第27話周瑜が私に九命の借りがある!

 周瑜は一生忘れない。あの年、彼は歴陽で幼少期の友人である孫策と再会した。


  「伯符兄!お元気ですか」


  「ははは!公瑾!やはり周郎だ!」


  青い空の下、二人の若者は腕を組んで話に花を咲かせていた。


  あの年、孫策は父から受け継いだ伝国の玉璽を使って袁術から三千の兵士と五百の戦馬を手に入れ、曲阿に向かって進軍しようとしていた。


  そこには彼の母や妻子が住んでおり、そこが彼の大業の始まりの地であった。


  その夜、二人の若者は酒を酌み交わし語り合った。


  薄暗い灯りの下、孫策の目は秋の星のように輝いていた。「公瑾、私は父の遺志を継ぎ、江東六郡八十一州を手に入れたい!」


  「公瑾の助けがあれば、必ず大業を成し遂げられる!」


  周瑜は淡々と微笑んだ。「伯符がこのような大志を持つなら、私は兄のために全力を尽くします。」


  孫策は精神を奮い立たせた。「良い!私は周郎を得たことで、十万の雄兵を得たに等しい!」


  こうして、孫策と周瑜は兵を一つにし、曲阿へと進軍し、道中では敵を次々と打ち破り、無敵の進軍を続けた。


  曲阿城の下で、周瑜は初めて兵を指揮し、揚州刺史の劉繇の軍を打ち破り、劉繇は城に閉じこもった。神亭嶺の戦いでは、太史慈が出撃し、そしてあの…神秘的な曲阿の小将が現れた。


  神亭嶺の下で、孫策と太史慈が激しく戦い、山の斜面を転げ落ちながら互いに素手で組み合った。


  神亭嶺の上で、曲阿の小将は江東の十二将と一騎打ちし、彼らの心を絶望させ、意気を消沈させた。周瑜に一生の影を残したのだ。


  周瑜はよく知っていた。もし最後に両軍が到着しなかったら、太史慈が退却しなかったら、江東の将たちが何人死傷するかわからなかっただろう。


  この戦いの後、周瑜は孫策に計略を献じ、地元の豪強の私兵や敗将の降軍を広く集めた。これにより、孫策の兵力は大いに増し、一軍を密かに劉繇の本拠地である廬江へと送り込んだ。


  劉繇の軍心は乱れ、孫策は夜を狙って曲阿城を強襲した。


  この戦いで曲阿城は陥落し、孫策は大勝した。揚州刺史の劉繇は慌てて江を渡り、荊州の劉表のもとへ逃れた。


  孫策は曲阿を占領し、周瑜の助けを得て将士を慰労し、政令を布き、農業を奨励し、民心を安定させた。


  一時に民心は大いに喜び、四方から人々が集まり、応じて入隊する者が続出した。


  孫策の勢力は大いに膨張し、すぐに二万余の兵士と千余匹の戦馬を集結させ、声威は江東に轟いた。


  江東の十二将もその名を轟かせたが、神亭嶺の戦いに触れるたびに江東の将たちは口を閉ざした。


  彼らは永遠に忘れない。あの血塗られた大戟を!


  彼らは永遠に忘れない。一人一戟で馬を駆る小将を。


  周瑜と他の将たちは、私下で太史慈に曲阿の小将のことを尋ねたが、太史慈もまた茫然としており、神亭嶺の戦い以降、その小将を見たことがないと答えた…


  …


  西陵城の外、大江の畔。


  目の前の昔の知人を見つめ、周瑜は完全に取り乱していた。「お前は一体誰だ?!」


  「このような猛将が、天下に無名であるはずがない!」


  周瑜は岸に立つ【曲阿の小将】を見つめ、心中が波立った。


  何年も経ったが、このかつての小将は以前よりも背が高くなり、体も神亭嶺の時より数倍もたくましくなっている。


  彼は確実に以前よりも強くなっている!


  ざぶざぶ!~

  その時、周瑜の船はまだ完全に岸に着いていなかったが、彼は直接船から飛び降り、膝まで浸かる江水を渡って岸に向かって歩き出した。


  彼は早くこのかつての【知人】に再び会いたかった。


  岸では、東呉の大都督の異常な行動に、高順も戸惑っていた。


  彼は無意識に劉武を見た。「主公、これは…」


  劉武はかつての風采を失わない江東の周郎を見つめ、思いが飛び散った…


  あの年、彼はまだ十代の少年だったが、既に父の大業のために心を砕いていた。


  その時の中原は戦火に包まれていた。


  まず諸侯が董卓を討ち、董卓の死後は諸侯が互いに争い合っていた。

  

  袁紹は公孫瓚を討ち、北方四州を統一した。


  曹操は呂布、二袁と互いに戦い続け、血流が漂い、死体が山のように積み重なっていた。


  劉武はよく知っていた。当時の中原の状況では、自分の父の小さな勢力では手を出すことができず、無駄死にするだけだと。


  中原に機会がないと見た劉武は、密かに江東へ渡り、状況を探った。


  劉武の印象では、当時の江東は袁術の勢力が及んでいたものの、中原の諸侯たちはまだこの東南の要地に目を向けていなかった。


  そこで彼は身分を隠し、当時の揚州刺史劉繇の配下に投じた。するとすぐに孫策の襲来に遭遇した。


  その日、孫策が神亭嶺で劉繇の陣営を偵察し、大将の太史慈が単騎で出撃し、孫策を生け捕りにしようとした。劉武もまたこの小覇王の実力を探ろうと、馬を駆って追随した。


  神亭嶺の上で、孫策と太史慈が激闘し、岭の上から下まで戦い続けた。


  劉武は岭の上で馬に乗り、大戟を振りかざして江東の十二将を迎え撃った。


彼は後に天下にその名を轟かせる多くの将、程普、黄蓋、韓当、蒋欽、周泰…そしてもちろん、江東第一の風流人物であり、後に曹丞相の天下統一の夢を打ち砕いた周瑜、周公瑾にも出会った!


  だが、それは後の話である。その時点では、これらの後の名将たちが連携しても、彼の手に持つこの大戟を突破することはできなかった。


  「ガン!」

  「ヒヒーン!」

  「この小僧、命知らずめ!まずこいつを片付けてから、主公を助けるのだ!」


  武器が交錯し、


  戦馬がぶつかり合い、


  叫び声と殺戮の声が響き渡る!


  しかし、劉武が馬に乗ってここに立っている限り、彼らはどこにも行けなかった。


  劉武の手の中の戟は風のように動き、自在に振るわれた。


  江東の十二将を次々と後退させた。


  後に大都督となる周瑜も、九度落馬し、九度馬に戻った!


  もし彼が手加減しなければ、江東第一の風流人物は本当に【灰飛煙滅】していただろう。


  だが劉武は結局退却した…


  その時の彼はまだ少年であり、体も成長していなかったし、天龍戟法もまだ完全に習得しておらず、多くの部分が未熟であった。


  神亭嶺の劉武は江東の十二将を阻むことができたが、十二将の命を奪うことは力及ばなかった。


  最も重要なのは、劉武が彼らと交戦してすぐに理解したことだった。孫策の勢力は既に成り、江東にはすでに主がおり、江左の地にはもはや劉備の機会はない。


  この十二将は息の合った連携を見せ、まるで一人のように動いていた。長年の戦場経験がなければ、このようにはならなかっただろう。


  昼間の激戦から、

  日暮れまで…


  「ドン!」

  神亭嶺で、劉武は再び大戟を振るい、江東の十二将の全力の一撃をはじき返した。その時、孫策と劉繇の大軍が既に殺到していた。


  彼は十二将を一瞥し、馬の頭を転じ、周瑜の信じられない表情を見ながら、神亭嶺から姿を消した…


  …


  「タタタ!」

  大江の畔、遠くから響く馬の蹄の音が劉武を思い出から引き戻した。


  高順が低声で報告した。「主公、魯粛が来ました。」


  劉武が顔を上げると、確かに江東の使節の儀仗が見えた。


  「魯粛と会うことはない。行こう。」劉武はすぐに馬に乗り、孫権が自ら来ない限り、江東の使節とは会わないと言っていた。


  話しながら、劉武と高順はすでに馬を駆けて遠ざかっていた。


  後に残されたのは、岸に上がり全身が濡れた江東の大都督が、狂ったように追いかけている姿だけだった。「神亭嶺の小将!」


  「当年の曲阿の故人を覚えているか?!!」

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