第4話 夏休みの終わり






宿題も、模試テストもなく

枷になるものが何もない、夏の日々。


水商売といえば確かに水商売だったけれど、

わたしの仕事は、笑うか頷くか、こっそりあくびを噛み殺すか、それだけだった。




スコーンと底抜けに青い、夏の空。

おバカで、自由な、Y美との暮らし。


楽しい日々は駆け足で過ぎていき、

八月は、あっけなく終わってしまった。


友だち♂が戻ってくる前日、

わたしとY美は部屋を精一杯、きれいに掃除すると、鍵をかけ、

わたしは駅へ、

Y美はバイトへ、

あっさりと別れた。





暗くなる夕方の空を、車窓から見つめ

「ずっと夏休みが続けばいいのに。

でも、そうならないのが人生なんだろうな…」


などと、わたしは大人と子供の間で、ぼんやり考えていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る