『サンドバッグ』・解説

この物語には2つ、この物語を読み解くための違和感がありました。


1つ目は、語り手はサンドバッグにカウンターという技を繰り返し行っていましたが、

カウンターとは、相手のパンチが打った瞬間にパンチを放つと言った技で、

これはサンドバッグ自体が動いていないと成立しません。


2つ目は

「たまに男性と女性の声が混ざったような声をしていて、聞き覚えのある声。」という一文。

これは、語り手の父親と母親、両親の事なのではないでしょうか。

ですが語り手はこれは、サンドバッグから聞こえていた声という風に認識しています。


この2つの事を踏まえると、サンドバッグの正体は、語り手の両親だということが分かります。

また、語り手は終始、両親を「サンドバッグ」だと思っていたようです。


明らかに荒唐無稽ですよね。このことから考えてみると、

語り手はストレスによって麻薬に手を出してしまい、両親がサンドバッグに見えていたのではないかと考えるのが自然でしょう。

また、最後には、主人公は麻薬によって狂っていく様子が伺えます。


また、両親は出張で家を留守にしていました。また、そのことについて知っている人物がいましたね。

そう、語り手のその後輩です。家を留守しているっていうのは、本人にしか知らないはずなのに、

なぜ、部活動で学校から出ることができない後輩が知ってるのでしょうか?

このことから、語り手の後輩が、両親を拉致した実行犯だということが分かります。


それでは、以上のことを踏まえて、この物語を時系列順にまとめてみましょう。


後輩は、語り手の両親を拉致し、両親をサンドバッグに見せるように手足を縛ります。そして後輩は、語り手を呼び出し、両親をサンドバッグだと唆します。

語り手はストレスで麻薬に手を出してしまっているので、幻覚により両親がサンドバッグに見えてしまいます。

両親が目の前に居るのにも関わらず、物語の序盤からサンドバッグに見えたというのは、

まだ語り手の幻覚症状がまだ若干消えておらず、ただ、人の形をした「何か」という程度の認識だったのでしょう。

そして、今まで冷静だった、彼が「あぁぁぁ、もう!」と発狂し始めます。ここでまたストレスが爆発し、再び麻薬を服用したのでしょう。

ここで後輩が両親の手足の縄をほどき、両親と息子の戦いが始まります。

語り手は両親に、暴力を振るいますが同じ家庭の息子に暴力をし返すこともできませんでした。


ですが遂に両親は抵抗し、主人公に一発パンチを喰らわせます。

がしかし、相手はボクシングの経験があるため、カウンターでボコボコにされます。

そして、最後にボディーブローで両親にとどめを刺します。


最終的に、語り手は警察に連行されてしまった。というオチになります。


麻薬って怖いですね。皆さんもストレスから逃げようと手当たり次第に物を買いがちですが、

どうか麻薬にだけは触れないでくださいね。あと普通に犯罪なので。


解説は以上です。


■あとがき


最後はちょっとしたあとがきなのですが、

今回は僕の知り合いの友人と共にお話を作ってみました。


こういう展開があった方が面白いんじゃない?とか、

本当は、後輩が語り手の両親を殺した動機とかについて触れた方がいいんじゃない?とか、もうちょっと合点が行くように、こういう展開にしてみたらいいんじゃない?とものすごく指摘されましたw


動機に関してはショートショートなので許してください。でもいつか書ければいいなとは思ってます。てか書いた方がいいですよね。


ちなみに「麻薬漬け」展開も、僕と友人で考えて後付けしたものなんです。


会話しているうちに、友人の方が凄かった事が分かりました。

もっと精進します。

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いるかのかいる版『意味が分かると怖い話』 いるかのかいる @irukanokairu

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