観たあと無意識(いしき)の許容(うち)にて逆算して活き、自体(おのれ)の禿冠(かむろ)が外郭(そと)へ対して延ばす体裁(かたち)が「如何に容易く鈍(にぶ)い代物(もの)か」と、翌朝(あす)の気色へそっと知れ行く不渡(わたり)の端末(はずえ)で事始(こと)に身構(かま)えて矛盾と識(し)った。旧い生憶(きおく)に柔裸(やわら)が活き尽(き)る古豪の気色と感覚(いしき)の許容(うち)には、賢い正義がきちんと常識(かたち)を音頭に固めて「独りの温度」へ透浸(とうしん)させ行き、気狂い始める犯罪紛いの滑稽(おかし)な虚無には、幻想(ゆめ)の虚無から未屈(みくつ)が挙がらぬ虚空の四肢(てあし)に孝行させ得た。孤独の主観(あるじ)は減退して生く旧い記憶へ無意識(いしき)を紅(あか)らめ、明日(あす)の孤憶(こおく)に何ら気取れぬ「固めた信義」は陰府(よみ)の小敗地(アジト)を構築して活き、明日(あす)の旧さへ自涜へ「自分」を誘(いざな)う拙い微温差(ぬるさ)を傍観して居た。文言(ことば)の極味(きわみ)を幻(ゆめ)へ転じる不用の一灯(あかり)は逆生(もどり)を垣間見、浅い安眠(ねむり)に幻想(ゆめ)を見送る不要の〝夕べ〟は陰府(よみ)に隠れる神秘(ふしぎ)の〝夕べ〟を事始(こと)に見送り逆算して居る…。…孤独を踏まえて発散して生く〝救い〟を目当てに活き得る肢体(からだ)は人間(ひと)の概(おお)くのそこかしこに観る煩悩(なやみ)を破り、天の目下(ふもと)へ段々通じる地力(ちりょく)の遊戯を細かく根絶やし不朽に集う。幻想(ゆめ)の寝床を牢屋(へや)に置き去る私闘の成果(はて)には重身(おもみ)が吊るされ、向かう場所(ところ)に機嫌が咲き生く独り芝居の舞台が拡がり、手厚(あつ)い一重(ひとえ)に宙(そら)が成るのは無重の過屋(かおく)に小雨(あめ)が張(ぱ)ら突く人間(ひと)の清閑(しずか)に生成された。都会の暴嵐(あらし)に一幻(ゆめ)が暗転(ころ)がる無頂(むちょう)の生憶(きおく)は無残に成らねど幸先(さき)の豊かな古豪の果(さ)きには常緑(みどり)へ突き差す孤独が呈され、一幻(ゆめ)の一歩(はじめ)に追随して生く旧い奥義の寝床の裏には幻(ゆめ)の孤独が潜(ひっそ)り落ち着く、孤独の空気が拡散され得た。俺の目前(まえ)からぽっそり咲き生く未有(みゆう)の陽気が散々現れ明日(あす)の調べを海へ寄らせる孤高の集体(シグマ)をぽつんと保(も)ったが、俺の孤独が独りへ懐ける幻想(ゆめ)の逆生(もどり)へ浸透する内、他(ひと)の独義(ドグマ)は乖離して生く五月蠅(あわ)い空間(すきま)を合算し得た。過酷の労苦が未潤(みじゅん)に伝わる旧巣(ふるす)の頭上(うえ)では、事始(こと)に纏わる未完(みじゅく)の両腕(かいな)が〝木の葉〟に隠れて徒争(とそう)を働き、旧い空気(しとね)へ未完(みじゅく)を吐き生く「無我の神秘(ふしぎ)」へ消えて入(い)っても、今日と明日(あす)との微塵の〝夕べ〟は端正(きれい)に裂かれて労力(ちから)を待った。俺の背後へ軌跡が顕れ旧(ふる)びた吟句(ぎんく)が四方(しほう)へ散っても、女性(おんな)の誰もが我信(がしん)に満ち生く規則正しい生活(かて)を頬張り、幻想(ゆめ)の孤独へ特異を看破(みやぶ)る不義の信仰(めいろ)を構築させ得た。旧い巨木にその実(み)を暗躍(おど)らす旧来独白(むかしがたり)の決死の許容(なか)には俺と女性(おんな)が俗世(このよ)で乖離(わか)れた不純に培う経路が跳び出し、手厚(あつ)い孤独が小宙(そら)へ還れる〝併せ鏡〟の特異の範囲(うち)では、無駄に蔓延る罪の無意識(いしき)が故郷を訪れ拡散され得た…。

 現代人(ひと)と遭わぬが最善策だと器用の許容(うち)から通感(つうかん)して活き、俺の孤独は微温味(ぬるみ)を見限る熱い血流(ながれ)に幻想(ゆめ)を観ながら、俗世(このよ)の信仰(めいろ)へ決して咲かない「小雨の降る日」をいとも容易く創造して生き、虚無に塗(まみ)れた現世(このよ)の感覚(いしき)を文言(ことば)に並べて信仰(つよさ)を識(し)った…。


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~密告(おつげ)―小雨が降る日に信仰(まよい)を挙げた~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji

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