その次は
昔から、お香の匂いが好きだった。大学生になって一人暮らしを始めたので、自分の城を好きな匂いで充満させてやろうと思いついた。できることなら一日中お香を焚いていたいのだが、昼間は講義に出ているのでそうもいかない。家を空けているときに何らかの理由でお香が倒れ、火事になったのでは大惨事である。
工作が得意な俺は、帰宅する三十分前にお香に火をつけてくれる装置を作った。電池で動き、遠隔でスイッチを押せばよい。
「我ながら、うまくできた」
装置の完成以来、帰ればお香の匂いが漂う部屋に帰れる幸せを噛みしめた。
ところが、ある日大学から帰ってくると、お香から煙が立っていなかった。調べてみると、原因はすぐに見つかった。
「うむ……。自動で電池を替える装置を作るべきか」
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