道行き

人は生まれ、死に逝くもの


陽射しが

朝を連れて来て

月明かりが

夜の帳を降ろして行くように…


種が産まれ、命が芽吹き

吹き渡る風が梢を揺らし

葉を散らせて

やがて土に還るように…


人の生命いのちもそれと似て…



連綿と続く人生に

人は笑い、涙を流す


何処へ行っても

逃れることができない定めならば

受け入れるのも また…




時間ときの流れの中

絶えることのない涙の河は

輝く 眩暈にも似た感情とともに

明日へ導くしるべとなる


正しきも、悪しきもなく

それはただ、そこにあるだけ



時間の流れの中

微かに明滅する星の唄

見上げる空に ずっと流れているから

暗闇に隠した想いも いつかは…


数多あまたの願いを抱きし者

優しく すべてを包み込む



輪廻と呼ばれし生命の行方は

途切れることなく 世界をめぐり続ける


必要とされない善も

必要とされる悪も

人が紡ぎし偽りの運命だから

善は悪となり、

悪が善となる現実に

真理を見出すはあたわず




人は生まれ、死に逝くもの

けれどそれは、訣れではなく

次を夢見て 新たな生を歩む為の旅立ち


芽吹いた生命は

世界に輝きを投げ掛け

消え逝く生命は

世界に影を創り出しても


生と死こそが唯一の定めならば

大いなる時間の流れの中で

儚き一瞬の輝きは

何よりも強く瞬いて

彷徨う瞳を導く灯火となる


だから、見失わないで

立ち止まらないで…


世界はすぐ傍で見詰めているから



世界は生命を見捨てはしないから




この道行きが果てを迎えて

ついが見えても

その先には別の道が見えている



そして…

生命は廻り、


きっと また出逢える



-----

生から死へ連綿と続く流れの中で、

私に出来ることは何でしょうか?


絶対なる力に抗えないのなら、

立ち去った生命の幸せを願って

祈ることだけな気がします。


二年ごとに二人ずつ

身内が亡くなっていった者の死生観


「皆、私を置いていく」と、

病床で呟いた母の言葉は、

今でも胸に突き刺さっています。


その母も、しっかり、

本家筋の仲の良かった

おじいちゃんを連れて行きました。


その後、従姉が死の淵を

彷徨って戻って来てからは、

今は身内については落ち着いています。


従姉が連鎖を

絶ち切ってくれたかのように

感じました。

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