あなたへ…

止め処無く流れる時間ときの中

光は闇に 闇は光に

廻り往く螺旋の彼方へ



ずっと 隣で笑い合えると信じて

描いていた華やかな未来 けれど

あの日 消えた想いに流した涙は

暗い部屋の片隅に滞ったまま…



静かにたゆたう哀しみに

途切れゆく記憶

止まらずに溢れ続ける血の涙は

心を過去に縛り付ける



あなたの優しい言葉 あなたの温かな指先

いつも眩しくて 瞳を逸らして

ささやかな願い あなたへの想い

満ち溢れていた輝く世界は

あなたと共に遥かな空へ消えて行った



失った光に 闇を彷徨い歩いて

何をしてもあなたの許にこの声は…



行き場を無くした想いは

心を引き裂いて この身を切り刻む

暗い部屋に滴る紅い灯火は

まるで夢の中

でも 温もりの消えた現実は

私を繋ぎとめて…



絶望の壁は

何処までも私を閉じ込め

誰も

あなたの許へと

逝かせてはくれない

なぜ邪魔をするの?

お願い 逝かせて!



心に降り積もる冥い声

逝かせてくれないのなら

誰か教えて

私の存在は 夢は

何処に行けば取り戻せる?



求めた答えは 今も見つからないまま

でも

私の傍には

穏やかな想い 優しい煌きが

独りきりと思っていた時間の中

あなたが残してくれた幾つもの絆が

光へと導いてくれていた



闇が爪弾く哀しい旋律

光が奏でる優しい音色

空を渡る風が

地平線の彼方から運んでくる



止め処無く流れる時間ときの中

光は闇に 闇は光に

廻り往く螺旋の彼方へ

遠く過ぎ去った囁き

手が届かない温もりに

涙することもあるけれど

今はただ 答えを求めて歩いてみよう




「生きて」



それがあの時に託された言葉



「ごめんね」



失った辛さで忘れていた



「ありがとう」



あなたの願い あなたの想い

ずっと ずっと

この胸で輝かせていくから



「さようなら…」



光を失い 心を閉ざした過去に

そっと呟いた








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