優しい手に包まれて

そっと優しく微笑んで

そっと柔らかく包み込んで

あなたの手が私に触れたから

この胸に温かな灯りが灯ったの


吹き荒ぶ風にこの身を震わせて

小さく縮こまって ただ泣いていた

光すら見えないこの暗闇の中で

何もできずに ただ怯えていた


川辺で泣いているだけの私を

あなたが見つけてくれたから

私は幸せになれた


けれどこの身を撃ち付ける雨

全てを吹き飛ばそうとする風

荒れ狂う川に 断ち切られた絆


願ったのは

そっと優しく微笑んで

そっと柔らかく包み込んで


私に触れたあなたの手を想い

この胸に僅かな希望を抱いて

永遠と思える時間ときの流れの中

あなたの行方を捜す



廻り逢えたあなたの手は

しわがれていたけれど

優しい微笑み

包み込んでくれる想いは

消えかけた灯火を 燃え上がらせた


断ち切られた絆を 再び結び直して

もう一度 あの頃の幸せを…


だけどそれは叶わぬ夢

あなたを待つ 多くの小さな心

守らなければならない願い

私と同じような悲しみを

与えてはならないから

淋しくてもあなたを諦めよう


今は

私と共にある多くの命が

支えてくれるから


願ったのは…願い続けたのは

そっと優しく微笑んで

そっと柔らかく包み込んで


あなたの手が私に触れたから

この胸に温かな灯りが灯ったの



-----

拙作『猫の街』

台風に引き裂かれた

子猫・こころとOL・あけみの物語


長い年月彷徨い続け

やがてこころは猫又となり

猫神さまに就任します。


ところがこころは

あけみと再び廻り逢います。

気持ちを抑えられなくなったこころは…


こころに

救いが無かったことから次の詩へ

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