『サンドバッグ』
俺は最近ストレスが過去一溜まっている。なぜなら今、受験期真っ只中で、部活と勉強、それに加えてアルバイト、進路、
様々な面で両立することが厳しい時期だからだ。
高校からボクシング部に入っているが、日々の部活動だけではストレスを発散することはできない。もっと物に当たりたい。
しかし家を崩壊させるようなことはしたくないし、受験勉強のことでぐちぐち言ってくる両親や先生を殴る訳にもいかない。だけど、もう限界が近い。
部活帰りの放課後、後輩に呼ばれて変わったサンドバッグがあるっていうのを聞いて呼ばれた。
どうやら、殴った時の声っていうのが聞けるっていうもの。
仕組みとしては中にスピーカーが入っていて、打撃しか瞬間センサーが反応して声が出るというものらしい。
ただ、このサンドバッグ、どこか人の形をしていて、ものすごく気味が悪い。
「殴ったら呪われそう」っていう雰囲気を醸し出していたが、
後輩は気にも留めず、そのサンドバッグに一発強いパンチを喰らわせた。
「ンッ!!」
「うぉぉぉ!!すげぇ!!でもさ、ちょっとこれ悪趣味すぎねこれ?本当に人の声っぽくてなんか気持ち悪ぃよ。」
「まぁ、取り敢えず一発殴ってみてくださいよ。
前に俺と同期の奴らにもやらせたんですけど、結構好評だったみたいで、
あの、確か今日、先輩の両親出張で家に居ないんでしたよね。だったら今ここで、一発憂さ晴らしやっていきません?」
受験、進路、アルバイト、将来の事、プレッシャー、部活
思い返してみれば、ここ最近、自分のための時間を取る暇がなかった気がする。
「あぁぁぁ、もう!」
俺は頭の中に溜まった鬱憤を晴らすべく、俺は全力でそのサンドバッグに殴りかかった。
「おぉ、殴った。」
殴っていくうちに受験勉強のことでグチグチ言ってくる家族、先生、アルバイトのクソ上司が俺によって殴れて行く様が思い浮かぶ。
正確に言うと、『この世の全ての嫌な事』が擬人化して、そいつをぶん殴っているような、そんな優越に浸っているような感覚がした。
さっきの悪趣味だなと思っていた自分とはまるで違い、とにかくサンドバッグをひたすら殴ることでしか頭になかった。
キック、ジャブ、カウンター、
俺がボクシング部で習った技を炸裂させる。技を決める度に快感を覚える。
素早く体を動せて、いつでも発散させられる、そんな部活に入れてよかったと俺は思う。
「ん゛!!」
最後の一発はボディーブロー.....的な技で締めた。
気づけば、もう時刻は5時を過ぎていた。時間を忘れるほど俺は殴っていたんだろう。
そろそろ見回りしている先生や警備に見つかったらまずいので、後輩に挨拶をしてそのまま家に帰った。
疲れたからか若干眩まいがしてきた。
そういえば、あのサンドバッグから聞こえていた声.....
たまに男せいと女せいの声が混ざったような声をしていて、
どっち もききおぼえのある声だったきがするけど.....
まぁいっかおれいいきぶんになったし!うふふふ!!あははははははは!!!
あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!
そうしてお れは けいびのひと に つかまった 。
ぼくは いたて けんこうな のに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます