第六週目
【雲たちこめて 道々に咲く 名も知らぬ花 アルミ缶】
暑い日々が続く中、滅多に空を見上げることはないものの、さりとて足元に注目しているのかといえばそうでもない。だが、暗雲の兆しを感じ、ついには傘をさす必要の出てくる矢先、普段歩くその道には様々な草花があったことに気づく。
きっと晴天の折にその光景を見ていたならば、ある人は写真に収めようとして立ち止まるであろうし、また風流な人であれば文章にしてその景色から感じたよしなしごとを書き残すかもしれない。そこにあるゴミが目に入るまでは、誰しもが自然を賛美しつつあったというのに、瞬く間に日常へとひき戻され、その場を立ち去る。
拾われることのないあのゴミは、詩人を生み出さないでおこうとする社会の時限爆弾なのかもしれない。ぽつぽつと降ってきたその雨にいやしくも最も輝いて映るのはその空き缶なのである。濡れるのを厭う“社会人”は既にその場所にはいない。
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