第5話この天下にお前の居場所などない!!
虎啸龍吟の間、秋の水のように輝く青龍刀の刃が咆哮し、劉武に向かって突進してきた!一瞬で、劉武の足元の積雪がその勢いに押されて半寸沈み込んだ。その冷たい刃が劉武に落ちかかろうとしていた……。
カーン!金属が激しくぶつかり合う音が響き、火花が散った。それは空中に横たわる大戟であり、青龍刀の圧倒的な勢いを無理やり止めたのだ。関羽は冷笑を浮かべた。「いいだろう、お前がこの数年間でどれだけ成長したか見てやる。」
瞬時に関羽の刀の動きが変わった。青龍偃月刀が風のように動き、まるで青龍が海を騒がし、猛虎が山を下るようだ。血の気が漂い、恐ろしい波のように押し寄せてきた。関羽の刀の勢いは恐ろしく激しく、人を逃がす隙も与えず、息をつく間もなく、ただ死の道しか残されていない。
カンカンカン!刀と戟がぶつかり、火花が絶え間なく飛び散る。関羽の攻勢は暴風雨のようで、青龍刀の影は瞬く間に密集し、白い光が眩しく輝いた。劉武はただ自分の周囲三尺を守っていた。彼は常に意外なところで関羽の攻勢を断ち切り、まるで風雨に耐える不動の岩のようだった。
カーン!刀と戟が再びぶつかり合う。関羽は青龍刀を握りしめ、心の中で密かにうなずいた……三十合!この若者は自分の三十合の攻撃を防ぎ、なおも気定まって余裕を持っている。当初、顔良を斬り、文醜を討った時、相手は一合の敵でしかなかった。今、劉武は自分の三十合を防ぐことができ、すでに天下の名将の姿を持っている!
劉武の現在の武技は、関羽にとって非常に意外であった。
スッ!劉武はまず戦戟を引き戻した。「二叔、私は行くことを決めました。」
「今回の別れ、いつ再会できるかわかりません。二叔、ご自愛ください!」そう言って、振り返り離れようとした。
関羽は顔色を変えた。「お前の父の大業は今やっと兆しを見せたばかり、ちょうど人材が必要な時だ。どうして父を捨てて行くのか?!」「戻れ!」そう言いながら、刀光が煌々と輝き、万里を飲み込む勢いで、青龍刀が再び劉武に向かって突進してきた。
フッ!劉武は背後から悪風の音を聞いたが、今回は防御しなかった。次の瞬間、劉武の手中の大戟がまるで生き返ったかのように、草むらに潜む龍蛇のように天に向かって飛び上がった!その勢いは六合を包み込み、八荒を飲み込もうとするかのようだった。
青龍刀が人を噛み砕こうとした瞬間、突然、一柄の大戟がまるで旱地の飛龍のように、全ての大地をひっくり返そうとするかのように、下から上へと青龍刀に向かって勢いよく突進した!
ドン!!関羽は手にしびれを感じ、急に二歩後退した。これは……関羽は丹鳳眼を見開いた。琵吾式!これは天龍戟法の琵吾式!関羽はこの式を一生忘れることはできない。彼の心に長く封じ込められていた記憶が再び蘇った……。
虎牢関の下!喊声が天地を揺るがす。黄煙が渦巻く中、三騎の馬が中央の方天画戟を使う猛将を囲んで激戦を繰り広げていた。温侯呂布、当時の第一猛将であった。
「三姓家奴逃げるな!」「刀を見よ!」「俺が来た!」虎牢関の前、三英が呂布と戦う!たとえ兄弟三人に囲まれても、呂温侯はまったく恐れず、その一柄の方天戟が、下から上へと神龍のように空へと舞い上がった……。
天龍戟法の第一式、琵吾!正に琵吾式!
カンカンカン!青龍刀!丈八矛!双股剣!三つの兵器が次々と敗退!!!
関羽の心は波乱万丈だった。呂布はすでに死んだ、劉武はどうしてこの琵吾式を知っているのか?
ドン!大戟が唸りながら回転し、まっすぐに関羽の顔に向かって突進してきた!冷たい寒気が骨に染み、まるで山間の悪虎が獲物を襲うかのようだ。
「揺旗?!」関羽は刀を振り、その戟をかろうじて防いだ。「まさか本当に……」
次の瞬間、戦戟の雄々しい攻勢が突然、軽やかで敏捷になり、青龍刀が大蛇にまとわりつかれているように、まったく逃れることができなかった!関羽の心は震え、さらに一式を認識した。「草を分けて蛇を探す!」
ウウ!鈍い破空音が響き、巨大な力が青龍刀に襲いかかった。それはまるで大浪が岸を打つかのようだった。
ドン!ドン!ドン!関羽は三歩連続で後退し、青龍刀を握る手が震え止まらなかった。「烏龍が尾を振る!」
戟の刃が閃き、全身で青龍刀に突進してきた!両兵が接触し、殺気が激しく震動し、周囲の積雪が突然、空へと舞い上がった!
「この一式は、白蛇が風を生じる!」関羽はさらに後退した。彼の握る青龍刀の手はますます激しく震えていた。
大戟が空を横切った!突然、熱気がこの雪原の周囲に広がった。関羽は一瞬、恍惚とし、前方に火鳳が啼き、翼を広げ、自分に向かって突進してくるのを感じた!
カンカンカン!わずかな時間で、大戟が青龍刀に連続して数回打ち付けた!火鳳が青龍を啄む!!
関羽は頭がくらくらし、青龍刀の中に狂暴で雄々しい力が咆哮しているようだった。それが関雲長でも制御できなかった!突然、その力が青龍刀を天に向かって突き上げた……。
ブン!天下の英雄の血を吸った青龍刀が、哀鳴を上げて空中に震えながら飛び上がり、無力に落下し、斜めに積雪に刺さった!!!
関羽は呆然とした。見事な一式「鳳凰三点頭」!!
かつて虎牢関で三英が呂布と戦った時、温侯はこの一式「鳳凰三点頭」で三弟の丈八蛇矛を震え飛ばしたのだ!まさか今日、劉武がこの技を使うとは……
一瞬、関羽は目を覚ました。「賢侄?!」
しかし、眼前にはもう劉武の姿はなかった。関羽は邸宅の外を見渡すと、一騎の影が大戟を背負い、馬を駆けて遠ざかっていくのが見えた……
劉武はついに去ってしまった。
関羽は再び雪地に斜めに刺さった青龍偃月刀に目を向けた。
かつての呂奉先ですら三弟の丈八矛を震わせることしかできなかったが、今の劉武は自分の青龍偃月刀を震わせることができる!
その実力は、恐らくかつての呂布をも上回っている……
……
郡守の邸宅、廳堂では、劉備が陰鬱な表情で独り座っていた。
「大哥!」
張飛が雪まみれのまま駆け寄ってきた。「大哥、さっき大侄兒に会った。彼の顔色を見ると、世子立ての件で心が塞がっているようだった。」
「彼はまだ若い。今、大哥は人材を必要としている時だ。もし彼が思い悩んで荊州を出て行ったら……」
張飛は粗野だが細やかな一面もある。
劉武と別れた後、彼はますます不安を感じ、今や劉備が荊州四郡を手に入れたばかりで、人材が必要な時であることを考えた。
劉武は優れた才能を持ち、劉備の麾下で頼りになる存在だった。
今、不公平な扱いを受けて、もし怒って荊州を離れたら、それは劉備にとって大きな損失ではないか?
劉備は冷たい笑みを浮かべた。「心配無用だ……」
「この孽障(逆賊)は賢い男だ。」
「今、江東と手を組み、曹賊を大敗させたばかりで、誰が私、劉玄德の長子を使うというのか?」
「曹操も使わないし、使う勇気もない。」
「孫権も同じく使う勇気はない!」
「今の天下で、私のところ以外、誰も彼を受け入れる者はいない!」
「私、劉備の羽翼の下で庇護される以外に、天下のどこに彼が身を置ける場所があるというのか!」
……
公安城内、
劉武は戦戟を逆手に持ち、城門へ向かって馬を駆けた。
瞬く間に、彼は城門を越え、この公安城を出た!
突然、
前方に一人の影が風雪の中に立っているのが見えた。
天地は一面の白に覆われている。
舞い散る雪が世界を覆い尽くそうとしても、その影の風采を隠すことはできなかった。
彼はそこに立ち、芝蘭玉樹の如く、遠くから見ただけで人々の心を仰慕させた。
荊南四郡の山川の美しさも、この人の気品には及ばない。
劉武は馬を駆け、その人影に近づいていく。
その人影の姿が、劉武の視界の中でますます鮮明になっていく……
彼は身の丈八尺、
面は冠玉のように美しく、
頭には纶巾を戴き、
身には鶴氅を纏っている!
手には羽扇を持ち、淡い笑みを浮かべ、飄然としてまるで仙人のようだ!
風雪がますます激しくなり、奔る馬がその人に近づいていく。
その人は少しも避ける様子がなく、天地の間に長身を立て、風雪と一体となり、天地の造化に溶け込んでいるかのようだ。
近づいた!
劉武は馬を駆け、その人にますます近づいていく!
ヒイィィィィッ!~
劉武はその人の五歩手前で突然馬を止めた……
相手は淡い笑みを浮かべ、「公子、お待ちしておりました。」と言った。
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