第2話 僕と硫酸

この話は中学生だった時の話。


好きな授業は体育と家庭科の調理実習。

そんな僕にも他にも好きな授業があった。

それは、理科の実験。


普段使わない器具や薬品を使うあのワクワク感。


アルコールランプ、試験管、全てがワクワクしていた。


その中でも今日の実験は1番ワクワクしていた、なぜなら




「えー、今日は硫酸を使います!」



そう、硫酸だ。



金田一やコナンは読んで育った僕からしたらとてもワクワクする、とんでもなく危険な薬品!!

どうやら僕の他にも硫酸という危険な響きにワクワクしてる生徒が多そうでみんな目を輝かせながら配られた薬品を見ている。


そんな視線を察してか先生はいつも以上に実験前のやってはいけないことなどを説明している。



危ない薬品なんだなー


そう思いワクワクしながら先生の説明を聞いてるがその中でも引っかかった事がある


それは


「いいか!指溶けるからな!マジ扱いには注意しろよ!マジで!!」


・・・



本当に??


指ってこの指が?



硫酸については漫画でも予習してるし前回の先生の説明でも勉強してる、しかし溶ける??



中学生になりバスケットボールなら片手で掴めるくらい大きくなりなんなら野球部に入ったおかげで指の皮が厚くなってる今日この頃。


溶ける??



いやいやSFじゃあるまいし!!



こんな透明な液体に何が出来るんだよwww



僕は完全に舐め腐っていた、今思うと先生はこういう生徒のために熱い説明をしていたんだと思う。


そんな事も気づかない当時の僕は先生がずっと危険だと言うのがむしろフリにすら聞こえてきていた。



いざ実験が始まり恐る恐る硫酸を扱っているみんなを背に僕はというと


触ってみたい衝動に駆られていた


班のみんなが扱っている最中硫酸を見つめる僕。



そんな僕を班の子が異変を察する


「46くん!?ダメだからね?」



授業も真面目に聞いていたその子は僕が何をするのかわかったらしく僕の腕を掴み本気で止めてくる


しかし当時の僕は何故か大丈夫な自信しかなく


止めてくるその手を離し硫酸の液体に指をタッチしてみた



ピチョン




・・・



ピチョン、ピチョン



・・・



チャプン



・・・



何も変化なくね??


変化なさすぎて最後5本全部漬けちゃったよ



なんだよ何もないじゃんとチャプンし指を擦り合わせる僕


班のみんなは止めた子含め言葉を失っている


「なんだよ、何もないじゃん!指溶けるとかSFかよ〜!!」


完全に僕は調子乗ってホラ何ともないよとみんなに見せてみる、あまりに何ともないので本当に大丈夫なのかと班のみんなが思い始めた時、ついに変化が起きた・・・




エッオー






あれ?


指が熱い・・・




なんともないと擦りまくった指がめっちゃ熱くなってきた、そして



「痛い痛い痛い痛い!!」


突如指先から発生する痛み、バカすぎる僕は10本の指全部漬けているので全ての指が痛み出した



「先生!!46くんが!!」


痛み出した僕に速攻で先生に報告し逆サイドの班を見てた先生はダッシュでこちらに走ってくる。



ダッシュできた先生は急いで水で洗い流しそのおかげで痛みはなくなり。先生にめっちゃ怒られ班のみんな、そして一度は止めた子からめちゃくちゃ怒られるはめに。



怒られ終わった僕は無事真剣に実験に取り組み楽しんだ1つ大きな問題が残った。



それは




指がツルッツル




なんと僕の指は嘘みたいに指紋がなくなってしまった・・・






しばらくしたら治るかなと思った指紋は結局高3くらいまで完全に元に戻らず高校で始めたバイトは指紋認証だったので反応しないし指に指紋がないから物を掴む時に滑ったりと相当苦しむことになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る