雑踏を踏み均す
月波
8月32日
8月31日
世界が呼吸を止めた。
いつか見ていた夢は、
知らぬ間に蕾を付けていた
美しくも残酷で、今更許しを希っても
きっと、もう遅い
「君が望んだのだろう?」
凪いだ喧騒の中
窓辺の太陽を溶かす。
私は唇を引き結び、足元に目をやる。
「世界は君だけのもの」
黒いなにかが、
そう宣う。
「そんなことっ、」
言って、口を噤む。
なにかは、酷く滑稽だと笑う
日の差す窓辺さえ、こればかりは、という顔。
喉元まで上った言の葉は
思うより熱を孕んでいて、
「…私の世界をかえして、」
…吐き出してしまった。
瞬間、広がる笑い声
堰を切ったようなそれは、止むことを知らず。
「未だ来ないものを、拒んだのだから」
言い残し、なにかはそれきり
姿を見せなくなった。
9月1日
世界から私が消える。
雑踏を踏み均す 月波 @nekomasa39
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