第2話 夢のような…?


ハッとするくらいに

その人は、女の人にしか見えなかった。

だから私は

即座にその人を男の人と認めることが難しかった。それでも近くには女の子がいた。


信頼されてそばに居るのか?

モテているから近くによってこられているのか?


警戒心の塊になった私は

引きつった笑顔しか作れなかっただろう。

それでも、「初めまして。よろしくお願いします。」と絞り出すように声を出したが、

目を合わせられない。


私にはイケメンという物がわからない。

かっこいい人を指す言葉なんだろう、ということは分かるのだが、それは人によって微細に違うし、

美形が好きということなのかな?

位の認識だ。

男らしい人をイケメンという人もいるし、女形の綺麗な顔をイケメンという人もいる。

結果は、イケてるメンズ。


それは、定義などないのだ。


私には縁の遠い事だ。


イケメンを探したことも

求めたこともない。

寧ろ、、イケメンこそ避けて生きてきたのだ。


そういう男ほど…


そう思うと、顔の整った人程信用出来ないと思っていたのかもしれない。

人を見た目で判断はしたくない。

私もされたくないからだ。


されたくないことはしない。

させてうれしいことを為せ。


そうは頭でわかっていても、

男と言うだけでこの恐怖心である。不信感である。


正直、つかれた…




そんな中で、やわやわしく声をかけてきたのが、その、女に見まごう中性的な男だった。


「あなたって…

男の人が、

嫌いですか?」


と言われた。

刺さった。

グサリと云う感じだ。


その通りだからだ。なんて返せばいい。

すぐに浮かばなくて言い淀んだ。

「えっと、、、、」




「…わかります。」


傍に女の子がいるのに

その人は


悲しそうな目で私をじっと見つめて

そう言った。


耳を疑ったし

周りの人への気持ちのことも考えた。


私の立場など薄いことだから

どうでもいいのだが、

入ったばかりのこの孤独な私に

それを言うのか。


一瞬、

その人のことを考えた。


何かあったのかな、辛い思いしたことが?



でもすぐ打消した。


この場でそれ言う!!?

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