第五週目

【車ころがし 夕闇の関 まどろみのせて 失せにけり】


 夕闇ということばほど、その人によって想像されるであろう情感や印象、情景が異なる描写はないのではないかと思い、それを盛り込んだ都々逸調の言葉を考えた。

 もうひとつ、「失せにけり」という表現は、僕にとっては内田康夫『天河伝説殺人事件』を自然と思い起こさせる。

 近頃、改めて日本語の文法を学び直す機会があった。なるほど、英語に勝らずとも劣らない複雑な箇所もあり、これを中高で問われるのはなかなか厳しいところもあろうと思われる。

 一方で、何気なく普段使っている表現を再び捉え直すという行為自体は、自身の言葉との変遷を見つめ直す良いきっかけだとも思う。その意味で、都々逸であったり短歌であったり、あるいは小説もエッセイも、これまで/これからもし続けていく、言葉を書き起こすという執筆活動はうってつけ。

 言語であるからには、究極的には使えてこそなのだ。そういうことを昨今、感じているので、ハンディサイズで、テーマごとに収録されている辞書などを買うことも出てきた。

 これからも、言葉に関するよしなしごとを筆に上す。

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