昔話

「私のときはね...」


話し始めてから何分たっただろう?

電車が来るまであと5分だ。


「なるほどそうだったんですね」


俺は話を終わらせようとした。早くゲームがしたい。


「そうだ、今修学旅行はどこにいくの?」


終わらない。


「僕が入学した頃の先輩たちは沖縄でした、確か今は東京ですね」


早く終わらせたい。


「あら、東京?いいじゃない ちょうど東京から帰ってきたところなの都会はいいわよ、若いうちに経験しておきなさい」

「そ、そうですね」


話が広がってしまった。


「私の時も東京だったけどね…」


~まもなく1番乗り場に上り電車がまいります、白線の内側で…~


電車が来た、でもおばあさんの話は終わっていない。


「この電車よね、この話の続きはまた今度しましょ」


ま、また今度!?


「楽しみに待ってます」


これからおばあさんはよく駅に現れるようになった。




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