第34話孫劉連合軍が到来!

「殺せ!」


「押し寄せろ!押し寄せろ!」


「雲梯だ!急げ、雲梯を!」


西陵城の下、叫び声が天地を震わせ、血が川のように流れ、死体が山のように積み重なっていた。


それでもなお、数え切れない曹軍が西陵城へ突撃してきた。


彼らは仲間の死体を跨ぎ、戦友の残骸を踏み越え、顔を歪め、目を血走らせながら、ただ一つの念頭、すなわち西陵城を攻略することだけを持っていた!


しかし彼らを待ち受けていたのは、冷たい矢の雨と熱く臭う金汁だった。


ヒュンヒュンヒュン!~

ドォン!~

黒い雲のような矢の雨が、鋭い破空音を伴って、城下に達した曹軍を一匹ずつ針鼠に変えていった!


重い転石や擂木が十余丈の高さから城壁を転げ落ち、短い叫び声と共に曹軍を肉片へと変えていった!


たまに雲梯が城壁に掛かることがあったが、曹軍の兵士が半分まで登ると、すぐに梯子ごと押し倒されてしまった。


城下に積み上がる死体の数はますます増え、西陵城の城壁はまるで絶壁のようで、登ることは到底不可能だった。


臭い金汁が濃厚な血の匂いと混じり合い、曹軍の兵士たちの鼻先を漂い、ついに曹軍の兵士たちは絶望に打ちひしがれた。


「突破できない、絶対に突破できない。」


「城壁に近づくことさえ難しい。」


「くそ、もう一時間も攻撃しているというのに!城上の矢の雨、転石、金汁は一向に止まらない。西陵城の奴らは疲れを知らないのか?」


「このまま戦い続けたら、城を破る前にこっちが疲れ果ててしまう!」


……


「早く!」


「お前たち山越は命が惜しいなら、共に力を尽くして城下の曹軍を防げ。」


「防げなければ、曹軍が攻め込んでくるとき、最初に殺されるのはお前たちだ。」


「曹軍を撃退すれば、一人一人に褒美が与えられるぞ!」


西陵の西門城楼上、魏延は兵士たちを指揮し城を守りつつ、山越に対して威嚇と利誘を続けていた。


大勢の山越が兵器や弓矢を手に取り、転石や擂木を運び上げ、城下の曹軍に投げつけた。


西陵の兵士と共に城を守る山越の姿を見て、魏延は心底安堵の息をついた。山越の加入によって、城上の圧力は確かに大いに軽減された。


魏延は五千の山越を五つの千人隊に分け、東南西北の四つの城門にそれぞれ千人を配置し、西陵の兵士と共に城を守らせ、残りの千人は中央に配置し、随時他の千人隊を交代させて休ませた。


こうすることで、五つの千人隊は互いに交代し、全員が休息を取り、精神を維持できるようになり、このように続けていけば、攻城する曹軍が城上の山越を疲弊させることなど到底できないだろう。


魏延は城下で疲れ果てた曹軍を見下ろし、冷笑を浮かべた。「やれやれ、どれだけ力があるか見せてもらおう!」


……


ドンドンドン!~

曹軍の戦鼓が鳴り響き、戦意を鼓舞し続けた。


しかし、中軍の大纛の下で、曹仁の顔は既に青ざめていた。彼は遠くから見ていて、曹軍の攻勢が鈍化しているのがはっきりと分かった。


「我が軍は何度も強攻し、兵士たちは命を懸けて戦っている……」


一人の将領が曹仁の馬前に立ち、頭を垂れて報告した。「しかし、城上の西陵軍は実に堅固で、戦闘が始まって既に二時間が経過しているが、矢の雨、転石、擂木、金汁が一向に止むことがない。」


「兵士たちは死傷が甚だしく、疲労困憊し、士気が低下しており、どうしても攻めきれないのです。」


バシッ!~

馬鞭がその将領の背中に激しく打ち付けられ、彼は痛みに顔を歪めながらも、動くことができなかった。


「馬鹿げている!」


曹仁の言葉には抑えきれない怒りが込められていた。「軍旅とは山を開き、水を架け、城を攻めるものだ!攻めきれない道理があるか!」


「将軍たちに伝え、大纛を前進させ、私が自ら督戦して圧陣する!後退者は斬る!」


ヒヒーン!~

将領は驚愕し、曹仁が馬を蹴り、実際に城下へと駆け寄っていくのを見上げた。


その大纛は、曹軍の兵士たちの間を縫って西陵城に向かって進んでいった。


「大纛前進!将軍自ら督戦して圧陣!後退者は斬る!」


「大纛前進!将軍自ら督戦して圧陣!後退者は斬る!」


「大纛前進!将軍自ら督戦して圧陣!後退者は斬る!」


数十名の伝令兵が広大な戦場を駆け巡り、曹仁の軍令を大声で叫び続けた。


ドンドンドン!~

戦鼓の音はますます急迫し、ますます激しくなった。


まるで山崩れ地割れのようだ!

誰もが見た、塵埃が舞い上がる中、その巨大な「曹」の大纛が曹軍の兵士たちの間を掠め、西陵城にますます近づいていく、近づいていく!


大纛の下、その鎧甲をまとった姿は、蝗の如く矢の雨を迎え、馬を駆って西陵城に突撃していった。


「子孝将軍?本当に子孝将軍だ!」


「子孝将軍が丞相の従弟であるにもかかわらず命を惜しまないのに、我らがどうして惜しまぬことができようか?」


「まずい、あれは子孝将軍の親衛隊だ、軍法督戦隊でもある!」


「城を攻めろ!城を攻めろ!」


「殺せ!殺せ!!」


曹仁が自ら城下に駆け寄り、督戦して城を攻めると、遅滞していた曹軍の士気は一瞬で高まった。


瞬く間に、戦場全体に曹軍兵士の叫び声が響き渡った。


元々城壁の前で足踏みしていた多くの兵士たちは、再び城壁下に層をなして現れた。


ヒュンヒュンヒュン!~

城楼の上からの矢の雨はますます激しくなり、転石や擂木もますます多くなり、城壁下の曹軍兵士の死体もますます高く積み上がっていった。


しかし、矢の雨と転石をものともせず、城壁下に到達した生存兵士の数も同様に増えていった。


バンバンバン!~

ついに、再び雲梯が城壁に架けられた。


一つ、二つ、三つ……


西陵城楼では、雲梯が押し倒されることもあったが、城頭に架かる雲梯の数はますます増えていた。

  ……


  西陵城楼にて、


  一隻の手が、辛うじて城垛を掴んでいた。


  一人の曹兵が城壁の外から頭を出し、顔を興奮させながら叫んだ:「先登!私は先……」


  ガシャ!~

  鋭い刃が彼の首を平らに切り裂き、その興奮した顔が血しぶきをあげながら空中に飛び散った。


  ますます多くの曹軍の兵士が城壁に登り始めた。


  「殺せ!西陵の賊を皆殺しにしろ!」


  「西陵城を奪えば、我々が首功だ!」


  「はは!西陵の賊はもう持ちこたえられない、彼らは我々を止められない!」


  「まずい!曹軍が上がってきた!」


  「急げ!彼らを阻止しろ!」


  多くの曹軍の兵士が城頭で西陵の兵士と激しい戦いを繰り広げ、刀や剣が交錯し、ついに城頭の守備兵に犠牲が出始めた。


  二人の曹軍の兵士が協力して一人の西陵守備兵を刺し、彼らはその守備兵を笑いながら刺し殺そうとしていた。


  ブシュー~

  大刀が彼らの背後から斜めに斬り下ろされ、二人の頭が肩ごと一刀で斬り落とされた!


  魏延が顔の血を拭い、自ら戦場に立った。


  「持ちこたえろ!」魏延は大声で叫び、手にした大刀を振り回しながら前線で戦った。


  彼の刀が振り下ろされるたびに、曹軍の首が地面に転がった。


  一瞬で、城頭の西陵軍の士気が高まり、曹軍を城壁の端へと押し戻した。


  しばしの間、戦局は再び膠着状態となった。

  ……


  「殺せ!」


  「突撃しろ!」


  城頭では、先に登った曹軍の兵士たちの首が次々と城下に落ちていったが、それでも大勢の曹軍が雲梯を登って上がってきた。


  彼らの背後には中軍の大纛があったからだ!


  彼らの背後には曹仁、曹子孝がいたからだ!


  この時、曹仁は馬にまたがり、城門からわずか二百歩の距離に立っていた。


  ドクドクドク!~

  数人の親衛が盾を掲げて曹仁をしっかりと守り、一筋の矢も彼に当たることはなかった。


  「将軍!ここは非常に危険です!」副将は汗をかきながら曹仁に説得した:「ここは城門からわずか二百歩で、西陵の賊軍の主将は非常に勇猛です。もし彼が城門を開けて突進してきたら、私たちは……私たちは彼を止められないでしょう。」


  曹仁は冷笑した:「城門を開ける?私はむしろ彼が城門を開けるのを望んでいる!彼が城門を開けたら、我が大軍は一気に城内に突入し、城を攻める手間が省けるのだ!」


  「それに、彼がいくら勇猛でも所詮百人敵でしかない。今や三万の大軍がここにいるのだ、一人で万を敵にすることができるのか?!」


  「もし本当にそうならば、私、曹子孝が彼に捕らえられても恥ではない。」


  ……


  曹軍の斜後方では、黒々とした曹軍が依然として狂ったように西陵城門に突進していた。


  ドンドンドン!~

  突然、周囲の曹軍の兵士たちは足元に震動を感じた。


  「どうしたんだ?」


  「どこからの音だ?」


  「これは……まずい、騎兵だ!」


  ゴウ!~

  ちょうどその時、曹軍の斜後方から黄塵が猛然と上がった。


  黄塵が立ち込める中、大勢の騎兵がぼんやりと現れ、まるで鋭い刃のように曹軍に突進してきた。


  それは劉武の百名の精鋭騎兵だった!


  「これ、どれだけの騎兵がいるんだ?」


  「急げ!止めろ!止めろ!」


  「陣を組め!早く陣を組め!」


  この時、一隊の不明な数の騎兵が突然後方から襲ってきたことの意味を、曹軍の一同は考えることすらできなかった。


  彼らは慌てて陣を組み、阻止しようとしたが、もう手遅れだった!

  ヒヒーン!~

  数呼吸の間に、劉武は百騎を率いて雷霆のごとく突撃してきた。


  ゴウ!~

  数名の曹軍が直接はね飛ばされ、生死は不明だった。


  劉武は最前線で突進し、手にした戟を前に突き出した……


  ブシュッ!~

  馬の高速突進により、鋭い戟の刃が数名の曹軍の体を容易に貫き、劉武は戟を振り回して数名の曹軍の死体を飛ばし、大勢の兵士にぶつけた。


  一時にして、


  血しぶきが飛び散り、肉片が散った!


  劉武と百名の精鋭騎兵は、まるで強弓から放たれた矢のように突進した!


  劉武は矢の先端、精鋭騎兵は矢の軸となり、破竹の勢いで突き進んだ。


  劉武と百騎が至るところで、曹軍の兵士は敗走し、効果的な反撃を組織することができなかった。


  「どうする?止められない!」


  「急げ!もっと兵を呼べ!」


  「この賊の目的地は……子孝将軍のいるところだ、彼は子孝将軍に手を下すつもりだ!」


  「止めろ!何としても止めろ!」


  周囲の曹軍は、波のように劉武に向かって押し寄せた。


  劉武は馬を高速で駆け、手にした戟を横に振り回し、前に立ちはだかる曹軍を次々と圧倒した。


  ヒュー!~

  川岸の強風が戦場に吹きつけた。


  曹軍の戦陣には血の匂いが充満し、

  劉武の髪が風に揺れた。


  劉武の顔には冷たい表情が浮かび、彼の目は前方の大纛の下にいる姿をしっかりと見つめていた。


  突進!


  さらに突進!


  突撃!


  さらに突撃!!


  血肉が飛び散る中、彼はその大纛に近づいていった……


  ……


  大纛の下、親衛に囲まれた曹仁は冷静に前方の西陵城を見つめていた。


  彼は言った、今日西陵を落とすと、だから今日は必ず西陵を攻め落とさねばならない!


  突然、


  背後から騒がしい音が聞こえた。その音は初めは遠かったが、すぐに大波のように轟音を立てた!


曹仁は眉をひそめた。「どうしたのだ?」


その時、一人の親衛が恐怖に満ちた顔で馬を駆けてきた。「将軍!後方に……」


「何があるのだ?」曹仁は茫然と振り返った。


ちょうどその時、一声の怒鳴り声が雷鳴のように響いた。「曹子孝!貴様はどうして約束を破ったのだ?!」


曹仁はついに見た……


あの悪夢のような姿が、自分に向かって馬を駆けてくるのを!


その手に画戟を持ち、まるで鬼神のような姿が、自分に向かって突進してくるのを!


彼は不意を突かれ、肝を冷やした!!


「急げ!将軍を守れ!」


周囲の親衛たちは狂気のように、劉武を止めようと必死に立ち向かった。


吼え!~

劉武の手中の戟が風のように回転し、まるで天龍の咆哮のように響いた。


画戟が至るところで、人馬ともに倒れ、鮮血が飛び散った!


親衛たちは劉武の大戟に斬り裂かれ、内臓が飛び散り、馬に踏みつけられて泥となった!


親衛たちの温かい血が曹仁の顔に飛び散り、彼は一瞬で正気に戻った。


しかし、その時には、彼の前にもう一人の親衛はいなかった。


ヒヒーン!~

劉武は馬を駆けて曹仁に向かった!


まるで山を下る猛虎、海を出る蛟龍のように!

「貴様……」曹仁は顔を青ざめ、反射的に剣を引き抜いた。


ブォン!~

その柔らかい長剣は、悲しげに戟に弾かれて宙に舞った。


二馬がすれ違う間に、劉武は軽々と三万大軍の主将を持ち上げた!


曹仁はまだもがいていた。「悪党め、必ず殺してやる……」


「うるさい!」


バン!~

劉武は彼の言葉を聞くのも嫌がり、曹仁の顔に一撃を加え、瞬時に曹仁を黙らせた。


劉武は曹仁を馬に押し付け、馬を止めることなく百騎を率いて突進し続けた。戦場を脱出するためには、この道を突き進むしかなかった。


もし馬を引き返すことになれば、また元の道を戦い抜かなければならない。たとえ人が耐えられても、馬は耐えられなかった。


一瞬で、百騎の精鋭は血肉の道を作り、生き抜いて戦場を突破した!

  

多くの目の前で、劉武は百騎を率い、西陵城に戻らず、戦場の外で馬を引き返し、昏倒している曹仁を挟みながら、三万大軍の来た方向に向かって疾走した……


  広大な戦場では、元の轟音のような戦いの声が急に静まった。


  すべての曹軍は呆然とその光景を見つめていた。ちょうど今、主将曹仁が敵軍に大纛の下まで突撃され、連れ去られたのか?


  各部隊を督戦していた将軍たちも、この時同様に困惑していた。


  彼らはまるで夢の中にいるかのように感じた……


  あまりにも早く、あまりにも突然だった!


  三万大軍はまだここにいるが、主将がいなくなった?


  この戦いは続けるべきか?


  一瞬で、曹軍の諸将は呆然とした:


  「どうするのだ、これは?」


  「大軍をここに留めるべきか、退却すべきか?」


  「西陵城を攻めるべきか?」


  「かつて関羽が言った、彼の三弟張飛は、万軍の中から将軍の首を取るのが簡単だと、私はそれが誇張だと思っていたが、世の中には本当にそんな人物がいるのか?!」


  ……


  「よし!よし!主公の計画が成功した!」


  西陵の西門城楼では、陸遜が興奮して城壁を叩いて喜んだ。賊を捕らえるにはまずその首を捕らえるべし、これが昨日劉武が立てた計画だった。


  確かに危険ではあるが、陸遜も認めざるを得ない、これは現時点で最も適した方法であると。


  なにせ城外には三万の大軍がいる、西陵の守備軍ではとても耐えられない。主公の麾下の将兵がどれほど精鋭であっても、これ以上無駄にはできない!


  今や、主公の計画はついに成功したのだ!


  シュッ!~

  陸遜は突然剣を抜き、声高に叫んだ:「諸将に告ぐ!魏延!」


  陸遜が命令を発する間、彼はすでに後日の東呉の大丞相の風格を備えていた。


  魏延:「末将ここに!」


  陸遜:「東門から三千の兵馬を率いて出撃せよ、劉備の旗号を掲げ、『劉皇叔の下に大将魏文長来たる!!』と言え!」


  魏延は拱手して言った:「承知!」


  陸遜はまだ抱えられている甘寧を見つめた。「甘寧!」


  甘寧は顔を引き締め、軽く拱手した。「ここに。」


  陸遜:「三千の山越を率いて西門から出撃せよ、江東の旗号を掲げ、『江東第一の猛将甘興覇来たる……』と言え」


  ここで、陸遜は剣を前に振りかざした。「曹軍に知らしめよ、孫劉連軍が至ると!!」

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