将来

「はい、皆さん今日は大学を調べてみましょう。将来のことを考えている人もいない人も…」


6限目、今日最後の授業

ちょろいなフフフ ああ、あのおばあさんみたいな笑い方をしてしまった。


「タカシくん、なんで1人で笑ってるの?」


まずい表情に出ていたようだ。


「タカシくん、将来つきたい仕事とかあるの?」


「いや、特に何も決まってません」


6限目がやっと終わった、ちょろいと思っていなのに、表情に出たせいでいろんな奴が笑ってた。恥ずかしい!


またグチグチ言いながら駅にひとりで向かった。ついてからしばらくするとおばあさんがやってきた。


「こんにちは、相談したいことがあって」


今日は俺から話しかけた。


「将来のことなんですけど、何も決まってなくて、これから何を目標にして行ったらいいか分からないんです」


授業であんなことがあったから真面目に調べられているわけが無い。


「そうね。私の場合は昨日言ったけど、都会を経験することで目標ができたわ。あ、そうだ

タカシくん趣味はある?」


「あります。野球観戦ですね、僕巨人ファンなんですよ」


田舎では昔からラジオやテレビで巨人の試合を聞いているおじいさんが多く、俺も物心ついた頃から巨人ファンなのだ。


「いいじゃない。まぁちなみになんだけど私は阪神ね」


敵だ、宿敵だ。


「野球観戦っていう素晴らしい趣味があるのだから、野球観戦に関わる仕事を目指すとかどう?実況者とかカメラマン、巨人や阪神のトレナーとかでもいいんじゃない?」


巨人と阪神を同じ扱いしないで欲しいという文句は置いといて、確かにありだなと思った。


「なるほど自分が好きなことならいくらでも出来そうですしね。あ、話逸らして悪いんですけど、おばあさんはどんな仕事してるんですか?」


「私?」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る