第4話 俺の時代がくるぞ……!
「———さて、どうしたもんか」
30分が経ち、無事復活した俺は、命からがら離れ、思わぬ障害に頭を悩ませていた。
勿論障害とは、この森でもトップレベルの強さを誇るデュラハンのことだ。
最上位アンデッドのため、体力が少ない代わりに他の全ての能力値は規格外と評さざるを得ない。
漆黒の中世的なフルプレートアーマーを身に纏い、奴が持つ最硬度の金属———禁足の森産魔鉄で創られたハルバードから繰り出される一撃は、総じて即死攻撃。
更に奴の放つ魔法はデバフ系であり、俺の様な雑魚には確定キルの入るモノまである。
だが奴の足たる騎馬自体もアンデッドのため俺より遥かに強く、機動力は実物の馬のソレとは比べ物にならない。
そんなチートキャラを相手に、レベル75の俺がどうしろと言うのか。
ゲームでも、一体は神聖魔法を使えるキャラを入れていないとキツかったのに。
……待てよ。
てかゲームの時はキャラ全員150じゃん。
しかも4体同時に戦うし……ほな俺に勝ち目はないでやんすな。
どれだけ警戒しても開始3秒でやられる自信しかないよ、俺には。
でも考えろ、レイト・バーゲンセール。
考えないと多分数十年はデュラハンに勝てないぞ、レイト・バーゲンセール。
そう思考を回しに回した結果。
「———絶対に資格を証明するから、洞窟の入り口まで行かせてくれないでしょうか」
俺は、デュラハンに話し合いを持ち掛けることにした。
勿論此方にはアンタと戦う意志がないと示すために、両手を頭より上に挙げる。
デュラハンは元騎士なので、罪の無い戦う意志なき者には手を出さない(ゲームのモンスター設定集より抜粋)。
因みに、今までこんなことをしてきた奴は俺以外いないのか、デュラハンには頭がないので何とも言えないが……俺を訝しげに見てるはすだ。
奴の目には、さぞかし俺が奇怪に映っていることだろう。
目なんかないけど。
『……理由を述べよ』
「このままだと数十年は掛かる。その間に俺の肉体は衰え、結局勝てず仕舞いに終わっちゃうからです」
『……それもまた、定めだ』
「いやいや何かしらに未練があるから、貴方もアンデッドになってるわけでしょ? なら俺の言っていることだって分かるはずなんですが……」
『……だが、規則だ』
頭固っっったっっ!
何だよコイツ、頭無いくせにクソ凝り固まってるじゃねぇか!
そこらの老害でもまだ聞く耳は持つぞ!?
チッ……おい、教会に行け。
そしてその凝り固まった頭に神聖魔法でも掛けてもらえ。
ついでに浄化されてしまえ。
……と、ここまで暴言を吐いた俺だが、一応とっておきの秘策を用意している。
これで靡かないデュラハンはいない。
「———行かせてくれれば、アンタの気が済むまで俺が戦ってやります。しかも、休憩不要、自動成長機能付きですよ」
そう、この言葉から分かる通り、デュラハンは根っからの戦闘狂である。
何なら戦いたいが故に、アンデッドにまで身を堕とした存在だ。
そんな奴にとって、俺の提案は正に棚からぼたもちのはず……!
『……良かろう、通れ』
「ありがとうございます」
少しの間
きっと頭があれば目を瞑っているだろう。
何て妄想を膨らませた俺は、デュラハンの気が変わらない内にさっさと手に入れることにする。
そそくさと洞窟に入り……直様発見。
ゲームでも居た、如何にも強そうな白を基調とした鎧や剣を身に纏う骸骨が、水の滴る洞窟の壁に寄りかかっていた。
俺は1度瞑目して手を合わせつつ、肌に纏わり付く様な気持ち悪さに、僅かに顔を顰めながら漁る。
すると、骸骨の鎧の下に着てあった服のポケットに、何か入っている感触を発見。
嬉々として漁れば……見つけました『奇跡の御守』。
これが本物なら、俺は一気にチート主人公へと肩を並べられる。
ふふふ……これで遂に俺の無双(死ぬ前提の戦いです。ゲームなら100連戦してやっと1勝もぎ取るイメージ)が始まる……!!
あのチート騎士にも、宿敵のキラキラウルフにも俺の強さ(レイトの作戦は質より量を地で行くだけです)を見せつけてやる!
「フハハハハハハ! 待ってろよ、つよつよチート騎士め! 同じくチートを手に入れたこの俺がボコボコにしてやるからな!(100回中99回ボコボコにされる前提です)」
俺は、今までの鬱憤を晴らすが如く、洞窟内に響き渡るほどの高笑いを披露した。
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ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
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